貞松響 ソロコンサート

 京都市立京都堀川音楽高等学校 第4回卒業演奏会
   〜貞松響 独唱を中心に〜
平成26(2014)年3月19日(水)京都コンサートホール


 京都市立京都堀川音楽高等学校 第4回卒業演奏会が開かれることを知り、貞松響の演奏に接することを期して、京都コンサートホールへ行ってきました。京都堀川音楽高等学校が音楽の名門校であり、多くの音楽家・音楽教育家を世に送り出してきたことは知っていましたが、 その演奏に触れるのは初めてでした。卒業演奏会で独唱・独奏の機会を与えられるのは、トップソリストだけということで、案内のビラには、曲名だけが書かれているところが教育的配慮かと感じました。全体的な感想としては、3時間の演奏を通してそのレベルの高さに驚くとともに、自分がこれまで接してきた音楽のジャンルは、クラシックの中でも極めて限られた分野だけであることも痛感しました。

 さて、男声として初めて聴く貞松響ですが、おそらく身長175cmぐらいでスタイルやルックスもよく、舞台映えする要素を有する青年に成長していました。歌声は低いテノール・高いバリトンのどちらともとれる歌声で、おそらくこれから研鑽を積むことによってさらに変わっていくことを感じさせました。歌った2曲のうちシューベルトの「シルヴィアに寄せて」は、本場で培ったドイツ語の発声が明瞭で、有節歌曲の微妙な曲想の変化をよくつかんでいましたが、さらに深い音色が求められるでしょう。2曲目は引き出しを増やすためもあってかトスティの「最後の歌」を選曲しましたが、これは、あっけらかんとしたテノールとは一味違った嘆きを感じさせる味わいのある歌に仕上がっていました。今の声で表現できる曲としては最高の1曲と言えるでしょう。

 その他に心に残ったものは、今岡秀輝のヴュータンのヴァイオリン協奏曲第5番第1楽章の情熱的な演奏や小林紗代子のショパンのバラード4番の構成美などです。
                                                                                                                
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