そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記6『輝きは驟雨(スコール)の後に』(マレー半島の旅)
10.マレー鉄道の旅

 8月22日、朝方3時ごろから6時ごろまで激しい雷雨。この地方ではよくあることなのだそうだ。場合によっては道路が浸水して、交通止めになってしまうこともあるそうで、ガイドのタンさんは心配している。約1時間半、各所に水たまりはあったが浸水まではしていなかったようで予定通りタンピンに到着。
 マレー鉄道。タイとシンガポールを結ぶ、もともとは錫やゴムの開発とともに敷設された鉄道である。私たちはマラッカの少し北のタンピン(Tampin)という所からシンガポールまでの旅である。タンピン駅に到着。タンピン駅には何十人かの旅客が待っていた。(そのほとんどが日本人) タンピン9時35分発ディーゼル機関車の5両編成くらいのエクスプレスに乗りこむ。調べてみると、この鉄道には、国際急行、急行、普通列車、夜行列車があるらしい。私は国際急行のつもりだったのだがこれは急行列車、ちょっと説明不足の感じがする。私たちの乗った最後尾の1等車には1両40人位が乗っている。日本人もいるが欧米系、インド系など国籍もまちまちのようだ。子どもも乗っている。エアコン付きだから暑くはないが、トランクの置場がない。あいた場所に置けと、別のグループのガイドが言うが、そんなスペースもない。仕方なく座席の下に置く。
 出発して間もなく女の子がコーヒーをもってきた。物売りだと思ってしまったから、「ノー」と言う。ところが女の子はむりやりコーヒーとケーキを置いていってしまった。どうも鉄道側のサービスらしい。そういえば、車内販売がない。多分あるだろうと20リンギット余り(600円以上)残してしまった。ガイドも車内で販売があるはずだと言っていた。この列車を降りるのはシンガポールだから、もう残りのお金は使えない。
 やっぱり国際急行と急行の違いではないか。と思ってもあとのまつり。残ったお金は土産にするしかない。
 車窓はずっとずっとずっと油椰子の畑。時々ゴムの木々、バナナ、ココヤシの畑。村がところどころに見られる。切符チェックが一度あっただけで、小さな町や少し大きな町の駅に何か所か停車。時々乗る人降りる人。観光客としてはもうちょっと変化がないと五時間半はくたびれる。
 ジョホール・バルというマレーシア最南端の駅で出国検査があり、橋を渡ってウッドランズで入国審査、下車して入国審査がある、と言うことは聞いたが、それが何時ごろになるのかは不明。いつ弁当にするか迷うが、11時半ごろに食べることにする。
 弁当はホテルの日本食堂のお握り弁当。しかし、こんなまずい弁当は食べたことがない。お握りが現地米は仕方ないとして、かさかさに乾いている。夕べ作ったものかもしれない。仕方なく押し込んで食べたが、妻はほとんど食べられない。
 出国検査はパスポートと出国カードを見ただけ。入国審査は空港での審査と同じやり方である。かくしてシンガポール入国。