ときめき仏遊記
ときめき仏遊記
のぼるがお送りする見仏プラスカミサマ紀行。始まりは、ぼくにとって大切な場所である熊野から。那智を開いた“裸形上人”というストレンジネイムなその方は、なんと“あの人”にそっくりであり!
2008年4月の13,14日、見仏紀行の初弾ということで、和歌山県は熊野の那智山にお参りしてまいりました。
大きな目的は二つ。まずは、那智山の開祖、裸形上人に逢う為!! 裸形上人とは、その名の通り上半身裸ですごしてた人という意味らしいですが、なぜなら彼は、インドの人だから。仏教が正式に伝来し、大和政府に国教として取り入れられる遥か以前、インドから渡来し、熊野の地で修行し、那智の山を開かれた伝説の僧侶が居たらしいんです。
ぼくは元々、神社好き好青年でありまして、お寺と仏像さまに参詣するようになったのはほんのここ数年。なんとはなしに、日本における仏教は、政治的に組み込まれた、本来の大和ソウルにそぐわないもの……という印象を持っていたものですから、お寺参りには少し気が咎めるところがあったのです。
神々の国ニホンで、しかも最も神聖スポットが集中する地域の一つである熊野で修行し、仏教を広めようとしたインドの僧侶。これはソウルに触れてみないといけません!
そして目的二つ目は、西国三十三ケ所霊場 秘仏順次御開帳!!
なんと、西国三十三の観音霊所の秘仏が、今年(※注 平成二十年)の秋から三年に渡って、順にばしばし御開帳されてゆくというのです! 中には数十年に一度とか数百年ぶりとかいう霊所もあり、これは見仏人しては見逃せないでしょうと。あまりにグッドすぎるタイミングではありませんかブラザーと。
この日、四月十三日は、春の開山祭で一番霊場 那智山青岸渡寺の御本尊、秘仏 如意輪観音さまが御開帳される日であり、ぜひぜひお逢いして、三十三霊場を見仏して回らせていただく決定(けつじょう)をしたいなあと思っておりました。 (この時点では、西国三十三カ所を巡礼することの意味も、よく分かってはおりませんでした(^_^;;。)
13日早朝。4時間弱ほど仮眠を取り、予定を少し遅れて5時半前に、心地よい朝靄の中、すごいわくわくした気分のまま、車で出発いたしました。
天気予報に反して、思いのほか好天。淡いピンク色の大気がすごく綺麗で、国道のすぐ右を流れる木津川の川面からは靄が立ち上り、なんだかいつもと違う世界をドライブしているような雰囲気でした。
奈良市内を過ぎた辺りで、ご来光を迎えました(^_^)。日の出ってものすごくお日様のフォースを感じるものですね。世界が一変します。すごく綺麗な日の出でした。
早朝なので渋滞もなく、橿原から国道169号線に乗って吉野へ。市街地を抜けて道は山間に入り、まずは日本最古の水の神様である丹生川上神社にお参りさせてもらいます。
車を停めて、神気あふれる朝の大気で深呼吸! ぴりぴりした感じが全身に溢れます。なんと、境内の桜はちょうど満開であり、しばらく鳥居横の桜を眺めてからお参り。全身に心地良いぴりぴりを感じつつ、お参りさせて頂いていると、ちょうど朝の挨拶(神事)をしてらした社務所のおばさんが、「どうぞ、拝殿に上がって拝んで良いですよ」と声をかけて下さいました。
お言葉に甘えて、昇殿し正座して、山の斜面を登るように建てられた拝殿に向かいます。折しも、山の端から差し込んできた陽光が全身に当って、すんごいきらきら心地よくって、もうこのまま数時間瞑想していたい気分でした。
本殿横のすごく好きな御神木さんに御挨拶して、これも境内にある御神水を用意してきたペットボトルにいただき、心を残しながらお宮を辞去しました。
次に、天河弁財天に程近い場所にいらっしゃるお地蔵さまにお参り。この時間だと、天河まで約2時間所用でした。
こちらのお地蔵さま、僕が感じる限りでは一番フォースを持ってらっしゃるお地蔵さまで、始めてお参りした時には、少し泣かされてしまいました(^_^)。
お堂脇の桜がちょうど満開で、綺麗なピンクの花弁を開いて、嬉しそうに咲いてはりました。
天河弁財天さまには、ついで参りは失礼になりますので、お社に向かって一礼だけ。
それからはひたすら十津川沿いの168号を南行。川べりの山桜がとても綺麗で、ゆっくり車を停めて写真が撮れないのが残念でした。
谷瀬の吊り橋を抜けて十津川村を抜けて。知る人ぞ知るという聖地、玉置山には一礼だけさせていただいて。 遠くから拝するだけでもかなりすごいです。玉置山に関しては、また詳しく書くこともあるかも知れません。
熊野本宮大社の前辺り、すっかり開けてしまっているのでびっくり(本宮まで約5時間所用)。道路も広くなって、以前はなかった真新しい土産物屋や飲食店が軒を並べています。なんだか観光地化されているようで、少し残念なわらし。この時は、帰りにお参りさせていただくつもりでしたので、一礼だけしてなぜか甘いものが欲しくてアイスをいただいて(^_^)、そのまま失礼させていただきました。
いつもよりは参拝客も多いように感じたんですが、この時は春のお祭りが行われる直前だったようです。
熊野川を左手に見つつ、快適なドライブ。川べりの風景もなんとなく穏やかで、山間の雰囲気とは明らかに異なってきます。
そしていよいよ新宮市。目指す那智はもう間近!!
新宮の市街に入り、国道42号を右折して勝浦方面へ。この辺りから空は曇ってまいりましたが、想定内なので残念な感じはせず、むしろ春の雨に濡れながら聖地にお参りできる事をとても楽しみにしておりました。山間では満開だった桜も、新宮市内ではほぼ葉桜。道路脇の樹々の黄緑が鮮やかで、すっかり新緑の季節の風情でした。
標識に従って那智方面へ右折。目指すお山まであと数キロですが、まずはお山の玄関口にあります補陀洛山寺にお参り。こちらは、南海の彼方に存在するという浄土への憧れを現わすお寺さんです。「補陀洛渡海」といって、遥か浄土を目指して、小さな舟で海に旅立った僧侶が沢山いらしたということです。
お寺というよりは公園のような雰囲気の小さな古刹です。すぐ横の神社にお参りしてから、本堂へ。こちらの御本尊 千手観音さまは秘仏で、閉じられた厨子の前にお写真のみ飾られていました。どこかインドとかアフリカとかを想わせる、異国風の顔立ちが愛らしい仏像さんです。このお方にもいつかお逢いしたいですね。
さあ、那智です!
逸る心を抑えて、あえて土産物屋とかに寄って自分をじらしつつ(^_^;;。
つづれ折りの山道を進み進み、見えました、右手に那智の大瀑布! いよいよ那智の御神域です。心わくわく。
滝を過ぎてすぐの所にある、予約してある民宿に車を停めさせてもらって、身支度を整えて御参拝へ。到着したのがほぼ正午ちょうど。車で約6時間半、200キロちょっとの行程でした。
茶店の並ぶ通路を進むと程なく、遥か頭上のお宮へと続く石段の登り口が現れます。那智黒石で作られた土産物を眺めつつ、ゆっくり登坂。以前来た時には、いやらしい系の飴なんかが売っていて、彼女いない暦30数年のいとう君に買って帰ろうと思っていたんですが、今回ほとんどなくなってしまっていて、少し残念でした。
石段を登り切ったところで、神社とお寺とそれぞれにお参りする道が分かれます。僕はまず神社にお参り。紅い鳥居を潜って、手水を使って、またちょっと石段を登って(^_^)、いよいよ到着、熊野那智大社!
お参りしたり、見晴らし場から眼下の風景を眺めたりするものの、心はすでに見仏モードであり(^_^)。境内にある大きな楠さんがとても愛らしくって、境内の雰囲気をやわらかくしているんですけれど、彼にそっと触れて御挨拶してから、すぐ隣の敷地にあります那智山 青岸渡寺に移動です。
すぐ隣なのに、境界の門を潜るとまったく雰囲気が異なるのが面白いです(^_^)。京都奈良の大寺院を見慣れた眼には、むしろこぢんまりとした印象があるんですけれども、お山そのものが信仰の対象になっている神域のお寺ですからね。なんて言うんでしょうか、お参りスポットというか、エネルギーのツボといいますか、世界を拝すると言いますか、そういう“広がり”を感じます。
屋外の土産物を少し眺めてから、木製の階段を登って本堂内部へ。うう、このえも言われぬ抹香臭さ……。ずきずききますね。
う~ん、来てますねえ雰囲気感……。さすが第一番札所。あまり正面を見ないように(^_^;;一礼してから、まず左隅の仏像たちを観賞。をを、エンノこと役の小角がいる! しかし、今一つネームバリューに欠けるのか、皆さんほぼ例外なく素通りで、御本尊だけ拝んで素で出て行かれます。「オレは観ちゃうよエンノ。しっかり拝んじゃうよ。だって好きなんだもんね」と、ひとりいとうせいこうを演じながら、小角像に見入ります。
間近で観るエンノ像、正直あんまりイケてないです……。なんでこんな風に剽げた顔に作るんでしょうねえ。眉はハの字で、妙にリアルな感じで口を開けて歯まで彫ってあるので、その面差しはすっかり柳沢慎吾さん……。「エンノ像をもっとメジャーに」というのも、見仏界が取り組むべき重要なテーマの一つでしょうね。
さらに堂内で販売している土産物を眺めて、自らをじらすだけじらした後、正面を向いて憧れの如意輪観音さまに対面です!
内陣(天界)と現界の区切り柵の向こう、銅色に輝く壮麗な装飾が天井から吊るされており、その奧に、小さな如意輪観音さまがゆったり腰掛けて、僕たちを睥睨してらっしゃいます。
あれ? でもこのお方、確かテレビとかで拝見したことあるなあ……。
不安に思って、係の女性に問い合わせてみると……
「あれはお前立ち様です。御本尊の御開帳は、法要が行われる10時から30分だけなんです」
……とのこと。
ぇ? ええ~っ?! せっかく休みを合わせて、遥々やって来ましたのにっ(涙)!
●● 春の熊野詣で1 和歌山 青岸渡寺 如意輪観音さま
目次
春の那智詣で1 青岸渡寺
◯ 近日アップ予定
春の那智詣で2 那智山
春の那智詣で3 道成寺
GW特別御開帳見仏 光明寺 知恩院山門
大千手さま開眼! 紀三井寺
山上の仏さま 醍醐寺上醍醐
and more...
三十三カ所別リンク
《第一番》青岸渡寺
《第一番》紀三井寺
西国三十三カ所巡礼 公式HP
•http://www.saikoku33.gr.jp/