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思い込みが強すぎて暴走する妄想

榎さんが諦めたんじゃないかなと思うもの。

それは仕事、です。
進路、と言ってもいいかもしれないけど。

榎さんてメカ好きだよね。
デンスケや改造車に狂喜してたもの。
だったらほんとは理工系に行くこと考えるんじゃないかな。
でも目が悪いと、実験とかいろんな作業が大変だと思うので
それで文系にしたのかなあ、なんてね。

で、法学部っていうのは前に、競争率が高かったから面白がって受けたんじゃないかなんて書いたんですが
それはあるとは思ってますが(笑)
もしかしたら何某かの思惑だってあったのかも。
エンジニアが無理ならこれをやろうか、みたいな将来に対する考えって
何にもなかったんでしょうか。

法学部だからといって法曹界に入ろうと考えていたとは限らないんですが。
それとも本当に何の考えもなかったのかなあ。
帝大に進むころには戦局が今後悪化することを見越していて
どうせ将来のことを考えても生き残れるかどうかわからないから
なんて理由で何にも考えてなかった可能性もあるかな。
で、いざ戦争が終わって生き残ってみたら
ちょっと通常生活は送り難い状態になってたものだから、定職に就かず(と言っていいのかどうかわからんけど)にふらふらしてたとか。

でももしかしたら、何かやりたいことがあったのかもしれない。
敦子は、榎木津がビジネスに興味がないと言っていたけれど、
もしかしたらあったのかもしれない。
だけど、考えていなかったにせよ、やりたいことがあったにせよ
やっぱり復員後はよく視えるようになったせいで、というのは大きかったんじゃないだろうか。

腹に一物抱えた人間たちとたくさん会わなければならないというのは
相手の嘘が見抜けてしまうと余計に我慢ならないものじゃないんだろうか。

挿絵描きの仕事って、比較的他人との接触が少なくて済むんじゃないだろうか。
進駐軍相手の仕事だったら
空襲や戦地での酷い記憶を持った日本人を視るより、まだ楽だったんじゃないだろうか。
そんなふうにして、少しずつ順応していく時間が、さしもの榎さんにも必要だったんじゃないだろうか。

本当に興味がないのだったら、将来財閥の長にはなってないのじゃないかな、と思った次第。