のぞみの日記・4年生になって






6回



「そろそろ行こうか」ママが言ってフリースやセーターを脱いで歩き始めました。
少し下って稜線が狭くなり、岩稜になってくると別山への急な登りになりました。
ジグザグの急な登りをゆっくりゆっくり息を整えながら登りました。繭子と翔もし
んどそうです。他の登山者の人達もゆっくり登っています。登りが緩くなってくる
と別山に到着です。山頂には池があって半分くらい雪に埋まっています。パパがタ
バコを吸っている間、翔と繭子、の〜のは雪を丸めて遊びました。繭ママが一口フ
ルーツゼリーを出して雪の上に置いています。直ぐに冷たくなって汗を掻いた後だ
から冷たくて凄く美味しかったです。
「繭、の〜の、鳥がいるよ」暫く休憩して歩き始めると、繭ママが立ち止まって声
を掛けました。少し先に茶色い鳥がいます。

「あれは雷鳥だよ」ママが小さな声で言いました。雷鳥は保護色の鳥だと学校で習
っていたけど見るのは初めてです。繭子も珍しそうに見ています。
少し歩くと下の方に小屋が見え、ガレ場をジグザグに下ると小屋の横に出ました。
ここには多くの登山者が休憩していてリュックの横にスキー板を付けている人も居
ます。右側は剣沢というそうで、ここにも雪がいっぱい有ってスキーをしている人
達が見えます。その向こうに剱岳が大きな岩山のように聳えています。ここでも写
真を撮りました。
「今2時半やから、少し休憩してゆっくり降りようか」パパが言ってカステラを出
すとみんなが手を伸ばしました。

「有希が先頭を行き。ゆっくり歩くんやで」20分くらい休憩して下りました。最
初の所は急坂で滑りそうな感じだったけど、ゆっくり歩いたからそれほど怖くはあ
りませんでした。ジグザグの急坂が終わると緩やかな下りになってのんびり歩けま
す。暫く歩いてハイ松の中を右に回ると雷鳥沢という所に出ました。ここには雪が
残っていてスキーをしている人達がいました。端の方を滑らないように注意しなが
ら降りると川に着き、橋を渡って少し登るとキャンプ場です。テントに着くとただ
いま〜と翔が嬉しそうに声を出しました。

          *
先に温泉に行きました。の〜の達が帰って来るとパパと翔が行きました。パパ達が
行っている間に晩ご飯の用意を始めました。
「ママ〜、ご飯は何作るん?」の〜のが聞くとカニ雑炊やで〜と繭ママが笑いまし
た。パパのクッカーと繭ママのクッカーと二つで作っています。周りのテントでも
ご飯の用意をしているようです。ご飯がグツグツし出した頃に翔とパパが戻って来
ました。パパがレジャーシートを敷き、ランタンや食器を用意している間にママと
繭子がビールとジュースを買って来ました。
「かんぱ〜い」みんなが車座に座るとママが缶ビールを合わせ、の〜の達はジュー
スを合わせて乾杯しました。
「前回は剱岳が見えんやったけど、今日はよく見えたね〜」ママが嬉しそうに言っ
てビールを飲んでいます。

「繭、翔、しんどなかったか?」
「うん、大丈夫だったよ。初めて北アルプスに登ったけど、やっぱり六甲山とは全
然違うね。真夏やのにあんなに雪があったのにビックリしたわ」パパが聞くと繭子
は嬉しそうに話しています。繭子の言うことを聞きながら、パパがカニの缶詰を開
けてご飯に入れています。陽が落ちると少し冷えてきてみんながフリースやセータ
ーを着ました。
「熱いから気ぃつけや」繭ママが雑炊を入れたアルミの食器をみんなに渡すと、翔
は嬉しそうにカニ雑炊を食べています。
「パパ〜、来年もキャンプに行くん?」
「そうやな。来年は違う所に行こうか」パパが言うと翔は嬉しそうな顔をしていま
す。
「お兄ちゃん、来年は穂高に行こうよ。涸沢にテントを張ったら穂高に登れるやん」
繭ママが言うとママも穂高に行きたいと笑っています。

「菜々美はどうするんや。来年1年生になって菜々美も連れて行くんやったら穂高
は無理やで。それにテントも大きいのを買わんと無理やん」パパが言うと、ママと
繭ママはそうやなぁと考えています。
「まっ、来年の事は来年になって考えたらいいやん。今回は翔と繭子の北アルプス
デビューやったけど、天気も良くて無事に終わって良かったな」パパが繭子と翔に
言うと、2人は嬉しそうに顔を見合わせて頷いています。
後片付けをしてテントに入るとパパ達はコーヒー、の〜の達にはココアを入れてく
れ、飲みながら今日の山のお話をしました。の〜のはみんなの話を聞きながら、去
年は木曽駒ケ岳で足が痛くなった事を思い出したけど、今回は落ち着いてゆっくり
歩いたから足は痛くなりませんでした。

「明日の帰りのバスは12時半やから、ターミナルで早めに昼ご飯を食べた方がい
いやろ。10時くらいに撤収して11時くらいに食べようか」パパがみんなに言う
とママ達は頷いていました。
「そろそろ寝ようか」翔と繭子が眠そうな顔をしているのを見てパパが言うと、マ
マと繭ママがカップを片付けました。
「パパ〜、今日はパパと寝たい」の〜のがパパに言うと、じゃあ翔はママと寝る〜
とママの顔を見ました。パパとママが笑いながら頷くと、パパと一緒に隣のテント
で翔の寝袋に入りました。
自分ではあんまり疲れていないつもりだったけど、八時間くらい歩いたので疲れて
いたのか、直ぐに眠りにつきました。

          ☆

キャンプから帰った翌日、今日は木曜日でママのお店は今日までお休みでパパは日
曜日までお休みです。今日はみんなでキャンプの後片付けをしました。の〜のと翔
が寝袋やカバーをベランダに干し、パパはお庭でテントを張って乾かしています。
食器類はママが洗っていました。
「昼から写真屋に行くけど一緒に行くか?」お昼ご飯を食べながらパパが聞きまし
た。翔との〜のが行く〜と言うとおばあちゃんが笑っています。何時も行く写真屋
さんに行くとパパの大きいカメラのフィルムを2本出し、の〜ののデジカメのメモ
リーを店頭の機械に入れて全部プリントを頼みました。1時間くらい掛かるので出
来上がるまでショッピングセンターを見て回り、喫茶店に入ってでジュースを飲み
ました。

3時頃に帰るとママが寝袋やマットを片付け、テントも片付けていました。みんな
でアルバムに整理するとおばあちゃんも楽しそうに見ています。の〜ののデジカメ
のメモリーをパソコンにセットして取り込み、大きくしたい写真を選ぶとパパがプ
リンターで作ってくれました。室堂山で撮った写真や大雪渓の横で撮った写真を大
きくしてもらいました。翔とパパが一緒の写真も大きくすると嬉しそうに見ていま
す。晩ご飯を食べ終わった頃、繭ママが繭パパ、繭子、菜々美と一緒に来ました。
繭子はキャンプの時の写真を持って来ました。みんなで二階に上がるとママが麦茶
を出しました。の〜のがアルバムを持ってくると、繭子の持ってきたアルバムと一
緒に見ました。
「ママ〜、これは雪なん?」大雪渓の写真を見て菜々美が驚いています。
「そうやで。ここは真夏でも雪がいっぱいあるんやで。ここでは雪の上に乗れんけ
ど、こっちでは翔や繭子、の〜のが雪で遊んでたわ」繭ママが別山の頂上にある、
硯が池に残っていた雪で遊んでいる写真を見せています。

「菜々美、来年になったら一緒に行こうな。向こうの山は夏でも雪があるし星もい
っぱいやで。人工衛星も見えたんやで。なぁママ〜」翔が菜々美に言ってママを見
るとママも頷いています。
「来年、小学生になったら菜々美も行けるん?」
「うん、来年は一緒に行こうな。菜々美でも歩けるような山に行くからな」繭ママ
が笑いながら言ってパパを見ると、パパも笑いながら頷いています。しばらくする
とママと繭ママ、おばあちゃんが下に降りてスイカを持って来ました。パパと繭パ
パはお仕事の話をしながらスイカを食べています。の〜の達はキャンプの写真を見
ながらスイカを食べました。スイカを食べながら夏休みもあと少しで終わりだなぁ
と思いました。



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