「なぁ、賢、この頃さ、お前変じゃない?」
僕は大輔とお台場小学校でサッカーの練習を一緒にしている。その帰りだった。
「何で?」
「なんかさ、変によそよそしいっていうか、俺に近づかないようにしてないか?前はさ、俺んちに泊ったりしてたけど、最近そういうのって減ったよな。」
「今、忙しいから・・・。」
そう、答えるしかなかった。僕はいつからか大輔とまともに付き合うことを恐れていた。
数ヶ月前からだろうか、僕は高石に抱かれるようになった。無理矢理・・・。彼はどんなに嫌だと言っても無理矢理僕を抱いた。僕もいつからかその汚れた行為に感じるようになっていた。
大輔はこのことを知らない。
大輔は僕を疑わない。彼は疑うことを知らない。純粋に僕に対して好意を抱いてくれる。その好意は今まで経験したことがないくらい、真っ直ぐで、自分が一人じゃないってことを実感させてくれた。
しかし、今はその好意に対して後ろめたい気持ちが大きかった。僕は純粋な彼の心を騙している。その罪悪感と自己嫌悪に苛まれ、大輔から離れようとした。大輔の優しさが辛いのだ。
「俺のこと、もしかして、嫌い?やっぱ勉強の邪魔になるとか・・・。」
大輔は真剣な顔で言う。自分に非があるかのように・・・。君は悪くないのに・・・。君に責められないことが辛いのに・・・。
「そんな訳ないじゃないか。僕は・・・。ごめん、帰る・・・。塾、あるから・・・。」
「おい、待てよ、賢。」
適当な嘘をついて、僕は大輔を置いて、一人で走って帰った。これ以上僕のために傷つく大輔を見たくなかった。
一緒にいればいるほど彼が傷つくのではないかと思った。それが、一番辛い。
僕は汚れてるのに。優しくされる資格もないのに・・・。そして何より大輔を騙しているという事実が耐えられなかった
僕は高石の家の前に立った。インターホンを押す。
こんなことは終わらせよう。
「一乗寺君じゃない。何か、用?」
「もう、やめよう・・・。あんなこと・・・。」
僕は切り出した。
「あんなことって?」
高石は冷たく笑う。
「もう、たくさんだ。」
「それで、君はどうするの?大輔君のところへ行くの?」
「大輔にはもう会わない・・・。だから・・・。」
「それで、僕とも会わないの?」
僕は頷いた。
高石の表情は冷たい笑いを浮かべている。
「それで君は全ての罪が許されると思うんだ。」
僕は首を振る。
「わかってるじゃない。」
「母さん、今日帰らないから、上がったら?もっと話聞いてあげるよ。」
「もう帰るから・・・。」
「帰れると思うの。」
「大輔君に知られたくないでしょ。自分の好きな人が汚れてるって分かったら大輔君、どんな顔するんだろ。」
僕が拒否すると彼はいつも大輔の名を口にする。僕が逆らえないように・・・。
僕は家に上がる。
「こうなるのにどうして来ちゃったんだろうね。それとも、僕とやりたかったの?」
「違う・・・。」
高石はいつものごとく僕の服を剥ぎ取っていく。結局僕は何もできなかった。また罪を重ねることになる。しかし、大輔には僕の裏切りを知られたくない。大輔が傷つき絶望する姿だけは見たくない。
「そんなに大輔君のこと好きなんだ。大輔君のためなら僕に何をされてもいいんでしょ。」
言いながら高石は僕のうなじに舌を這わせる。
「やぁ・・・。」
声が意思とは関係なく僕の口から洩れる。
「綺麗なふりをしても大輔君の心を繋ぎとめたいんだ。」
高石は僕の秘部に手で触れてくる。
「僕にこんなに感じてるのに・・・。」
「いやぁ・・・。」
「大輔君といると苦しくないわけ?」
苦しいに決まっている。
「聞くまでもないか・・・。」
「もう、慣らしもあんまり必要ないみたいだね。」
言って高石は自分のを押し当てる。そのまま、入れる。
「やぁぁぁ・・・。」
高石は目茶苦茶に突いてくる。いつも以上に。
「僕から逃げれると思ってたの?」
「僕はそんなにいい人じゃない・・・。」
彼が初めて感情を声を出した気がした。怒り、苛立ちとかいった感情の声・・・。
僕は痛みのせいで暴れた。それを力で押さえつける高石。
「大輔君のところへはイカセナイ。」