のぞみの日記・4年生になって






5回



6時半くらいになると山の谷間にあるキャンプ場は薄暗くなって来ました。テント
の前にレジャーシートを敷いて真ん中にランタンを置くと、翔と繭子はわ〜っと嬉
しそうです。
「かんぱ〜い」ママが缶ビールを合わせるとの〜の達もジュースでかんぱ〜いと合
わせました。周りのテントもご飯の時間なのか楽しそうな笑い声が聞こえます。
の〜の達のように外で食べている人達やテントの中で食べている人達など色々です。
テントで食べている人はテントの中でランタンを点けているから、テントの色が幻
想的ですごく綺麗です。の〜のが写真を撮ると繭子も撮っています。
「パパ〜、このテントでもランタン点けるん?」
「うん。でもテントの中では電池式のランタンやで。ガス式だと一酸化炭素中毒に
なる可能性があるから危ないやろ」の〜のが聞くと繭ママが笑いながテントに入っ
てランタンを点けると、オレンジ色のフライシートが綺麗で思わずわ〜っと叫んで
しまいました。繭子と翔もわ〜っと言って喜んでいます。

「ママ〜、カレー」翔が言うとママが笑いながら食器にご飯を入れ、温めたカレー
ルーを掛けて渡すと美味しそうに食べています。の〜のと繭子もカレーを食べまし
た。
「ママ〜、の〜のパパ〜、こういう所で食べると美味しいね〜」と繭子は嬉しそう
にカレーを食べています。パパ達もビールを飲み終わるとカレーを食べました。
パパ達が食べているのを写真に撮ると笑っています。ママ達が後片付けをしている
間にパパがお湯を沸かしてポットに入れ、何時でもコーヒーやココアが飲めるよう
にしています。テントに入ると翔と繭子は嬉しそうにニコニコしています。寝る時
は繭ママ達との〜のとママの4人だけど、それまではみんなでお話をしました。寝
る前に外に出てみると満天の星空に感激しました。こんなに星があるなんて初めて
知りました。繭子と翔も上を向いたまま見ています。

「パパ〜、あれは何?」翔が星空を指差しました。みんなが指差した方を見たけど
何の事か分かりません。
「ほら、あそこに動いている星があるよ。あそこだよ」翔が一生懸命パパに教えて
います。パパは暫く翔の指差す方を見ていて
「あっ、ほんまや。動いてるな。でも、あれは星やなくて人工衛星かも知れんで。
流れ星はあんなにゆっくり動かんやん。きっと人工衛星やわ」パパが翔に言うと、
翔はわ〜っと言いながら見ています。何度かパパや翔の指差す方を見るとみんなも
見つけたようで、わ〜、すごいね〜と喜んでいます。の〜の達の話し声を聞いて近
くのテントの人達も出て来て見ています。暫く見ていたけど眠くなってきました。
「そろそろ寝ようか」繭ママが言ってテントに入ると、パパと翔は隣のテントに入
りました。繭ママとママが端での〜のと繭子が並んで寝袋に入ると繭ママがランタ
ンを消しました。

          *
                  
朝、目が覚めるとママと繭ママは居ませんでした。テントの外でライトの明かりが
チラチラしています。の〜のもヘッドランプを持って外に出るとぼんやりと明るく
なりかけていて、ママと繭ママがご飯を炊いていました。
「ママ〜、繭ママ〜、おはよう」
「おはよう、早かったんやな」の〜のが挨拶するとママも笑いながら挨拶しました。
繭ママも笑っています。周りのテントを見るとどこのテントもご飯の用意をしてい
ます。暫くすると繭子が起きて一緒にトイレと顔を洗いに行き、戻って来るとパパ
も起きていてタバコを吸っていました。
「パパ〜、おはよう。今日もいい天気だね」の〜のが挨拶すると繭子もおはようと
挨拶しました。パパもおはようと言いながら明るくなった空を見上げています。

翔がおはようと言いながらテントから出て来ると、パパと一緒に顔を洗いに行きま
した。その間にママ達はお湯を沸かして目玉焼きを作っています。パパと翔が戻っ
て来るとテントの前にシートを敷いて朝ご飯です。パパ達はコーヒー、の〜の達は
コーンスープでパンと目玉焼きの簡単な朝ご飯です。翔はパパの横で嬉しそうにパ
ンを食べています。
「晴れているけどカッパとセーターは持って行くんやで」パンを食べながらパパが
言うとみんなは頷いています。
朝ご飯の後、ママと繭ママがおにぎりを作っている間にの〜の達は着替えました。
パパと翔も着替えています。後片付けをしてママ達が着替えてくると出発です。み
んなはデイパックにおにぎりと水筒、カッパ、セーターや薄手のフリースを入れて
います。テントを閉めて小さな鍵を掛けると、繭ママが行こうかと言って出発しま
した。時計を見ると7時半になっていました。

          *

昨日来た道をターミナルまで行き、延命水を水筒に入れました。
「翔、繭、ゆっくり落ち着いて歩くんやで」パパが言って先頭を歩き出しました。
パパの後ろから翔、繭子、繭ママ、の〜の、ママという順番です。の〜の達以外に
も大勢の人が歩いています。パパは翔や繭子に合わせてゆっくり歩いています。左
手に室堂山荘という山小屋を通り過ぎると少し雪がありました。繭子は真夏に雪を
見るのは初めてなので、嬉しそうに翔と一緒に丸めて喜んでいます。途中から少し
登りになり、登りきった所が一の越という所です。
「五分休憩するで」パパが言って水筒とクラッカーを出すと、みんなも水筒を出し
てお水を飲みながらクラッカーを食べました。
「智、ここから智が先頭を行きや。繭、ママの通りに歩くんやで。翔もママの後ろ
から行きや」パパが言って繭ママを先頭に繭子、ママ、翔、の〜の、パパという順
番で登り始めました。

最初から急な登りで滑りそうな感じです。繭ママが繭子に声を掛けながらゆっくり
登っています。途中の岩場の所は手を使って登りました。四十分くらい登ると傾斜
が緩くなって正面に小屋が見えてきました。
「繭、翔、大丈夫か?ちょっと休憩するか?」繭ママが声を掛けると、繭子と翔は
まだ大丈夫だよ、と言って歩いています。小屋直前の急坂をジグザグに登ると小屋
の前に着きました。
「やった〜、着いたね〜」繭子と翔が嬉しそうに叫んでいます。
「ここで10分休憩しようか」パパが言ってタバコに火を点けました。の〜の達が
小屋に行ってみると、登山記念のお土産などが売っていました。少しだけ見てパパ
の所に行くとチョコレートを出してくれました。
「繭、翔、しんどないか?」パパが聞くと大丈夫だよ、と笑いながらチョコレート
貰って食べています。ママたちもチョコレートを食べながらお水を飲んでゆっくり
しています。ここでも繭子や翔と一緒に写真を撮りました。

行こうか、とパパが言って、奥の鳥居の横から登山道に出ると室堂平が箱庭のよう
です。
「わ〜、キレイだね〜」繭子が嬉しそうに言って写真を撮っています。の〜のもデ
ジカメで写真を撮りました。20分くらい歩くと大汝山という所に着きました。
「繭、翔、希、あの岩に登ったら3015メートルあるんやで」ママが笑いながら
言うと3人で登り、パパに写真を撮ってもらいました。ママや繭ママ、パパとも一
緒に撮りました。他の登山の人に頼んで全員の写真も撮りました。ここからは室堂
側が箱庭のように見え、黒部側も正面に山が見えてすごく綺麗です。
ここからは岩場だけどのんびり歩けます。登山道の横の方にいっぱい雪が有ります。
パパが雪の状態を調べ、雪の上に乗って写真を撮りました。所々に咲いていた高山
植物のお花も写真に撮りました。

少し歩いて富士の折立の肩という所に着くと、内蔵助カールの大雪渓が下の方に見
えます。
「ママ〜、あれは雪なん?」繭子がビックリして聞いています。
「うん、あそこは内蔵助カールといって何時でも雪が有るんやで」と笑いました。
「俺が先頭を行くからな。翔、繭、希、滑らんようにゆっくり歩くんやで」パパが
言って歩き出すと、翔、繭ママ、繭子、の〜の、ママという順番でゆっくり降りま
した。内蔵助カールの所を歩いている人達が豆粒のように見えます。ジグザグを繰
り返しながら降りて内蔵助カールの雪渓の側に着くと、翔も繭子も大雪渓を興奮気
味に見ています。の〜のも真夏にこんなに雪を見るのは初めてです。少し興奮しな
がらなだらかな稜線をのんびり歩くと真砂岳という所に着きました。ここでお昼ご
飯です。ママがレジャーシートを出すとみんなが輪になって座りました。

「体を冷やさんようにセーターやフリースを着ぃや」パパが言うとみんなは脱いで
いたシャツを着てセーターやフリースを着ています。の〜のもセーターを着ました。
パパがストーブを出してお湯を沸かし、インスタントの味噌汁を作ってくれました。
「パパ〜、美味しいね〜」翔はおにぎりを食べながら嬉しそうです。繭子も初めて
の北アルプスが嬉しそうです。おにぎりを食べた後みんなで写真を撮りました。さ
っき歩いてきた富士の折立からの下りの斜面をバックに撮り、雪渓をバックに撮り
ました。



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