空の山通信11

No.584  シルクロード旅日記6

 3日目(4月23日)は天池(てんち)観光がメインである。天池はモンゴル語で「聖なる山」を意味するボゴダ峰(5445m)の中腹,標高1980mの所にある湖である。内陸部にあり,高所なので天候が心配だという。前日の情報では,気温は6℃,雪の心配もあるという。
「6℃なら雪は降らない」と私は言うが,日本とは違うからなんとも分からない。ウルムチから移動して次の宿泊地となるトルファンは内陸性の気候のため,寒暖の差が激しく服装など対策に悩むところである。

さらにトルファンからは寝台列車で敦煌へ移動するため,敦煌の天候も考えた準備をしておかなければならない。
「どうしてトルファンで荷物の入れ替えができないのですか。」
と,質問が出る。
「トルファン駅ではスーツケース等の荷物の積み込みはできません。ウルムチで敦煌までの荷物を積んでおかなければならないのです。」
 そういうわけで3日分の,しかも寒さ対策,暑さ対策を考えた身の回り品を持っての移動となった。

 朝,雨。やっぱり天気が心配。でも,この地方で雨が降ることはめったにないという。「ありがとうございますの雨」だそうだ。そういえば,エジプト・カイロでも同じようなことを言っていた。雨は間もなく止む。
 途中花を見る。サクラかなと思ったがちょっと違う。ナツメらしい。モモも咲いてまさに花盛り。停車してくれたら写真に収められるのだが,どんどん通り過ぎてしまった。

 天池湖畔着,8℃。湖面の氷はまだ融けず湖面をびっしりと覆っている。
「トイレはあちらの小屋です。まだ新しい公衆トイレは開いていません。」
ん?。板に足を渡してしゃがんでいる人が外から丸見えではないか。
「男性は外でしてください。」
 これはなかなか「中国トイレ事情」まだまだ生きている。「小」はそれでもあとが残らないが,「大」はしっかり残る。それがそこらじゅうに見えれば誰だって驚きだ。
加藤さんと荻原さんに「これが中国のトイレ事情です」というと,「びっくりしました」とのこと。小屋の中ではする気にならず,外を見てまたびっくり,とのこと。木の陰,繁みの向こう,動物の物,人の物,あっちにもこっちにも残っているではないか。「これは,オリンピックまでに解決してもらわなくてはならない」と思う。

 凍っていたため遊覧船に乗ることはできなかったが,高地にある天池は,日本で見ることのできない内陸の素晴らしい風景だ。(写真・私が持っているのは氷です)