《バイクのレストア作業記録》
〔Suzuki GSX−R750遍〕
◆その3: 「フロントスタンドのセット作業」
サイドスタンドだけだと作業がしにくいので、前から欲しかったリヤ用のレーシング
スタンドを購入し、いざバイクを載せてみると、なんともいい感じ(^_^)。
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<-- 簡単にセット出来たリヤースタンド
ところが、フロントタイヤの空気が抜けていて、タイヤがひしゃげた風になっている為、
タイヤが変形してしまうのと、前輪のメンテのしやすさも考えてフロントを持ち上げられる
ように4輪車用の「ウマ(ジャッキスタンドのこと)」をフロントフォークの下にセットしよう
と考えた。
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リヤスタンドをセットした後、フロントも上げてみようとして、「ウマ」を左右のフロント
フォークの下にセットすべく、エンジン下へジャッキを架けようとしたら、カウルやマフラー
がジャッキに干渉して、出来そうにないみたい。
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乾燥重量が190Kgぐらいなので、フロントタイヤの位置だと半分ぐらいの重量だろう
からなんとか人力で持ち上げられると思い、タイヤにまたがり両手でタイヤを持ち上げて、
「ウマ」を足で蹴りながらフォークの下に押し込むことをやった。しかし重い。持ち上げた
状態で片足で「ウマ」をちょっとずつ蹴り押しながらフォークの下にセットしたら、なんとなく
左右で高さが違う。どうも片方だけ浮いている感じ。
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よく見たら、フォークの片方だけにボルトが付いているので、その頭の部分だけ高さが違う
せいと判明。仕方がないので「ウマ」でフロントを持ち上げるのは断念せざるを得ない。単なる
思い付きでやっただけなので、うまくいかないもんだと早々に諦めて、翌日フロントスタンドを
購入しにまたもや鈴鹿の「南海」へ行ってきた。
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ところがフロントスタンドを観たところ、どうやってバイクに装着すればいいのか判らな
かったので、店員の兄ちゃんに「これ、どうやって使うの?」と聞いたら店員の兄ちゃんも
判らないとのこと。仕方ないので、店に置いてある「デイトナ」のカタログの中の写真で実際
にバイクにセットしている写真を見つけたので、「まぁ大丈夫やろう」と思い購入してきた。
早速取り付けようとしたらフロントカウルやらブレーキホースディバイダ(左右のキャリパー
にホースを分配するやつ)やらが干渉してセットできそうにない。だいたいこんなU字型の脚部に
1本のバーが直交にくるくる回る状態でとりつけてあるだけでどうしてフロントが持ち上がった
まま固定されるのか、とっても不思議。
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ためしにZ650にセットしてみた所、何も干渉しないで持ち上がったが、手を離すと直ぐに
フロントが降りてしまう。「ダメじゃんコレ」と思ったが、そういえばなんか直径2センチくらい
で長さが4cmのカラーが数個付属していたのを思い出した。何に使うのかよく判らなかった
が、フロントアクスルの内径と近いサイズであることに気づき、このカラーがきっちり内径と
一致して固定できたらフロントスタンドが安定することが判明した。
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ところが付属していたカラーは内径が21mmのGSXRには全て合わない。店員さんはGSXR
でも大丈夫と言っていたけど、使用方法も知らないので適当に答えていたんだなぁと自分自身
で納得し、最も近いサイズの21.5mmのものをグラインダーとベルトサンダーで均一に削って
21mmにしたまではいいが、いろんなものが干渉するのでフロントスタンドだけではフロント
は上げられない。
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<-- とっても気に入ったベルトサンダー
このベルトサンダーは秀逸!! こんなに金属を簡単に削る道具が在るとは正直いって知らな
かった。グラインダーで荒削りをし、ベルトサンダーで仕上げた。削る時の音も静かだし、
もう見事というしかない。2500円くらいだったのでとっても満足した。
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フロントの辺りに2m程の鉄パイプの三脚を構築し、チェーンブロックをセットした後に、
フロントホイールを通してマッドガードに干渉しないような吊り上げ用の簡単な治具を作成し、
チェーンブロックでフロントを30cmほど持ち上げた。
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これらの段階を経てから、ようやくフロントスタンドをセットできた。しかし、フロントスタンド
から降ろす時もチェーンブロックをカラカラいわせてそのお世話にならないといけないの
がなんとなく憂鬱。
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<-- フロントアクスルにキッチリはまったスタンド
それでも、初めてGSXRが直立不動状態になったので、両ステップに足を乗せて跨って
みた。レプリカ車に跨るのは初めてなので「こんなにタンクを抱え込むようなライディング
なんだ」と今更ながらに実感した。
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<-- 完全に空中で静止状態になったGSXR
この前、久しぶりに鈴鹿の「車」雑誌専門店に行ってみた。いろいろと店内を見回すと、
「Old Timer」誌の別冊の「レストア入門マニュアル」と「ケルン石塚の世界 & 一品工具大全」
という本を発見した。パラパラとめくってみたらとても面白そうなので、高かったけど購入し、
帰宅後に読んでみると、もう目からウロコの連続。「ウ〜ン」とうなるような驚きと発見を経験
するのは本当に素晴らしい。
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仕事柄、いろんな工場に行って各種の工作機械を見てきたけど、それでも知らないことが
たくさんあり、新しく知るという経験が出来るというのはなんとも嬉しいもんなんだなぁ。
次回の「その4」はZ650同様、ブレーキの分解メンテナンスの予定です。
<-- 外されたフロントブレーキ