そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記6『輝きは驟雨(スコール)の後に』(マレー半島の旅)
1.熟年特選 亜細亜紀行

「校長先生の海外旅行記」もNo・6となった。おそらくこのタイトルを使うことはこれ以後なかろう。考えてみれば、まわりの人たちに多少の迷惑をかけながら、よくもここまで続けてきたものだ。
 今年もどこにしようか、いつにしようか、夏が近づくと真剣に考えた。校長最後の年で、仕事の面で少しは楽になるかと思ったら大間違い。逆に大幅に増えてしまった。
 そのせいもあって、夏休みといっても休めるときがない。当初考えていたモンゴルやエーゲ海の旅は日程が合わず吹っ飛んでしまった。妻は、
「エーゲ海の船旅がよかったのに。」
と愚痴をこぼすが仕方がない。
 そんなこんなでようやく何とかなりそうなのが「マレー鉄道で巡るマレー半島の旅」というこの企画だった。「熟年特選」とわざわざ断ってある。「鉄道の旅」というのがちょっとした魅力だ。さらに、昨年タイからカンボジアまで南下してきたから、マレーシア、シンガポールとマレー半島を見ておきたい。(ベトナムが残ってしまうが)
 まあそんな理屈をつけてこれに決めたわけだ。自分で日程調整ができるところはうまく避けて、よし、実行。
 8月19日、台風11号の接近が心配される中、関西国際空港11時50分JL721は離陸。台風が心配されるのは飛行機のことではない。学校のこと、家の鉢物などのことである。学校の危機管理云々が取りざたされている昨今であること、また、鉢物のほとんどを外で管理するようにしたので、大風でどうなるかも心配であった。
 まあ、心配していてもどうにもなるまい。鉢物はあきらめるしかないし、学校の様子は旅先から連絡・指示すればよい。人間思い切りが肝心。