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空の山通信11

No.608  はるかな尾瀬6

 3日目は鬼押出し園,霧ケ峰を観察しながら帰路に着く。
 途中「歌集」の中の何曲かを歌う。その中に「てるてる坊主」があった。旅行の前々日に編集したとき,旅行中の天気予報があまりにも悪いので,雨が止むことを願って入れたのである。
 ♪ いつかの夢の空のよに 晴れたら金の鈴あげよ
 ♪ 私の願いを聞いたなら あまいお酒をたんと飲ましょ
 ♪ それでも曇って泣いてたら そなたの首をチョンと切るぞ
しかし,夕べから降り出した雨は止みそうにない。

「世界3大奇勝の一つ鬼押出し園は,天明3年(1783)によって生まれた溶岩の芸術です。火口で鬼が暴れ,岩を押出した,という当時の人々の噴火の印象が,この名前の由来となっています。噴火の激しさを今に伝える岩海と,豊かな大自然がおりなす,浅間高原随一の景観です。(今回旅のガイドプリントより)」
 浅間山(2568m)群馬・長野県境に位置する二重式の活火山。現在も盛んに噴煙を上げており,登山は禁止されている。朝から雨が降っていて,その山の姿を見ることはできなかった。傘を持とうかどうしょうかと考えながらバスの外を見ると,「貸し傘・無料」とある。これはいい。ギリシアのメテオラでは1本3ユーロ(当時1ユーロ≒120円)で買わされたのだった(しかも新品ではない)。 
 集合時刻だけ決めて自由散策。わたしたちは「高原植物観察コース……700m」を歩くことにした。そんなに珍しいものは見られなかったが,ゆっくりと奇岩の間に枝を伸ばし,花をつける植物を観察してまわった。バスに集合するころには雨も止み,浅間山がその姿を現すほどになった。

 霧ケ峰高原につくころには,雨はすっかり上がりだんだん晴れてきた。
「霧ケ峰は,広大な溶岩台地をなし,最高峰の車山から八島ヶ原湿原,鷲ヶ峰まで包含している。なだらかな草原に道が何本ものび,気ままに散策できるところが良い。花も多く,ニッコウキスゲの花期は,地表が黄色に変わるほどだ。(内田良平「日本百名山」)」
 実に素晴らしい高原の景色だ。空よし,山よし,高原よし,湖よし。もう一度あらためて来たいような感じだ。展望台でみんなが記念の写真を撮りまくる。
 昼食は焼き肉料理で腹もよし。満足してバスに乗り込んだ。

 やっぱりあの「てるてる坊主」の歌が効いたのだろうか。なにしろ「首をチョンと」切られてはたまらんだろうからなあ。でも,少しは降ったから,甘酒も金の鈴もやらなくていいか。まあ今回は「あいこ」ということにしておこう。
                        「はるかな尾瀬」終り