(アンコールワットの旅) |
14.高貴なお方のお通りだ アンコール遺跡の午前の見学が終わっての帰り、遠くから近づくパトカーが見えた。道べりに警備のお巡りさんがいて、「車を停めて右に寄れ(カンボジアは車が右通行)」と合図する。ガイドが、 「だれか偉い人が通るようです。」 と言う。 「なるほど、『下に、下に』というわけだ。」 間もなく、パトカーを先頭に警備、随行、報道を含めて10台位の車が通り過ぎていった。 そう言えば、とそのとき思い出した。今日は道路の警備がずいぶん厳しく、自動小銃を持っている軍人風の人もいたので、ガイドに、 「警備の人は警察以外に軍人もいるのですか。」 と尋ねたぐらいだった。 一行はすぐに通り過ぎていった。どこのだれなのか、どんな人なのかも分からなかった。 午後はアンコール小回りコース(大回りも小回りも同じような遺跡見学なのだが)であったが、またその一行に出会った。一行の後ろにつくかっこうになったのだ。一行はある遺跡で停車したが、私たちはそこは通り過ぎる予定だ。警備が多いので通れないかと思ったが、別に何もなく通過させてくれた。振り返って遺跡の方を見ると、何人かの人が遺跡の中央部に向かって歩いていた。お参りなのか、視察なのか、それは分からない。 そう言えば、とまた思い出した。この遺跡は、午前の見学のとき大勢の人が草を刈ってきれいにしていたところだった。それでガイドに、 「この人達はだれに頼まれて草刈りをしているのですか。」 と尋ねたものだった。ガイドは、 「国に頼まれて仕事をします。」 と話していた。 でこぼこ道を直しているところもあった(手作業で石を並べていた)。高貴なお方が通ると、道がよくなり、あちこちきれいになる。いずこも同じだ。 翌日シェムリアップ空港で搭乗を待っていたら、またまた一行が空港に到着。大勢の人に見送られて、特別機で飛び立って行った。たぶん外国のかなりの人だったのだろう。飛行機はベトナム航空だった。 |