そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
8.町を歩けば 1

 最初の日にバスで市内を案内してもらったが、何か同じようなところをグルグル回っただけで、シドニーの主なところも見ていないような気がしたので、足で回ってみることにした。地図で見たところ、私たちの泊まっているホテル・リージェントからそう遠くないところにいろいろな施設があるようだ。2人で検討した結果、シドニー水族館、州立美術館、シドニー博物館を見ようということにした。ただし、時間的なことから考えて、シドニー水族館はハンターヴァレーのあと行くことにした。

 水族館はホテルからそう遠くないところにあった。もっとも、地図を便りに歩くのだから不安もある。でもまあなんとかなるだろう、と言ってホテルを出る。しばらく歩いて気がついた。建物の名前はわからない。日本のように大きな看板はない。通りを数えながら歩いたが、どうも不安である。オリンピックに関係してか新しい道路もできていて、分かりにくい。とうとう道を尋ねることにした。
「イクスキューズミー」。例によって大きなオーストラリアのおじさんは、とても親切に案内をしてくれた。

 水族館は、ガイドブックにも「最大級」と出ているから、相当の期待をしたが、確かに水棲動物やオーストラリア独特のものは種類も多いが、日本の水族館と比較してみると施設はそれほどでない。ただ、たくさんいるという感じだ。日本の「海遊館」の方がよほど考えられ作られていると思う。

 その帰りである。同じ道を帰ればと思いながら、まあ一つくらい通りを外しても大丈夫と思っていたのがまちがいだった。多分これで帰れるはずと思ったところにどうしても出ない。結局建物の名前で考えていたのがまちがいであった。建物の形も位置も地図では不正確である。通りの名前を見ながら行くのが確かである。日本のみやげ物を扱っている店に飛び込んで、尋ねて、ようやくホテルに帰り着いた。

 帰りが遅くなり、食事もできなくなってしまった。買い置きのインスタント食品で済ませる。