2001年第3回定例会 発議案提案と質疑                     戻る

[発議案第1号]

議長(千葉満) 提出者から、提案理由の説明を求めます。

 岩井友子議員。(拍手)

[岩井友子議員登壇]

岩井友子議員 発議案第1号の提案理由を説明させていただきます。

 市民連合の皆さんと日本共産党の共同で提案できたことを、大変うれしく思っています。条例についての提案説明をいたします。

 この条例は、介護保険の在宅介護サービス等を利用したときに、本人が負担をする1割の利用料に対して助成を行って、在宅介護サービスの利用を促進し、在宅生活を支援しようというものです。

 幾つか特徴点ありますので、説明をいたしますと、まず、助成の対象とするサービスは、介護保険の在宅介護のサービス及び介護保険に準じて行われております認定から漏れてしまった方々に対する市単で行っている在宅介護サービスといたします。現在は、国の特別対策を広げて訪問介護の利用料助成は行われておりますが、訪問看護や入浴サービス、デイサービスやデイケア、ショートステイなど、在宅介護サービス全体にサービスの対象を広げるものです。これによって1人1人条件の違う要介護高齢者の条件に合わせたサービスが利用できるようにしたいというものです。

 次に、対象者と助成額ですが、第3条の1項、すべての利用者に対し負担額の7割を助成して、在宅サービスは基本的に3%の負担でだれもが利用できるようにする、こうした部分と、第2項の低所得者は本人の負担額の全額を助成するという2段階の制度にしております。保険制度であっても、所得が低い高齢者の介護サービスは福祉の役割が強く、負担があることで制度から漏れてしまうことを放っておくわけにはいきません。

 また、今議会でも特別養護老人ホームの待機者のことが何度も取り上げられましたが、在宅介護重視だったはずの介護保険が始まって、逆に今、施設志向が強まっていることが繰り返し指摘されています。待機者へのアンケート調査で、入所の動機の1番が、家族に介護の負担をかけたくないというもので、回答者247人中157人に上っていました。ところが、サービスがどの程度使われているのかという同じアンケートの設問では、在宅の方54人中、介護サービスを利用している方は33人でした。残りの方は介護サービスも使っておりません。

 昨年度の実績を担当課の方に伺いましたところ、在宅サービスを利用した人でも、限度額に対し4割しか利用していませんでした。このことは、在宅介護サービスが十分使われていないまま、家族の負担が大きいとして施設サービスを選んでいる姿があるんではないでしょうか。すべての利用者を対象にした利用料の助成は、在宅介護サービスの利用を促進し、在宅生活を支援することを大きな目的としていることも強調しておきたいと思います。

 さらに、この間、利用料の助成については繰り返し検討しているという答弁がありました。本議会でもこうした答弁が行われ、来年度実施ということで、来年度まで実施が先送りされることが表明されました。しかし、現時点で介護認定を受けていらっしゃる方々は6,500人を超えています。こういう方々にとって、また家族にとって、今、毎日の暮らしの中で介護が必要とされています。

 議員の皆さんも、地域で、病院から退院するように言われた、どうしたらいいだろう、こうした相談を日常的に受けていらっしゃるんではないでしょうか。何とかならないかと心を痛めていらっしゃると思います。1日も早い制度のスタートを切る、それも私たち議会の役割になっており、私たちの努力でできることはやっていきたいと思うんですが、皆さん、いかがでしょうか。賛同してくださることを期待して、説明を終わりといたします。

議長(千葉満) 以上で説明は終わりました。

……………………………………………

議長(千葉満) これより質疑に入ります。

 質疑はありませんか。

 朝倉幹晴議員。(拍手)

[朝倉幹晴議員登壇]

朝倉幹晴議員 ただいま提出されました案について、小さな声ネットワークを代表して、質問させていただきます。

 本条例案は、今後、厚生委員会で審議されますが、私たちには厚生委員がいませんので、この場でさせていただきます。

 今、提案者からの説明にありましたように、福祉制度そのものを、在宅福祉サービスそのものを充実させていく方向、あるいは減免を充実させていく方向を、基本的には私たちはいいと思っているわけですけれど、特に第3条の利用者に利用料の7割に相当する額を助成するということの是非について、質問させていただきます。

 まず、介護保険サービス初め、高齢者福祉サービスが万全とは言えない状況にあわせて、何らかの対策を考えられていく提案者のようなご努力には敬意を表します。提案者は条例案の目的を、利用者負担を軽減させて利用を促すと述べましたが、見方によっては、介護保険料に見合ったサービスが十分提供できてない段階で、その利用料の一部を利用者に還元していくという方向とも解釈でき、考え方の1つとしても理解できるものであります。しかし、今の事態に対処していく方向として、本条例案のように利用料を薄く、広く還元していくという考え方ではない考え方もとれるのではないかと、私たちは考えております。

 そこで、質問です。

 本条例案が施行されたときにかかる費用は、約3億円だとお聞きしております。これは、一般会計からの持ち出しということとお聞きしております。この3億円を他の市の財政支出のどこかを削って、この条例案で高齢者福祉の分野に振り分ける考え方と理解してよろしいのでしょうか。その際に、どこをどういうふうに削るということまで詳細に述べていただかなくても結構なんですが、3億円他を削ってこの条例を具現化する方向と解釈してよろしいかどうか、お聞きしたいと思います。

 第2点目です。もしその理解でよろしいのでしたら、市の財政支出のどっかを削り、必要の高い場所に振り分けるという考え方自身は理解できます。現に、内容は別ですが、私たちの会派でも、下水道の支出部分を見直し、歩道整備などに回すべきとの判断を持っております。ただ、一般会計のどこかを削り、高齢者福祉に3億円振り分けるという考え方自体はよいと考えたとしても、なぜその3億円の使途を本条例案のように利用料の軽減にしたのか、他の分野での高齢者福祉の予算を充実させる方向に回せなかったのかをお聞きします。

 例えば、今年度の予算概要によれば、一般会計から、次のような事業が行われております。生活支援型ホームヘルプサービス事業、これは3380万円、70人を想定しております。軽度生活援助事業153.6万円、1,920時間を想定しております。訪問理美容事業120.0万円、1,200人を想定しております。家族介護用品支給事業5,078.5万円、7,200月を想定しております。それから、家族介護慰労事業750.0万円、50名を想定しております。その合計は9,482.1万円です。このサービスの利用者想定と、今この市が一般会計から行っているこのサービスに関しては、利用者想定と、この現状の費用で十分なのでしょうか、それこそ枠がこの部分で少なくて、あるいはその部分にかかわる職員が不足していて、利用希望者全員にこたえられていないという自体はないのでしょうか。あるいは、枠が限られているために、利用控えが起きているという事態はないのでしょうか。

 また、この5つの事業以外でも──この5つのうち1つの家族介護慰労事業については、さとうももよ議員の方からも、先般議員で疑義が呈されていますが、少なくとも1から最初に挙げた4つの事業については、充実させていく方向もあり得るんじゃないかと思います。それから、この4つの事業以外でも、介護保険では賄えない他の部分を、一般会計からの高齢者福祉部分への充実として、サービスメニューを加えるという方向性はないのでしょうか。同じ3億円を一般会計から支出するときに、一般会計を利用して高齢者福祉サービスを充実させるのではなく、なぜ介護保険料の薄く広くの還元につながる本条例を提案したか、その判断理由をお聞かせください。

 最後に、個人的な話で恐縮なんですが、私自身、福祉サービス公社の職員の労働条件の切り下げの問題が起きたときに、その現場の視察をさせていただきました。提案者の岩井議員も同様な視察をされたと聞いております。福祉サービス公社の介護保険以外の部分の市の一般会計からの持ち出しを、その3億円部分を充てることで、あそこの人数を充実させることはできないのかということを思います。

 それから、そういうことも思いますので、実は提出者の岩井議員には、私が議員になる前、西船橋駅のエレベーターの件で陳情を出すときに、どういうふうにすればいいかとお世話になったことがありますので、個人的にはいろいろな思いがあるんですが、これからの高齢者福祉について、どういう方向を考えていくかという方向について、お考えをお聞かせ願えればと思います。

[岩井友子議員登壇]

岩井友子議員 発言する機会をまた与えてくださって、ありがとうございます。

 まず、この財源をどうするのかという話があったんですけれども、今議会、平成12年度の補正予算が組まれて、国・県に返す、清算が行われますよね。それで、その裏負担として、当然、船橋市の一般会計に戻される部分があるんですが、それが約2億8000万円程度だというふうに聞いております。大体それに匹敵するぐらいの費用で、1年間は賄えるんじゃないか。ただ、ことし1月1日、今回の条例の提案は、来年の1月1日から施行ということなので、1月、2月、3月ではなくて、1月と2月分の清算だけで済むので、数千万円程度でとりあえずは済むのかなというふうに思っています。ですから、ほかの事業を削ってというふうには当面は考えていません。

 それから、ほかの部分、もっとほかの高齢者の福祉のサービスに振り向けられないのかという話がありましたね。その中で、具体的に事例として挙げられていたのが、生活支援型ホームヘルプサービス事業ですとか、介護保険スタートによって自立と判定されてしまった方々に派遣をしているホームヘルパーの事業、そういうものをもっと充実できないのかというご質問だったと思うんですけれども、この制度を使うのも、やはり1割の負担がかかっているんです。それで、こうした事業も含めて、今回の条例では救済をしていきたい。1割負担の部分については、とにかく3%負担にしよう、介護保険に準じている部分については3%にしたいというのが基本的な考え方です。

 それで、ご質問者も、減免も必要だし、在宅重視が大事だというふうにおっしゃっておりました。本当にそのとおりだと思うんですね。何で施設を選ばなきゃならないのか。ここのところを考えたときに、まず──これは行政の皆さんにしっかり実態調査も行っていただいて、分析をしていただきたいと思うんですけれども、実感として感じているのは、住宅事情が悪くてベッドが置けない、車いすが使えないとか、そういうこともあるでしょうし、同時に、給付限度額が低くて、例えば介護度5の方の場合、先ほどのさとう議員の質問でもありましたけれども、24時間の介護を支え切れるだけの給付が受けられない制度的な問題があります。これでは、やはり施設を選ばざるを得ないという実態があります。

 それから、デイサービスなどで、特に痴呆症の方の場合、デイサービス、本当に大事なんですけれど、デイサービスが希望どおり受けられないんですね。週に3回、4回使いたいといっても、週に1回しか使うことができない、こういう問題があったり、それから、もう1つは、公的介護サービスにまだまだなじみが薄いという中で、その上、1割の利用料負担があるために、なかなかサービスに近づかない、近づいていない方々が多いと思います。特に負担額とサービス、どっちに……。てんびんにかけた場合に、もったいないから我慢しちゃおうという方が、介護保険のスタートで相当出ました。我慢できることは我慢してしまう。そのことで利用の抑制が、逆に介護負担を重くしてしまって、そして施設志向に走ってしまう、そういう傾向があるんじゃないかと思います。

 そういう点では、できるだけ介護サービスに近づけるような工夫をすること、そのことが今本当に大事になっていると思います。施設志向が強まると、介護保険会計自身も大変財政負担が重くなります。それから、実態として待機されている方々の中で、在宅では生活できないために、社会的な入院も、皆さんもご存じのとおり、かなり残されております。そういう点では、老人医療会計を大きく圧迫するとか、財政コストの面を考えても、早く在宅介護をうんと充実することが必要だと思います。在宅介護を本当に充実させるためには、例えば上乗せ負担とか、横出しとか、いろいろなサービスが考えられるんですが、当然、自己負担がついて回るんですね。ですから、自己負担を減らすことですべてが解決にはならないんですけれども、自己負担を減らすことによって在宅をうんと使いやすくする。いろいろな意味で大事なことだというふうに思います。ぜひ一致していただけると思いますので、ご賛同ください。

議長(千葉満) ほかに質疑はありませんか。

[「なし」と呼ぶ者あり]

議長(千葉満) 質疑を終結します。