「のぞみの日記・冬休み」

第7回


          *

翌日は早く目が覚めました。パパはまだ眠っています。昨日の〜のを背負って歩いた
ので疲れているだろうと思い、パパを起さないようにベッドから降りると痛みが少し
和らいでいました。ママは居なくて、翔がママのベッドで気持ちよさそうに寝ていま
す。お部屋を出てリビングを少し歩いてみました。まだ少し痛いけど昨日に比べたら
ずっと良くなっていました。スウェットに着替えて降りるとおばあちゃんがご飯の用
意をしていました。
「おばあちゃん、おはよう。ママは?」ママの姿が見えなかったのでおばあちゃんに
聞きました。
「希ちゃん、おはよう。どう、足の方はまだ痛いかい?ママは桂子おばちゃんと一緒
にサチのお散歩に行ってるよ」おばあちゃんはの〜のの足を心配してくれました。
「まだ少しだけ痛いけど、昨日の夜おばあちゃんが揉んでくれたからだいぶよくなっ
たよ」の〜のが言った時サチの吠える声が聞こえました。裏を覗くとママと桂子おば
ちゃんが帰ってきた所でサチを犬小屋に繋いでいました。

「ママ〜、桂子おばちゃん、おはよう。サチ、おはよう」の〜のが裏に出て行くとサ
チが嬉しそうに尻尾を振っています。
「おはよう希。もっとゆっくり寝てたらいいのに。まだ足が痛いやろ」ママはの〜の
を見て笑いました。の〜のも笑いながらサチを撫でると、サチはの〜のの顔をペロペ
ロ舐めました。
「昨日はサチも心配してたみたいだよ。遠く離れてて分からん筈やのにね。希とサチ
は小っちゃい頃から仲良しやったし、何かを感じていたんかもな」ママはサチが嬉し
そうにの〜のを舐めているのを見ています。
「サチ、心配させてごめんな〜」の〜のがサチを撫でると、サチは嬉しそうに顔をす
り寄せてきました。由香里姉ちゃんと翔がおはようと言いながら来ました。サチは翔
と由香里姉ちゃんにも嬉しそうに顔をすり寄せています。ママがサチのご飯と水を持
って来ると美味しそうに食べています。

「ご飯にしようか」おばあちゃんが声を掛けてお家に入ると、パパも起きていて新聞
を読んでいました。
「希、足はどんな具合や?」の〜のがおはようと挨拶するとパパも挨拶して足の具合
を聞きました。
「おばあちゃんが揉んでくれたからだいぶんよくなったよ。あと2、3日したら普通
になるよ」の〜のがパパの横に座ると翔はママの横に座って嬉しそうです。
8時半頃に香織姉ちゃん、奈央姉ちゃん達が来るとみんなが無事だった事を喜んでく
れました。昼ご飯の後に繭子が繭パパ、繭ママ、菜々美と一緒に来ました。テレビの
ニュースを見るとロープウェーはまだ直っていなくて、歩いて降りられないお年寄り
や子供、観光客の人達が300人くらいホテルや山小屋にいるそうです。の〜のは昨
日駒ヶ岳の看板のところで一緒に写真を撮った女の子の事が心配になりました。お母
さんとお父さんが一緒だったけど、無事に降りられたのか、それともまだ山小屋に居
るのかなぁと思いました。

3時頃にロコの大橋さん、企画部の部長という人が尚美姉ちゃんと一緒に手土産を持
って謝りに来ました。スタジオで撮影する時にいつもいるコーディネーターの女の人
も来ました。部長の人はロープウェーで上がるからと安易に考えていた事を反省して
いました。の〜のは無事に帰って来れたので何とも思っていないけど、パパとママ、
繭ママは少し怒っていました。パパが登山の経験者にしろって言った事と、パパが一
緒に行ったから良かったけど、もし、最初の予定通りに行ってたらの〜のは帰って来
る事が出来なくて、まだホテルか山小屋にいる事になります。

ロコの人達が帰ったのと入れ違いで真弓姉ちゃんと弘美姉ちゃんが来ました。
「の〜の、無事やったんやな〜。ロープウェーが動かんなったってニュースを見てび
っくりしたんやで〜。パパが一緒で良かったなぁ」と喜んでくれました。2人はママ
から典子姉ちゃんの話を聞くと驚いていました。の〜のやパパが典子姉ちゃんに助け
られた事を知っているからです。
「そうか、お姉さんがの〜のに言ったんか。お姉さんは何時でもの〜のを見守ってい
るんやな。これからもお姉さんに守ってもらうんやで」弘美姉ちゃんはの〜のを抱き
しめてくれました。
その後ニュースで知ったんだけど、ロープウェーが動き出したのは4日後だったそう
です。最初はヘリコプターで降ろしていたそうだけど、あの日以降天気の悪い日が続
いて中々ヘリコプターを飛ばせなかったそうです。
                    
          *

山から帰って来て2週間後、10月最初の日曜日に運動会がありました。今週は小学
生の運動会で来週が幼稚園の運動会です。山で痛かった足も3日くらいで治って体調
は万全です。パパと一緒にサチのお散歩から帰って来ると、ママとおばあちゃん、桂
子おばちゃんがお弁当を作っています。
「希、ママは一緒に行けんけどお昼には顔を出すからな。おばあちゃんと桂子おばち
ゃ、パパと由香里ちゃんが行くからな」とママが言いました。ママはお店が有るから
行けなくて、途中から少しだけ抜けて来ると言いました。来週の翔の運動会には朝か
ら一緒に行くと言っていました。数日前から予約の調整をして、香織姉ちゃんや奈央
姉ちゃんに頼んでいるからと言いました。由香里姉ちゃんは昨日から来て泊まってい
ます。顔を洗ってから翔を起しに行こうとした時由香里姉ちゃんが降りて来ました。
「の〜の、おはよう。お兄さん、有希ちゃん、おばちゃん、おはようございます」由
香里姉ちゃんがみんなに挨拶して顔を洗いに行きました。

「翔、起きや〜」の〜のが声を掛けると、翔は眠そうな顔でおはようと言いました。
「の〜のは何に出るんや?」朝ご飯を食べながら由香里姉ちゃんが聞きました。
「徒競走とリレー、玉ころがしと玉入れ、パパと二人三脚にも出るよ」の〜のが笑い
ながら言うと、ママも笑いながらプログラムを見せています。8時過ぎにパパの車で
繭子に家に寄り、繭子の家族と一緒に行きました。繭子も2年生の学年リレーと一輪
車競走に出ます。
9時から赤組、白組、青組に分かれて運動会が始まりました。の〜のは青組です。午
前中に徒競争と玉ころがしに出ました。徒競走は1等だったけど、玉ころがしは白組
が優勝して青組は2位、赤組が3位でした。お弁当の時間になるとママも来ていて繭
子の家族と一緒に食べました。
「の〜の、速かったなぁ。1等やったけど2等とはずいぶん離れてたで〜」お弁当を
食べながら由香里姉ちゃんが褒めてくれて嬉しかったです。

「ママ〜、いつまで居るん?」
「お昼から最初に二人三脚やろ。それまで居るわ」ママがお弁当を食べながら言うと
パパが笑っていました。翔はの〜の横でおにぎりを食べています。の〜のが玉子焼き
を食べさせると嬉しそうな顔をしました。繭子は繭パパの横で、菜々美は繭ママに抱
かれて嬉しそうにしています。
午後からのプログラムは最初に親子の二人三脚です。パパはジャージで来ていたので
そのまま出て来ました。先生から青のハチマキを借りて巻いています。
パパ〜、お姉ちゃ〜ん、翔が叫びながら手を振っています。ママやおばあちゃん、由
香里姉ちゃんも手を振っています。足を括ってスタートラインに並ぶと、パパがの〜
のの肩を抱いて右足からやでって言いました。
「パパ〜、1等になろうね」スタートラインでの〜のが笑うとパパも笑って頷きまし
た。スタートの笛が鳴るとの〜のが右足、パパが左足からでイチ、ニィ、イチ、ニィ
と言いながら走りました。ワァーワァーと歓声が起きる中、1等でゴールしました。

「パパ〜、やった〜」足の紐を解くとパパに抱きつきました。ママたちの方を見ると
翔も一緒に手を振っていました。2年生のリレーが始まると繭ママと繭パパ、菜々美
が大声で応援しています。繭子は赤組だったけどの〜のも応援しました。
最後に全学年リレーがありました。各組1年生から6年生までのリレーです。の〜の
は3年生の代表で頑張ったけど、赤組が1等で青組が2等、白組が3等でした。
次の日曜日は幼稚園の運動会です。翔は早くから起きて嬉しそうです。去年の運動会
でも1等賞を取ったので今年も1等賞を取るからねと言っていました。天気予報では
曇りだけど雨にはならないと言っていました。ママとおばあちゃんがお弁当を作ると
パパの車で行きました。桂子おばちゃんと深雪姉ちゃんも一緒です。

「翔ちゃん、頑張って1等になりや」車に乗るときに香織姉ちゃんが言うと、翔はV
サインを出して笑っていました。9時になると入場行進から運動会が始まりました。
「翔、頑張りや〜」いくつかのプログラムの後、翔の徒競走の時に声を掛けると翔は
嬉しそうに手を振りました。ママとおばあちゃん、繭ママや繭パパ、繭子も声を掛け
ています。翔の後、菜々美が走る時もみんなで応援しました。
「翔、速かったな〜。1等やったやん。菜々美も1等やったな」ご飯の時にみんなが
翔と菜々美を褒めると、2人は嬉しそうに笑っていました。運動会が3時に終わって
お家に帰ると、ママはお店に出てお仕事を始めました。


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