「か、勘弁してくださいお代官様」 「誰がだ」 「じゃあ女王様?」 「この態勢で良い度胸だ」 もがく様子からは必死さを感じるのだけど、それにしては跳ね除けられる気配が無い。 ・・・・・・実はかなり具合悪いんじゃないのか?そもそも昨日だって一昨日だって・・・・・・
「ちょ、飛鳥ちゃ・・・・・吐きそ、う」 踏みつけたまま考えていたら無意識に力が入っていたらしく、半泣きになっていたので慌ててどいた。
心配、と言うほどではないにしろ、それなりに気になってはいた訳で。
「・・・・・・世話焼き対象にされても迷惑なんだけど」 この台詞はそれなりに堪えた。
米を洗いに行く前に、米と一緒に持ってきた筈のものがいくつか足りず、首を捻った。 寄り道と言う寄り道は羽鳥を踏みつけてきたくらいのものだけど、気付いて持ってきてくれる事はないだろう。 井戸に行くだけなら実を言うとわざわざ通る事もないけれど、忘れ物があるのだからしょうがない。 そう、正当な理由だ。 何に向かってか理由付けをして、飛鳥は三度兄の下へ向かった。釜を持って。
廊下の先には案の定、うつ伏せで寝そべったままの羽鳥が居て、飛鳥は少し足音を殺し気味に近寄った。
「通行の邪魔だと何度言ったらわかる」 「何往復もしないでよ。手際悪いなぁ。・・・・・・・・・嘘ですゴメンなさい」 手にした釜を押し付けると泣きが入った。 先程と似たような会話が進行していくのは何故だろう。 ああでも今度は踏みすぎないようには気を使っているけど。
「そうだ、これどう思う」 西瓜の話題が出たので思い出した皮の漬物を、何か言いかけた口に放り込んだ。 その際、掠った唇の柔らかさにドキリとした。 柔らかいだけじゃなく、記憶にある熱くて濡れた感触まで思い出してしまって少し焦る。 「飛鳥ちゃん、さぁ」 「なんだ」 落ち着け、気付かれるなと自分を律しているというのに、 「いいお嫁さんになれるね」 ぷち 頭の奥で何かが切れる音を聞いた。 「いい加減にしろっ!!」
苛立ちの衝動のまま、押し付けていた釜をどけ、布越しに浮き出た肩甲骨に噛み付いた。 「ひゃう!?ちょ、ちょっと痛・・・・・・うっ」 呻く声に、一度離して今度は柔く歯を立てた。 「ん、んぅ・・・・・」 痛みに硬直していた身体が、違う意味で跳ねた。
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さぁ、HシーンへGO〜!←もうヤケ