そらのやま「旅行記」Yukito Shimizu

旅行記6『輝きは驟雨(スコール)の後に』(マレー半島の旅)
4.クアラルンプール 1

 
20日朝8時、学校に電話。時差はマイナス一時間なので日本は9時。夜明けがずいぶん遅い。日本の生活のくせが抜けないから、5時(日本の6時)ごろから目覚めてしまう。でも、真っ暗。7時ごろにようやく明るくなってくるという感じだ。わずか1時間の時差だが、そのあたりに違いを感じる。
 昨夜からテレビ(NHK衛星放送)で台風の様子を見ていて、かなり接近のおそれも感じていたので、警報がでたときのことなどを指示する。しかし、まだ影響はないと聞いて少し安心する。
 外は曇っている。夜、雨が降ったのかもしれない。予想していたよりも暑くない。9時、市内観光に出かける。ガイドは昨日と変わってタンさんになった。ちょっとジョンさんよりは言葉が怪しい。
 バツー・ケーブ(洞窟)は市街地から約13キロメートル北にある鍾乳洞洞窟である。予備知識がなかったからなんの気なしにガイドを聞いていたが、272段(かなりきつい)の階段を登るので、下で過ごしてもいいし登ってもいい、どちらでも選べると、私たちを気遣って言っているようだ。そのくらいなんでもない、とまでは言わないが、せっかくここまで来ていて見ずにすますわけにはいかない。とっとと登る。
 30段ずつくらいで休憩できるところが設けられていて、休みながら登るとライト・ケーブと呼ばれる大きな鍾乳洞があった。ここは、ヒンドゥー教の聖地になっている。自然の鍾乳石などをうまく使って祭壇や彫刻が見られる。お参りをしている人も少なくない。ここを中心にヒンドゥー教の寺院建設の動きがあるのだそうだが、なかなか実現しないという。
 小さな、尾の長いサルが棲んでいて、観光客に近づいてくる。愛敬を振りまいているとも見えるが、バックなど取られないようにとガイドが注意する。階段を降りていると、まわりのサルと野良犬も1匹ついてくる。近くに大型の鳥がいる。
「あそこにキジもいる。」と私。「あれはクジャク。」と妻。
 マレーシアの桃太郎話。