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蜃の楼感想

褒めるとこが一個もないので、好きな人は不愉快になるだけだから読まないでくださいね。

これは今まで読んだ中で最低。
最初はどういうレトリックなんだろうと思ってわくわくしながら読んでいたのに、霧が出てきた辺りから、これはそういうものじゃなくて本当に不思議の世界なんだということになって一気に冷めた。
そうなると、作者が単に東京23区発展史に関する自分の知識を披瀝したいだけに感じられてきて読むのが苦痛になり、1日数ページにペースダウン。
追いかけていた謎の男が自分だったって、ゲド戦記の「影との戦い」かよって突っ込んでみたけど、それは違った。
違ったけどさらに悪い展開。他人と自分の記憶がごっちゃになる話はもううんざりだ。
その上結局関口くんの妄想って! 
だったらこんなに長々と作品のほとんどを費やして書く必要ある?!
夢オチと一緒なんですけど!
第一関口くんがこんな妄想するかね? 千歩譲って高層ビル群はいいとしても、何年にどういう法律ができるとか、そういうこと考えるタイプの人じゃないでしょうに。
まあそりゃイメージの相違と言われればそれまでだけど。
だとしてももうちょっと面白くしてほしい。単に現実の歴史を並べてるだけじゃないか。妄想というなら、変にあちこち時代を飛んだりしないで、年代順に追っていけば良かったんだ。そして途中から私たちが知っている現実の歴史とずれてきて、なんだこれは? と思わせてほしかった。
『図書館戦争』で昭和から平成にならず、元号が正化になって、そこから別の歴史が流れ出しているように。あるいは現実と似ているけれど少しずつ違う収まりの悪さをずっと感じさせ続けるとか。ちゃんと「創作」をしてほしい。それがないからただの知識の披瀝に感じてしまう。
そんで桜木が妄想と認めたから落ちたってなんだそりゃ。
その前に桜木は自分を関口と思い込んでいた状態から覚醒してるし。妄想じゃなくて別のものと思い込んで執着してたならともかく、そういう記述も特にないし。多少あったのかもしれないけど延々キャノン機関の話してたんじゃなかったか?
で、あげくに、巨大な蛤があったって、その締めはなんじゃそりゃ。
それもう百鬼夜行シリーズの世界観じゃないじゃん。
と、申し訳ないながら不満しか残らない一品でした。