空の山通信11

No.580  シルクロード旅日記2

 道を間違えることもなくすいすいと走って11時過ぎには関空に到着。ここで両替をある程度しておいたほうがよい。向こうに着いてからでは,時間がとってもらえるかどうかわからないからだ。旅行会社の説明は「少しは持っておいたほうがよい」「多めに持っておいたほうが」とあまりはっきりしない。カウンターで添乗員の瀬野さんの説明を聞く。
「機内食は前回3月に乗ったときにはおそばが出ました。多分今回もそうだと思います。でも,そんなに多くありませんし,遅くなりますから,待ち時間に軽く食事をしておいたほうがよいでしょう。」
 搭乗手続きを済ませて全体(30人)で説明を聞いた後,軽くサンドイッチとコーヒー。ところが,当ては外れて機内食もサンドイッチだった。

 関空・北京間は約3時間。このくらいの飛行時間だとずいぶん楽だ。海外旅行が初めてという加藤さんもそんなに疲れはないだろう。東南アジアだと5・6時間,ヨーロッパだと12・3時間はかかる。
 時差1時間(北京時間)というのも楽だ。もっとも中国どこでも1時間で,東から西までの経度差を考えると生活面では都合の悪いこともあるのだろうが。これから行こうとしている新疆ウイグル自治区では,実際の生活に合わせるようにさらに1時間の時差を設けているという。しかし,他の国の人たちにとっては2重の時差はたいへんややこしいことになるので,北京時間で通しているということだった。

 前回来たとき(1999年8月・旅行記「大陸の空はかすんで」参照)に比べて北京の様子は大きく変わっていた。空港がきれいになった。空港ビルも広くきれいだ。
 前回は北京から西安に乗り継いだのだが,手違い(現地ガイドか旅行会社のミスだったと思う)と飛行機の遅れで3時間狭い待合室で待たされた。言葉は通じず,情報は黒板に書かれるだけ。待合室に飛び交う中国語のあの高い音の響きが今も耳に残る。
 オリンピックを前にして,街中が変わりつつある。現地ガイドの尹(イン)さんもしきりにそのことを言う。道路も建物も近代都市に生まれ変わっていく途中である。

 前回来たときもそうだった。北京の空はどんより曇っている。これは黄砂によるものだ。最近のニュースでも今年は黄砂がひどいという話題があった。日本でもこの春何度かの黄砂が観測された。中国では,雨がなければほぼ毎日といっていいのかもしれない。
 西に傾いた太陽がポプラの向こうに赤く光っていた。夕日ではなく黄砂のためなのである。