そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記2『オーストラリアに咲く花は』
9.町を歩けば 2

 翌日は、ナイトクルーズを予定しているが、夕方までは自由の1日であった。タクシーでとも考えたが、そんなに遠くではなさそうなので地図を片手に歩く。昨日の失敗を考えに入れながら、通りの名前を見ながら急ぎ足で歩くので、彼女は速すぎるとクレームをつける。

 まずシドニー博物館だ。ブリッジ・ストリートに出て、小さな公園を左に見て、右側、あった。歩き始めて10分ほど、トーテムポールのようなものが前ににょきにょきと立っていて、何人かの人が開館を待っていた。小さなレストランが玄関横にあって簡単な食事をしている人もある。

 やがて開館、日本語の解説文のほしい人は申し出てくださいと書いてあるので、「ジャパニーズ・インフォーメーション」というと、簡単なチラシを1枚呉れた。まあないよりましか。シドニーのあたりの考古学的資料、歴史的資料、地理的資料、生物学的資料などが展示されている。第1日目の市内観光にここ1か所くらい入れてもらえば、シドニーのアウトラインが頭に入っていていいのに、と思う。アボリジニとのかかわりについて映画をしていたが、英語の解説なので分からなかった。

 次は州立美術館に行こう。図書館の前を通って左の公園の中の小道を行けばいいはずだ。これもうまく行き当たった。ここは入館料無料。へえっと驚きながら中へ。ここはなかなかいい。18世紀のヨーロッパ美術の影響による絵画、現代美術、アボリジニ美術などが展示されている。部屋数も多く、広い。これがただで見られるなんてたいしたもんだ。感心しながら外に出る。

 いい天気だ。昼時近くなっていて、芝生の木陰では昼食をとっている人たちもいる。ユーカリの木とか名前の分からない木がところどころにあっていい感じだ。

 シドニータワーの下に食堂街があるとガイドブックにあったので、そこをめざす。シドニータワーはどこから見ても高く目立つから、それを目当てにいけばよい。簡単に目的地に着いた。しかし、人がごったがえしている。要するに食べたいものを買って、適当に席を見つけてそこで食べればいいのである。 ピザとサンドイッチをなんとか手にいれて、あとは飲み物である。コーヒーを売っている店があったので、「コーヒー・ツー」とやると、店員はなんだかしゃべりだした。どうも察するに、アメリカンか、カプチーノか、エスプレッソかというようなことらしい。「カプチーノ」にしておく。

 席を見つけてやっと昼にありついた。結構うまい。