バイクのレストア作業記録

〔Kawasaki Z650遍〕


◆その3 : 「キャブレターの分解メンテ」    

 「ゼファー」の資料や、Z650のサービスマニュアルが入手できたので、いざキャブレターの
分解メンテナンスに取りかかった。まずはキャブを取り外さないといけないんだけど、どうやって
ばずせばいいかよく判らない。エアークリーナーがゴッソリ取り外せれば簡単なんだけど、
フレームが邪魔してとても出来そうにない。                                    .

仕方なく、「インレットダクト」と「キャブホルダー」の両方を注意深くキャブからずらしながら
はずして、キャブを横から抜き出すことにした。それもそのまま横にずらしても出てこないので、
車体の前後方向に対して、転がすような軸方向にキャブを40度ほど回転させてからでないと、
出てきそうにない。                                                                       .

 それもなかなかうまくいかず、位置関係がギリギリという事もあって、悪戦苦闘の上ようやく
取り出すことに成功した。ものすごく汚いキャブなので、まずは全体を灯油で丸洗い。この後、
各種クリーナーで汚れを落とそうとするも、なかなか綺麗にはならない。やれやれ・・・      .

    <-- キャプ洗浄に使ったケミカル用品達

 結局は灯油にどっぷり浸けながら、ブラシでごしごしするのが最も効果的みたい(危険ながら、
ガソリンもなかなか効果的だった。しかし危険すぎるので怖くて直ぐにヤメてしまった)。今度もう
一回同じことをする時は、カーボンクリーナー液を試してみよう。この時、窪んだ細部の汚れを落とす
のに、ちょっとした道具を作ってみた。柄が木製の真鍮ブラシを買ってきて、この柄の部分を直径8mm
程度の六角柱に切り出し、その小さな六角柱ブラシを電動ドライバの先にセットすると、便利な電動
ブラシの出来上がりとなる。このブラシの使い勝手は最高で、どんなに細かい所にも届くし、回転運動
で洗浄するので、ブラシを往復運動させる余地がなくてもブラシの先が当たりさえすれば洗浄が出来て
しまう。とっても気に入って使っている。                                                                                .

  <-- 今回作成したブラシと一般市販の回転ブラシ

 外観がほどほどに綺麗になった後で、キャブレターを分解してみた。これがまたすごい汚れで、
中は緑色のコケみたいなものや黄色のドロドロしたものがいっぱい。これらも灯油にドップリ浸け
て丸洗いした。ただ、今度は真鍮製の部品であったり精密品なので、ブラシはプラスティック製の
ものにした。ジェット類もつまっているようなので、コンプレッサーで吹けばいいんだけど、なん
となくジェットごと吹き飛ばしてしまいそうな気がしたので、これには別の秘密兵器を使用した。

 日本製の爪楊枝に対して、台湾製の爪楊枝は竹でできていて、且つその先端はものすごく細くて
尖っている。これでちょんちょんと突けばもうバッチリ。ただし、先が非常に細いので、少しでも
斜めにしてしまうと折れてしまうから、細心の注意を要する。といっても、時々は針を使用したり
はしたけどね。ただ、ジェットの内壁部に針先が当たると必ず傷になるので、導通チェックだけに
心がけた。                                                                                                           .


   <-- 汚いキャブの中

 キャブの中を綺麗に洗浄し、フロートがちゃんと動作するようにチェックしながら丁寧に組み
立てた。この時、パッキンも交換した方がいいんだけど、入手が大変なのでそのまま古いものを
使用した。次回オーバーホールする時はなんとかした方がよさそう。とりあえず、ガソリンが漏れ
ないようなのでよしとするか。                                                                                       .

 キャブをはずす時も大変だったけど、組み付ける時は更にも大変だった。「インレットダクト」と
「キャブホルダー」がうまくキャブにはまってくれないのでまたもや悪戦苦闘してしまった。とりあ
えず、なんとか組み付けてはみたものの、これが本当の作業手順なんだろか? 生産時には
別のもっといい方法でやっているのかもしれない。                                                       .

 組み付け終わった後で、今度こそエンジンが掛かるかもと思い、ポイントを研磨してギャップ調整
を行い、エンジンオイルを入れ替えて再度エンジン始動を試みてみた。セルは回らないので、気
合いを入れてキックを踏み下ろすも、全然掛かる気配がない。それにどうもキックの重みが軽い
ような気がする。なんとなく、ズルッとキックが下りてしまうような感じ。                                  .

 あれこれ調べてみると、どうもクランクが回っていなさそう。「こんな事ってあるんかいな?」と
思い、色々みてみてもやっぱりクランクは回っていない。どうやらエンジン内部に重大な問題が
発生しているような感じ。やはりエンジンを全バラしないとダメみたいだ。折角入れたオイルが
勿体ないと思いつつ、仕方ないよねこれだけは・・・                                                       .

 ということで、ついにエンジンを降ろすことに決定!! ところで、どうやって降ろしたらいいんで
しょうかね。シングルエンジンなら気合いで持ち上げられるけど、これはメッチャ重そう。また
もや秘密兵器を考案しないとダメかもしんない。とりあえず、いい案が出てくるまではブレーキ
やらの手頃(?)な部分からレストアを続けましょうか。とはいってもエンジンだけでも掛かって
くれないと気力が沸いてこないしなぁ(笑)。                                                                  .


ということで次回の「その4」はブレーキの分解メンテナンスの予定です。これも一筋縄では
いかんのだろうなぁ・・・                                                                                        .

 <-- すごい状態のブレーキ


<その2 : 「現状把握」>      <Home>      <目次>