そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
5.モーニングティーはワランビで

 ハンターヴァレーは、シドニーの北北西約150キロに位置する。オーストラリアのワインはあまり知らなかったが、最近人気が出ているという。そのワイナリーを中心にした観光に出かけた。

 涼しい朝、快晴である。昨日のブルーマウンティンがこんな天気だったらよかったのに。でも、高地であるブルーマウンティンは今日も霧の中かも知れない。高速に出て北に向かう。高速といってもバスは時速90キロまでということで、運転手を兼ねるガイドさんは、自らセイフティードライバーと言って制限速度を守っている。オーストラリアは車は左、日本と同じで我々にも運転できそうな感じだ。ただ、交通規則はかなり厳しく、罰則も厳しいそうだ。例えばシートベルト、バスの客席でも締めなければならない場合もある。しかし、飲酒についてはビール1杯くらいなら許されるとか。国によってさまざまだ。一般道路でも制限時速の標識がある。なぜかかなり細かく標示されていて、百メートルくらいの間隔で変更のところもある。

 途中モーニングティーの休憩をとる。ワランビ(Wollombi)という村のムラ・ヴィラ(Mulla・Villa)というレストラン民宿のような所だった。外のテーブルに向かう。陽射しが強く暑い。ここでは、手造りパン(スコーン)、オレンジジャム、イチゴジャム、サワークリーム、ティー、コーヒーなどが出る。朝食はきちんととったが、ここのパンもジャムもなかなかうまい。広い緩やかな傾斜地の大きなサボテンの生えた草原で、オーストラリアらしい雰囲気を味わう。シドニーからも適当な距離で、味もよく評判のよいところだそうだ。ティータイムを終えた他の客が、私たちにあいさつして出ていくのも感じがよい。 ただ、蝿が寄ってくるのはちょっとだけマイナスか。小さな蝿が飛び回っている。ここだけではなく、どこの田舎でも蝿が多いという。オーストラリア英語の発音が分かりにくいのは、蝿が口の周りに寄って来て、場合によっては飛び込むため、あまり口を開けないでしゃべるからだ、とガイドは言うが果たしてほんとうか。

 この建物の下に流刑民の牢があった。暗い狭い牢には流刑民をつないだ鎖も残されていた。開拓の歴史の遺品である。