ベッド



A子は疲れきっていた
連日の残業と、仕事のできない上司からのセクハラまがいの嫌味
仕事内容はそれほどきついわけではなかったが
精神的疲労もありクタクタだった



この日も、いつものように残業を終え
クタクタの体を引きずるようにして会社を出る
外はすでに暗闇につつまれ、家路を急ぐ人達が足早に過ぎ去って行く
夕食を作る気力もすでにないA子は
駅の傍にあるコンビニで弁当を買い、同じように足早に家へと向かう
昔夢に描いた、華々しいOLのアフター5の生活は、もう思い出すこともなかった



ワンルームにキッチン、トイレと風呂は一体型のユニットバス
2階建てアパートの最奥にあるA子の部屋
この部屋に1人暮しを始めてもう2年になるが
特に不満があるわけでもなく、1人で住むには充分な大きさなので
それなりに満足して暮らしていた



その部屋の壁にピッタリくっつけるように置いてあるベッド
シングルとはいえ、部屋の半分近くまで埋まってしまうそのベッドは
部屋が狭くなる事を承知の上でも、A子がどうしても欲しかった
ただ1つの贅沢品だった



ドアを開け部屋に上がると、着替えもせずにベッドに倒れこむA子
「あぁ〜もう疲れた〜、何もしたくない、毎日毎日本当にもう・・・」
と、グチるのも束の間、モゾモゾと置き上がりとりあえずテレビをつける
その後、意を決したようにベッドから下り、着替えを済ませると
台所からグラスを取り出しお茶を入れ、弁当をコンビニの袋から出しテーブルに向かう
テーブルと言っても、ベッドの脇に置かれた小さい折りたたみテーブルなのだが
この部屋にはそれでも充分な大きさだった



テレビを見ながらのんびり夕食を済ませたA子は
お腹がいっぱいになったのと疲れも重なって、体にだるさを感じてきた
そこで、ちょっと横になろうと足でテーブルをずらし
床に手をついて体を反転させたその時、自然にベッドの下に目が行く形になり
そこには・・・


























A子を見てニヤニヤと笑う男の顔

とまぁこれは、昔ネット上で有名になったストーカーの話ですが
俺がまだ10代後半の頃、こんなことがありました


当時俺には同じ歳の彼女がいたんですが
彼女にはお兄さんが2人いて、そのお兄さんとも仲が良かったんです
そういうわけもあって、彼女の家にはよく遊びに行ってましたが
彼女にはお兄さん達のさらに上に、もう1人お姉さんがいました
お姉さん、6歳ぐらい上だったと思う


彼女の家は2階建てで、お兄さん達2人の部屋は1階
彼女とお姉さんの部屋は2階にあり
それぞれ2人で1部屋を一緒に使ってました
彼女とお姉さんが同じ部屋ということもあって
俺が遊びに行った時は、1階のお兄さん達の部屋で遊んだり
外に遊びに行ったりしてて、ほとんど2階に上がる事はなかったけど
いつものように遊びに行ったある夜の事





なにかのきっかけで、2階の彼女の部屋に入れてもらえることになりました
「お姉ちゃんは仕事でまだ帰ってこないから大丈夫だよ」
と言う彼女の言葉に、ちょっとドキドキしながら部屋で喋ってる時
普通なら帰ってくるハズのないお姉さんが、帰ってきちゃったんですよ o(><)o


部屋を出るとすぐ階段なので、外に逃げる事はできない!
普通なら「こんばんは」とあいさつすれば済むかもしれないが
彼女はお姉さんに、男は部屋に入れるな!と言われていたらしく
俺がいるのがバレたら怒られるのは目に見えてます
そこで、短い時間の中で考え出した決断は




















ベッドの下に隠れるでしたf(^_^)


ベッドと言っても、下が収納スペースになる造りでかなり空いていて
隠れるのはたやすい、と言うよりバレちゃうんじゃないか?
と思えるぐらいの広さがあり、置いてある荷物のさらに後ろにもぐり
息をひそめる俺


彼女が言うには
「着替えてちょっと喋ったらご飯食べに下に行くから、その間だけだよ
そしたら1度外に出て、また入ってきて下の部屋に行けばいいよ」
ってことなんだけど、まぁ言いたい事はよくわかる
でもさ



















着替えるの??


彼女は「見ちゃダメだよ!」なんて言ってたけど
実際にお姉さんが部屋に入ってきたら
俺が着替えを見ようが見まいが彼女は
俺が部屋にいないフリをしなくちゃいけないわけじゃん?
つまり





俺が着替えを見てるかどうか確かめるタメに
ベッドの下を覗くこともできないわけだ


























えへっ・・・(笑)



でも実際に見たかどうかは、教えな〜い



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