そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
3.ブルーマウンティンは霧の中

 2日目、1日かけてブルーマウンティン国立公園に出かけた。カリブ海のジャマイカにも同じ名前の山があって、まちがえる人も多いようだが、ジャマイカの方がコーヒーで有名な山である。オーストラリアのブルーマウンティン(地図にはブルー山脈と出ている。「青い山脈」では戦後の流行歌みたいだが)は、シドニーから百キロ以上も離れたところにあって、ユーカリ(葉がコアラの餌になり、住家にもなっている木)の木がずっと生え茂っている。この木から発散されるオイル分によって山全体が蒼く霞んで見えるところからこの名が付いているそうだ。

 山にだんだん近づくにつれて、霧が出てきた。ブルーマウンティンは三つの奇岩スリーシスターズの眺め、美しい滝、地上300メートルのロープウェイからの景色などが呼び物であるから、それが見えないとなんにもならない。結局真っ白な霧を見ただけで、「これじゃホワイトマウンティンだ」ということになってしまった。それでも世界一の急勾配(52度)のトロッコ列車は、まるで垂直に立っているみたいで、みんなが「キャー、キャー」言って、ちょっと楽しめた。これは、昔、石炭を運び上げていたものだそうで、310メートル下の駅との間を往復している。

 ところで、美しいブルーマウンティンが見られないような天気が、最近多いという。それが、昨年から続いているインドネシアの山火事の影響によるのだというから驚きだ。今、世界中で、環境のことが問題になっているが、環境問題は一つの国だけの問題ではないというよい例だ。直線距離にして3500キロはあろうこの地の空気を汚したり、天候にまで影響を与えているのだ。

 この間京都で話し合われた地球温暖化の問題にしても、本当に地球規模で真剣に考えていかないと、21世紀の地球は危ないのかもしれない。

 スリーシスターズが見えるはずの「エコーポイント」の霧の中で、座って楽器を鳴らしているアボリジニの姿が印象的だった。