初めて知覚したのは、音
木々を吹き抜ける風の音
こすれる葉の音
そして
そして・・・・・・・・・?
瞼を持ち上げると、木目のある天井が目に入る。
障子から透ける光は明るく、取り巻く空気は暖かい。
力を込める。
起き上がる。
始めに捉えた『音』の方へ。
バンっ!
音を立てて、半開きだった障子を開くと、2つあった音の・・・・・・・・・いや『声』の、片方が止まった。
キャッキャッ、残っている方、甲高い笑い声に顔を向ける。
栗色の髪をした幼女が転がっていた。
「ほ?」
見詰めていると、目が合った瞬間、大きな瞳が見開かれ――――――
にぱっ!
すぐにまた笑い出した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何故か、その一連の動作から目が離せない。
しばし、じっと眺めていると、
「その子は、ちょーこ」
最初に聞いた『声』が、背後からした。
「・・・・・・・・・ちょー、こ?」
「うん、そう。それが一番大切なこと」
その子は、ちょーこ。
声が繰り返す。
「わかるよね?僕らを選んだ子。僕らが守るべき子。ちょーこ」
『僕ら』と表現する声の主を、そこでようやく振り返った。
視界に入った色は己のものよりも薄く、意外な気がした。
同じものかと、思っていたから。
「僕は羽鳥」
おそらく造りは同じだろう顔が、ニコリと微笑を形作ってオハヨウと告げる。
「初めましてはいらないよね。よろしく、飛鳥ちゃん」
ここで、頷くしか出来なかったので、今の関係が固定されてしまった気がする。
後日、ちょーこに構う俺を見て、羽鳥が
「すりこみかなぁ?」
と呟いた。
あまり認めたくないけれど、それもあるかもしれない。
そんな事情で俺は、
ちょーこと・・・・・・・・・・・・大変不本意ながら、羽鳥の『声』に、弱い。
ただし、普段の軽口ではなく、落ち着いた声色限定で。
本人は気付いていないようなので、
絶対に教えるものかと固く決めている。
オマケ
「ところで、お前が初めて見たのは誰なんだ?」
「えー、秘密」
「秘密って・・・・・・住職か鴉さんかしかないだろうが。あ、それともお前もちょーこか?」
「さー、どうでしょう?」
「羽鳥!」
「あはは〜」
真相はコチラを御覧あれ
なんだかこの話、とっても気に喰わないので後日書き直してると思います。
記念すべき第一話なのにぃ!!