そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記5『赤い土・赤い水』
(アンコールワットの旅)
13.サンライズは見えますか

 この旅行は毎日朝が早い。鳥取からの夜行高速バスは我々が選んだ方法だから仕方ないが、バンコク発のシェムリアップ行きの日も4時半には起きた。そして、3日目はアンコールワットに日の出を見に行くという。

 朝暗いうちに出発。
「カンボジアの人達は朝が早いです。」
 暗い中を自転車やバイクで、果物や薪を運んでいる人達の姿がライトに照らし出される。年中暑いこの地方の人達は、もっとも暑い昼の時間帯は休んで、また夕方近くなってから仕事をするのか。私達の遺跡見学も午前中と午後3時からと分けてある。昼3時間は休憩。
「日本の日の出は富士山のが有名ですか。」
「そうですね。でも私達の住んでいるところは海に近いので、海から昇る朝日もとてもきれいですよ。」
などと話しているうちにアンコールワットについた。西参道のテラスから見て、寺院の後ろに昇る朝日が最も美しいという。5時半ごろ、もうだんだんと観光客が集まりつつあった。しかし、空はどんよりとして晴れそうにない。
「6時頃まで待ちます。」
と言ってガイドは後ろの方に行ってしまった。日本人が多く、ガイドが日本語で説明をしている。私達のガイドよりだいぶ日本語がうまいので、説明もよくわかる。

 結局6時頃まで待ったが空は晴れなかった。駐車しているところまで引き返すと、我々の乗る車を3・4人で押している。エンストを起こしたらしい。
「おい、おい、大丈夫かよ。」 
と言いながら乗りこむ。