空の山通信11空の山通信11空の山通信11空の山通信11空の山通信11空の山通信11

No.604  はるかな尾瀬2

 片品村の尾瀬高原ホテルに午前6時過ぎ到着。夜行バスではやはり十分な睡眠はとれない。2時間おきくらいのトイレ休憩にまじめにバスを降り,乗車してうとうとしては目が覚め,またうとうと。それでもこれからの観光・観察を思うとそんなに眠気は感じない。
 ホテルでは朝食,洗面を済ませる。もちろん今日は尾瀬ヶ原散策が予定されているから,それに不要なものはバスに置いていかなければならない。その荷物の仕分けをし,散策の服装なども整え,鳩待峠行きの小型バスに乗る。

 鳩待峠は尾瀬の入山口の一つである。早朝にもかかわらず大勢のハイカーが行き交っている。そうだ,今日は土曜日なのだ。ここから尾瀬ヶ原,アヤメ平を目指すコースがある(至仏山コースもあるが季節限定)。
 入山口には泥落としのマットが敷かれている。これは泥を落とすことよりも,外の植物の種などを入れないことを目的としているという。道の両側にはクマザサが茂っている。先日の福部での定例自然観察会で,クマザサを見ながら「持って帰ってちまきを作ろうか」といっている人があったのを思い出した。

 雨は止んでいてだんだん晴れてきているようだが,道はぬれているので滑りやすい。石が転がる階段状の道は,かなりの傾斜で下っている。足元に神経を集中させながら下る。
 道は木の階段に変わり,傾斜がゆるくなって木道に変わる。
 歩きながらの観察もあるので忙しい。清末先生が植物を示して名前や特徴を話される。20人以上の人数なので,先頭から末尾まではかなりの間隔がある。後ろへ後ろへと伝えていくが,だんだん前後の差が開き,後ろへは届かなくなっていった。
 私が聞いた範囲でのメモの中から一部あげておく。
 シラネアオイ ユキザサ エンレイソウ ゴゼンタチバナ ヤグルマソウ マイヅルソウ オオカニコウモリ スミレサイシン オオバキスミレ アオイスミレ マメザクラ サンカヨウ ヤブテマリ タウチワカエデ ミヤマカタバミ ミズバショウ

 空は完全に晴れてきて雪の残る至仏山が美しい。カッコウが鳴いている。雪解けの水の流れにかえるの声が響く。
「ヤマアカガエルです。卵がある」
よく見ると,卵の側にアカガエルもしゃがんでいる。

 川上川の川上橋を渡ると山ノ鼻はすぐそこ。いよいよ尾瀬ヶ原散策のスタートだ。