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クーラー強化


・概要

クーラーの冷媒は,コンプレッサーで圧縮されてコンデンサーで冷やされ, エバポレータの直前にあるエクスパンションバルブで低温低圧になって車内の空気を冷やすわけだが, エバポレータを出た後,コンプレッサーまで低温のままエンジンルーム内を通っていく.このとき, エンジンルーム内の熱をかなり吸収してしまう.つまり,カーエアコンはエンジンルーム内をも少し冷やしていることになる. これはエネルギーのロスであるので,この低温の配管を断熱処理するとカーエアコンの能力が上がることになる. このことはオートメカニック誌のメーリングリストに出ていた「ウラ技」だが,実際にエンジンルーム内の低圧側配管を見ると, 表面が結露しているほどである.これは確かに断熱材を巻くと効果があるように感じられる.

・準備品

必要なものは,まず断熱材である.エンジンルームの中にあるということで,ある程度の耐熱性はあったほうがよいかと思い, エキマニバンデージにも用いられるグラスウールを探してみたが,ホームセンターではあまり適当なものがない. もうちょっとどこにでもありそうなものとして,水道管の凍結防止用の断熱材(スポンジ)が売っていた. この断熱材は耐熱性があまりよくない(60℃くらい?)らしいのだが,内部を冷たい冷媒が通るので, 表面をアルミテープのような周囲からの輻射熱を受けにくい材料で巻けば,なんとかなりそうな気がした. アルミテープは,自動車用としてはマフラー修理用として売られているものがあるが,高価なのと長さが短いので, 一般用の耐熱アルミテープを購入した(それでも2000円近くするが).

・施工例(1)

購入したスポンジは,幅が太くてそのままでは曲がった配管に巻くのは困難なので,3cm幅くらいに細く切って巻きつけ, 上から同じように3cm幅程度に切ったアルミテープを巻きつけた.JZX81の場合,縦置きエンジンの左側にコンプレッサーがあり, エバポレータはバルクヘッド左側(助手席側)にあって距離的に近いので,冷媒の配管はあまり長くなく, 断熱処理できる長さは40cm程度だったが,とりあえず巻ける部分に巻いてみた.

処理後,さっそく試運転してみたが,すでに夏の終わりで涼しくなってきていたため,効果のほどはよくわからなかった. もともとクーラーの効きが悪いと思ったこともなかったし,処理した長さも短かったため,そんなものなのかもしれない. ただ,運転後,エンジンルームを覗いてみると,低圧側配管の途中にあるEPR(エバポレータ・プレッシャー・レギュレータ) が真っ白になっていて,触ってみると霜が凍りついていた. げげげっ,車のクーラーでも,夏だというのに霜が降りるくらい(つまり氷点下!)まで冷えるんだ. 新型車解説書に,クーラーの能力が1.5冷凍トンと書いてあったけど,本当に製氷能力があるんだな. ちょっと感心.また,以前にエンジンルームを覗いても凍りついていたことなんてないので, すなわちそれだけ熱損失が少なくなっている,ということなのだろう.つまり,効果ありということだろうか.

・施工例(2)

上の結果に気をよくしたので,家のもう一台の車(SUZUKI Kei sports)にも実施してみることにした. もともと冷房能力に余裕がないと思われる軽自動車なら,わずかな効果でもかなり体感できる違いになりそうだからだ. 以前に乗っていたアルトワークスは,車体色が黒ということもあって,真夏の炎天下を走ると, クーラーを最強にしてもあまり効かない,ということがあった. 今度の Kei sports は車体色がパールホワイトなので,黒のアルトワークスよりはマシだと思われるが, 納車時にエンジンルームを覗いたところでは,エアコンのコンプレッサーが横置きエンジンの前側にあるため, 助手席側バルクヘッドから出たクーラー配管は,右フェンダーまでぐるっとエンジンを迂回して, コンプレッサーに到達していた.触ってみると冷たく,表面が結露していた. この銀色の金属配管むきだしの部分の長さは1mくらいはありそうだったので,これを断熱処理してやれば, かなりクーラーの能力アップになりそうである.こちらもマークIIのときと同じようにスポンジとアルミテープで巻いてやる. 作業が終わったのでエンジンをかけてみる.クーラーの効きは・・・まだ納車から1週間も経っていない新車なので, 以前がどんなだったか,まだよくわかっていなくて,はっきりと効果を体感できる,というところまではいかなかったが, 心なしクーラー作動時に冷風が出てくるまでの時間が短くなったようであり,また少しくらい暑い晴れた日の午後でも, クーラーを最強にする必要がない.まずまず効果ありなのだろう.

クーラーの低圧側配管(赤矢頭)

施工後
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