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瑕と榎木津2

そして「瑕」と言われて一番ひっかかるのは中禅寺のセリフ。
「『探偵は何もかも知っています。彼は真相を視ているんです。ただ――』ただ意味を知らないのですと京極堂は言った。」

絡新婦では、あれと意見が違うということは、間違っているということだ、と言っていました。邪魅では、彼奴を侮ってはいけないと言いました。
「意味を知らない」と、マイナスの言葉を付け加えたのはここだけだと思うのです。いい加減な読み方してるから読み落としてる可能性大ですが(笑)。

「意味を知らない」……それじゃ伯爵と一緒じゃないか。
最初私はそんなふうに思って、まるでそれが榎さんの瑕と言わんばかりだと思えて、嫌だった。
だってそもそも視えるということが普通にはない+αの部分なのだから、その意味まではわからないからといってそれを瑕とは言えないだろう。

では何が?
視えてしまうということそのものか。
あるいはその発露の仕方か。(しかし視えなくても彼の言動が非常識であるに違いないことは容易に推測されることであり……)
ならば、意味も分からないものが視えてしまうという苦痛か……。

それとも、中禅寺のこの言葉にそんなに深い意味はなく、瑕を負った者の中に榎木津が含まれるという解釈も間違いなのか。
多分、読み直してもわからないと思います。私には。
わからないけれど、とてもひっかかります。