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口腔ケア
歯や粘膜についた汚れ(バイオフィルム)は、ゆすいだりぬぐったりしても落ちない!
薬液も浸透しない。つまり口腔ケアは器械的除去が基本です。
要介護者研修会で使った口腔ケアのレジメです。よかったらどうぞ ⇒ (pdfファイル)226kb
食べる練習は、口腔ケアに始まって、口腔ケアに終わるといわれています。
口の中には何億という細菌が住んでいます。
食べることの練習を要する方は、口を動かすことが少なく、会話や食物の摩擦、唾液による自浄作用が少ないので、歯や舌などの口の中が汚れやすい傾向にあります。
食べる前に口腔ケア
口の中をきれいにすることにより、味覚や触覚、温覚などを感じやすくします。
口の器官の準備運動にもなります。
また、誤嚥の恐れのある方にとっては、口の中を清潔にすることは、誤嚥性肺炎防止のためにも大事なことです。
ケアをすることによって、すっきりさっぱりして目覚めの効果もあります。
食べた後に口腔ケア
口が十分に動かないと口の中に食べ物が残りやすくなります。
口の中に残った食べものが、誤嚥の原因になる事があります。
ケアを十分にすることで、虫歯や歯周病の予防にもなります。
口腔ケアの方法
準備するもの
歯ブラシ(練り歯磨きは使わない)・透明なコップ・吸引器(障害が重度でうがいができない場合)
吸引機能付歯ブラシ(誤嚥を起こしやすい方に、最適。簡単に作れます。)
食前の口腔ケア
自食ができなかったり、意識状態が悪かったり、誤嚥や飲み込みの悪いケースでおこなう。
首や顔の筋肉のリラクセーション(無理しないように、ストレッチの要領で)
口の中の筋肉のマッサージ(唾液が出てくる場合は、うがいか吸引をしましょう)
唇のマッサージ
はぐきのマッサージ(唾液が出てくる場合は、うがいか吸引をしましょう)
歯ブラシによるブラッシング
歯ブラシはやさしく扱いましょう。ごしごしすると不快で、拒否に通じます。(*)
コップの水でひんぱんに歯ブラシを洗いましょう。最初のうちはにごりがありますが、口の中がきれいになるにしたがって、にごらなくなります。
うがい。出来ない場合は、唾液は吸引器で吸引します。吸引機能つきの歯ブラシを使うとうがいの必要がなくなり、汚物誤嚥の危険性もなくなります。
食後の口腔ケア
口の中に食べかすが残っていないか観察する。頬の内側や上あごにたくさん残っていることがある。大きなものはガーゼなどでふき取る。
歯ブラシによるブラッシング。
コップで汚れを観察。
食事直後のブラッシングなら、汚れは簡単に落ちます。
咽頭・喉頭のうがい
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いくら一生懸命、口腔ケアをしても咽頭や喉頭の汚れは落ちません。そこで、ゼリーを使ってきれいさっぱり汚れを飲み込ませてしまいましょうという、コロンブスの卵的な発想が生まれました。ゼリーの易嚥下性と汚れを取り込む凝集性をうまく組み合わせた発想です。日大の植田先生がこの方法で、肺炎の減少を科学的に証明されました。 口腔ケア後に1.6%ゼラチンゼリー40mlを飲み込ませる方法です。ぜひお試しください! |
摂食嚥下障害を持った方の口腔ケアの基本は、掃除中に汚物を誤嚥させないことです。
(*) 口腔内の感覚は、奥から前に行くにしたがって、また、中心に近づくほど鋭敏になる。ブラッシングは、奥歯から始めて、次第に前に移動するようにする。前歯の部分は、非常に鋭敏なので、乱暴に磨かないようにしてください。相当やさしくしないと、痛みを感じます。
吸引機能付歯ブラシの作りかた (日本障害者歯科学会学術大会発表) 準備するもの |
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熱可塑性樹脂(商品名 自由樹脂など 大きなDIY店で購入可能) |
ビニールチューブ |
吸引チューブ |
ディスポシリンジ |
歯ブラシ(小さめで細身のもの) |
吸引器があればなお良い |
輪ゴム |
セロファンテープ |
はさみ |
吸引注水機能つき歯ブラシ製作手順 |
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ビニールチューブを切断 |
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輪ゴムでチューブを仮止め調整する。@吸引側A輪ゴムB注水側 |
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樹脂を60度ぐらいの熱湯で柔らかくする。 |
指に多少粘りつくぐらいの柔らかさにして丸める。 |
歯ブラシのヘッド@と首の部分を樹脂で固定する。 | 取っ手の部分に@ミニライトを輪ゴムで固定すると口の中が見やすい。 |
吸引、注水をシリンジでする場合はチューブの太さが合わないので太目のチューブと樹脂で固定しアダプターを作る。 | 吸引用チューブを直接使いシリンジの変わりに吸引器につなぐと便利で効果的。 |
歯ブラシ完成写真 上が吸引用チューブ 下が注水用チューブ |
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吸引した洗浄液、汚物、血液(この中に何十億という細菌が存在) |
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使用中(うがいのできないケースで吸引しながらケア) 本当に重宝する。 |
作り方簡単で、非常に便利です!
最近は、注水用チューブは使わず、もっぱら吸引だけを行っています。コップに薄いレモン水を作っておき時々歯ブラシをつけて磨くとレモンの酸味で唾液分泌が促進され、口の中が十分潤い、液体や薬液の注入の必要がなくなります。されているほうもこちらのほうが気持ち良さそうです。 |
ブロメライン軟膏 |
消炎酵素ブロメライン |
熱傷・褥瘡・挫傷・切断傷・化膿創などの創傷面の壊死組織の分解、除去、清浄化及びそれに伴う治癒促進 |
ガーゼ、リントなどに適量をのばし、潰瘍辺縁になるべく触れないようにして塗布。1日1回交換。 |
エレース軟膏の代替。 |
口腔ケアお勧めグッズ |
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アングルワイダ− 口をあかない子供でもこれを使うと口の中が広く、明るく、驚くほどよく見えるようになる。 歯ブラシもすいすい入っていく便利グッズ。本来は、口の中を撮影するための補助具。 柔らかいプラスチック製。歯科医院で取り寄せてもらえる。
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PHB歯ブラシ 毛先が非常に柔らかいため、歯肉がはれていても痛みを与えることなく使える。made in USA (ちなみに豚毛の歯ブラシは、柔らかそうで、実はちくちく刺さって痛い。毛先がカットしたままだから鋭利になっている。洗浄が十分できず不潔になりやすい) |
口を開かない はぐきから出血する 歯ブラシをかむ 歯磨きを嫌がる 口の中が見えない
はぐきがひどく腫れている 口臭がひどい 歯がぐらぐらしている・根が残っている
口を硬く閉じて、歯ブラシを入れることもできない場合があります。反射と拒否のふたつの場合が考えられます。いずれも不快な刺激によるものです。
口をあかなくても楽にできる場所があります。歯の外側の面です。
まず口角から歯ブラシを奥歯の突き当たるところまで歯ブラシを挿入します。歯ブラシの柄の部分が口角から顔を出しているところにマークしておきます。マークしておかないと、手前の部分だけを磨きがちになるからです。これだけでも口の中はかなりきれいになります。奥歯から、手前のほうに磨き場所を変えていきます。
不快感も少ないのでだんだん口を開いてくれるようになります。ただし、前歯の部分は、非常に敏感ですので、注意しましょう。(歯磨きを嫌がるを参照) 戻る
口腔ケアのはじめのうちは、はぐきの状態も良くありませんので、大量の出血があります。これで、歯磨きを躊躇してしまう場合があります。心配は要りません。
まず、使う歯ブラシを柔らかいものに代えます。出血の多くは歯とはぐきの境目から起こります。その部分に、歯の汚れが大量にあるとはぐきの炎症をひどくします。毎回、汚れをきれいにしておくと、炎症も治まり出血も減ってきます。
意識して歯ブラシを歯とはぐきの境目に当てるようにしましょう。
このとき、ごしごしこするのではなく、汚れを歯ブラシの毛先でかき取るようにします。耳垢の掃除をする時のようなイメージです。(歯ブラシの持ち方も、自ずと変ってくると思います)1,2本のはぐきを掃除したら、コップの水で洗います。(耳垢を取り出し、取れたか確認し、ティッシュなどでぬぐい、また耳に挿入する、というあの感じです)きれいになってくると、コップの水の汚れも少なくなってきます。(これが、汚れ落ちのの目安になります)
うがいができない場合はひんぱんに吸引してあげましょう。 戻る
咬反射によります。人差し指を口角から歯ぐきに沿って第2関節まで挿入すると、下のあごと上のあごとが重なる部分にぶつかります。そこの隙間に指をこじ入れるようにすると少し開いてくれます。(ここには歯がないので噛まれる心配はありません)その状態で、歯ブラシをするとうまくいきます。最初は、無理をしないでください。 戻る
人にされると痛いものです。優しくしましょう。口の中は敏感で、やみくもに歯ブラシを動かすと、非常に不快です。特に、前歯の部分は、神経が集中していて、痛みを感じやすい場所です。不要な場所に歯ブラシがあたることのないに注意しましょう。口の中が見えづらいと歯磨きもやりにくいですので、明るい場所でやるようにしましょう。 戻る
口の中は、とても暗いです。私たちが診療所で使うライトは、太陽と同じぐらいの明るさです。ライトがないと、お手上げです。みなさんも、口腔ケアに際しては、明かりの工夫をしてください。明かりがない場合は、せめて、明るい窓際でしましょう。アングルワイダーが便利です。 戻る
ほとんどは歯周病が原因です。虫歯が原因で、はぐきが腫れることがありますが、腫れは、その原因歯のところだけですので、区別ができます。
歯と歯ぐきについている歯垢を丁寧に取ることにより、炎症がおさまり、腫れが引いていきます。最初は、歯科医師や歯科衛生士から指導を受けましょう。
特殊な例として、てんかんの薬の副作用で、ひどくはぐきが腫れることがあります。歯の清掃が悪い場合、ひどくなる傾向にあります。一度腫れると、なかなか、腫れをとることは難しくなります。医師の相談して、薬を変えてもらうと軽快することがあります。 戻る
悪臭は、口の中の細菌が産生します。歯周病が軽快すると悪臭も減ります。ただ、常に開口状態であると、口が渇いて、口臭が強くなります。舌の上もバイキンの繁殖しやすい場所です。歯ブラシなどで擦り取ってあげましょう。驚くほど、口臭がなくなります。 戻る
歯がぐらぐらしていると、痛みのために十分なケアができません。また、根が残っていると、汚れがたまりやすく、口臭の原因になったり。とがった部分で舌や頬を傷つけることもあります。歯科医師に診査してもらい、できれば抜歯をしてもらいましょう。 戻る