そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
7.ハンターヴァレーでテイストを

 ハンターヴァレーの入り口に案内板があった。一面の葡萄畑で、数十か所のワイナリーがあるらしい。私たちの訪れるのはそのうちの一つなのだが、その前にチーズ工場(ハンターヴァレー・チーズカンパニー)も見てもらうと言う。なるほどチーズとワインはつきものだ。チーズの味見をしながら三つ買った。だれのみやげにしてもよかろう。少し暑くなってきているので、車には置きっぱなしにはしないでください、とガイドを通して説明がある。

 いよいよワイナリーである。今はシーズンでないので造ってはいないが、一人の大きなおじさんが案内をしてくれた。オーストラリアの人は皆大きくて同じに見えるが、向こうも我々を見て、同じように小さい日本人のことを思っているのかも知れない。

 醸造の過程を機械を見ながら聞き、貯蔵庫の樽を見る。そのあとテイスト。何種類かのワインの味見をしてもらうという。

 この日の私たちのグループは十数名であったが、席についてワインを待つ。隣の外国人グループはテイストを通り越して、相当に盛り上がっている。我々のグループはおとなしく、まじめに味見を行っている。貴腐ワイン(このワインは7年前にドイツで買ったのを今も家にしまっている。特別な条件でできた―偶然ともいえる―ワインと聞いている)も含めて7種類のワインを味わった。せっかく来たのに買わない手はない。息子たちが正月には帰ってくるので、一緒にオーストラリアを味わうためのホワイトワイン1本と、21世紀まで置いておくとおいしくなるというレッドワインを一本買った。21世紀になって飲めることを楽しみにしよう。

 そのあとペッパーズ・ゲストハウスで昼食。どこで飲むワインもおいしい。外の木々には鳥が飛んでいる。つばめかなと思ったが、小さな鳥だ。ガーデニングがすばらしく、花でおおわれている。