空の山通信11

No.583  シルクロード旅日記5

 昼食のあとはバザールの見学。広い通りを挟んでたくさんの店が出ている。ガイドブックにも出ている解放南路沿いのバザールらしい。交通量はそれほどでもないが,ガイドは用心して信号のあるところを渡らせる。今日から現地ガイドは季(中国読みでは「ジ」だそうだ)さん。西安までいっしょに世話をしてくれるという。日本語ペラペラで,時にユーモアも交えながら説明してくれる。
このあたりの町には信号はめったにない。道路の横断は要領よく渡るか,大勢でやるかだ。「みんなで渡れば怖くない」ということ。

 バザールには,食料品から日用品,衣類,履物などなど何でも売っている。値段が安いか高いかは元(1元≒15円)で値段が書いてあるのですぐには分からない。ちょっとしたおやつ代わりの食べ物などを買う人もいて,結構時間を取る。40分ほどの予定時間はあっという間に過ぎてしまった。1999年に北京・西安の旅行をしたときは,バザールは見たがただ歩いただけで終わったような気がする。旅行会社も旅行者の好みや,したいことを企画の中に取り入れだしたのだろうし,中国自体も開放的になってきたのかもしれない。
 店の前でカードゲームをしている人,将棋のようなゲームに興じている人を何組も見かけた。中国も平和だ。

 新疆ウイグル自治区博物館を見学。カメラを持って入るのはいいが,撮影は禁止。いちいちメモを取るのも面倒なので,カメラに収めておくと大体の様子が思い浮かべられる。そう思っていたが当てが外れた。
 しかし,ここの展示物はかなり強烈であった。何体ものミイラが展示してある。昨年旅行のカイロでは特別室に展示してあったが,ここでは普通にガラスケースに展示してある。非常に保存状態がよいという。薬品をつめてミイラにするというようなこともしない。「楼蘭の美女」は風化して黒っぽい肌をしているが,表情までも分かるような感じだ。性別,身長はもちろんのこと,年齢,人種などもわかるという。ヨーロッパ系の人,夫婦のミイラ,子どものミイラなどもあった。
 こうして葬られミイラになって残るのはかなり身分の高い人で,普通の人はただ埋められて何も残らないという。

 総合民芸品店で買い物。中国では観光客相手に開いている店があって,たいていそこを案内してくれる。その土地の高級品を中心に買わせようというわけだ。この地方では絨毯などを盛んに進めるが,トルコで買ったというと,店の人も黙ってしまう。

【訂正】No.581 「誤」ノーベル賞 「正」芥川賞
          「誤」減少    「正」現象