ソプラノ♪7ボーイズ

 プロフィール


  平成30(2018) 年 10 月、ボーイ・ソプラノユニット「ソプラノ♪7(セヴン)ボーイズ」が結成されました。これは、女優、声優、歌手であり、ディズニー映画で、歌の部分の吹き替えを担当することが多い伊東えりがプロデューサーとなり、歌唱指導:伊東えり・青山 明・吉岡小鼓音、振り付け:武藤寛 楽曲アレンジ:小林早織の指導陣で、変声期前の少年たちで編成するユニットで、理念としては、古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるというものです。コンセプトは、「ボーイソプラノ男子たちが発信する、美しく元気な日本。」平成31(2019)年1月現在11名のボーイズ達が登録。常時選抜を実施してステージでは7名編成で活動します。ミュージカルなどの舞台やテレビCMで活躍中の子どもたちを中心にオーディションを実施し、「美しく、素晴らしい日本」を「歌の力」で伝える実力を備えた歌の上手な少年たちを選抜して、レッスンを積んでいます。そのような意味で、青少年の健全育成を目的とする教育委員会が設立した児童合唱団とは理念を異とします。創設期のメンバは、ミュージカルでも活躍しているCD「めざせ! ミュージカル☆キッズ」に参画した少年歌手たちが中心です。

 日本にはかつて、ビッグ・マンモス(1975~1982)やYa-Ya-yah(2001~2007)といったボーイ・ソプラノの少年によるコーラスユニットがありましたが、それらとも理念の異なるユニットです。また、童謡を中心に歌う児童合唱団には音羽ゆりかご会(1933~     )等がありますが、それとも理念を異にしています。まだ誕生したばかりなので、今後の方向性は未知の部分もありますが、既にプロモーション動画として「汽車」「富士の山」をYouTube配信しており、同年4月7日青松寺観音聖堂 花まつりコンサートで、デビューし、その後もメンバーを少しずつ変えながら、いろんなステージやイベントに出演しています。

  さて、日本の演劇界では10年くらい前から、ミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ、「レ・ミゼラブル」のガブローシュ、「エリザベート」の皇太子ルドルフ、「ビリー・エリオット」のタイトルロールなど本格的に歌って踊れる少年を求める動きが出てきて、倍率の高い厳しい「オーデションに参加する少年達も増えてきているようです。同年10月横浜音祭り 街に広がる音プロジェクト2019 @里山ガーデンは、野外コンサートのためか、撮影者によるYouTube映像によってそのステージのかなりの部分がわかってきました。一人一人にしっかりとした歌唱力がついているだけでなく、振り付けが入ることによって、聴覚だけでなく視覚からも楽しめる歌を歌っています。一般的に日本の少年合唱団(児童合唱団)は、みんなで声を揃えて歌うことを重視し、部分ソロやソリはあっても、ソリストを育てるという発想があまりない傾向がありましたが、ソプラノ♪7ボーイズは、はっきりと、ソリストを前面に立てています。それは、メンバーの一人一人が愛称まで入れて自己紹介しているところにも表れています。これは、既存の少年合唱団(児童合唱団)にはなかったことです。また、令和元(2019)年10月には、2020年度レッスン生募集をし、2月末に7名の名前が公表されました。これからは、変声期に入って、「ソプラノ」を看板に掲げるこのユニットとして活動できなくなる年長のメンバーも順次出てきます。平成元(2019)年度は卒業1名でしたが、今後、年度によっては4人ぐらい変声期を迎えることもあるでしょうから、このようにして毎年のように新メンバーを入れながら、同時にリーダーを育成して発展していくことでしょう。また、メンバーが10数人となることによって、ミュージカル出演者がいても、独自のイベントに出演する7人のメンバーを確保することはたやすくなりますが、一方出演を巡る内部競争が激化する可能性もあります。それが演奏の質を高める教育的な競争であればよいのですが。
 その後、コロナ禍の中で、思うような活動ができないこともありましたが、ソプラノ♪7ボーイズは、変声したら即卒業というのではなく、変声期を乗り越えて、男声としての見通しができてから卒業させるという方針ではないかと思います。ちなみに、平成4(2022)年6月は、インスタライブで、変声が終わったと考えられる4名のメンバーの卒業演奏会を行いました。


  
また、令和2(2020)年1月13日には、川崎市の溝の口劇場で、1stはっぴょうかいを行いましたが、そこでは、出演者全員が独唱し、ミュージカルのナンバーも歌われ、トークや観客も参加するゲームを採り入れるなど、従来の少年合唱団(児童合唱団)のコンサートとは違った画期的なコンサートになりました。ところが、その直後からコロナ禍のため、公開演奏はできない状況が続きました。その間は、リモートレッスンを通して、同年5月には、映画「野のユリ」の主題歌「エイメン」(ゴスペルソング)の旋律に乗せて「Stay Home」を歌い、今できることは、「元気な歌声をお届けすること!」ということで、ネット配信しました。また、集まって練習ができるようになって以後、令和2(2020)年12月25日に、ツイキャスを使って、ネット配信で2ndはっぴょうかいを行いました

 令和3(2020)年12月26日からは、3か月に1回のぺーズで、インスタグラムを使った40分ぐらいの無料のインスタライブを行っています。コロナ禍の中でも、できることをやっていこうという姿勢が見られます。令和5(2023)年8月4日に行われた3rdはっぴょうかいでは、広い舞台で、17人のメンバー(と3人のOB)が、思い切った演奏をしました。令和6(2024)年7月21日に行われた4thはっぴょう会は、観客を30名と限定したもので、最近はインスタライブを行っていないため、現在の姿が、多くの人にはわからない状況です。
  他団体が、個人名をあまり前面に出さないのに対して、
ソプラノ♪7ボーイズは、むしろ個人名を前面に出しているところも、その特色の一つと言えるでしょう。


            
   
     最初のメンバーによる7人揃って決めポーズ            花まつりコンサート 港区青松寺(デビュー)                 横浜音祭り 里山ガーデン               

 ソプラノ♪7ボーイズのレパートリー


 ソプラノ♪7ボーイズのレパートリーは、基本的に童謡・唱歌ですが、演奏形態は、7人で振り付けを入れて歌うもの、独唱、あるいは二重唱を背景に振り付けが入るもの、特に振り付けのない独唱に大別されます。それがイベントの場合、30分(15分)ぐらいの持ち時間の中で組み合わされて演奏されます。なお、最初と最後は、「汽車ポッポ」のような7人全員で歌い踊る歌です。最初の歌の後、一人一人が自己紹介をするところも特色の一つです。これは、少年合唱団の演奏会と違うところです。それは、メンバーが毎回変わるためでもありますが、一人一人のメンバーに光を当てるという方針の現れでもありましょう。また、1stはっぴょうかいでは、独唱にミュージカルのナンバーなども公開され、レパートリーの広がりを見せました。また、同年12月の2ndはっぴょうかいでは、参加人数も14人+&となったため、2~3人のグループで歌う中にソロパートを入れるという方法をとっていました。また、最後は、クリスマスソングメドレーとなり、分類がしにくいので、ひとまとめにします。
 それでは、令和2(2020)年12月の2ndはっぴょうかいまでに歌われた歌(映像で確認できるもの)を分類してみましょう。ただ、この分類は、「大きな古時計」を童謡と分類してよいのかどうかといった問題もあります。昭和61(1986)年に日本童謡協会と公文教育研究会の提唱でスタートした「全国童謡歌唱コンクール」も「全国童謡歌唱コンクール」は、第31回より子どもたちの成長や親と子の絆として童謡が末永く歌われて欲しいとの願いから、コンクールの名称を「童謡こどもの歌コンクール」と変更しています。そのような意味で、童謡の定義も変わりつつあります。また、映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」は、既に合唱曲になっているのではないかといった映画の主題曲の分類や、「see you tomorrow」は、この分類に入らないといった課題もあり、かなり便宜的なものですので、ご了承ください。

 童謡

「汽車ぽっぽ」 「汽車」 「かわいい魚屋さん」 「にんげんっていいな」 「ドロップスのうた」 「小犬のプルー」 「大きな古時計」
(動物シリーズ)「うさぎのダンス」 「おさるのかごや」 「小鹿のバンビ」   「あめふりくまのこ」 「ちびっ子カウボーイ」 「かっぱのクィクォクァ」 「にじ」
 「小さな木の実」「空がこんなに青いとは」「北風小僧の寒太郎」「おばけなんかないさ」「ゲゲゲの鬼太郎」「宇宙戦艦ヤマト」「小さな星の歌」


 唱歌

「ふじの山」 「春の小川」 「われは海の子」 「村祭」 「鯉のぼり」 「背くらべ」

 クラシック・歌曲

「赤とんぼ」 「待ちぼうけ」 アンドリュー・ロイド・ウェッバー『レクイエム』より「ピエ・イエズ」 「グリーン・スリーブス」

 フォークソング

「翼をください」 「四季の歌」

 ミュージカルナンバー

ミュージカル『オリバー!』より「オリバーのマーチ」        ミュージカル『ピーター・パン』より「アイム・フライング」   
ミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」
                ミュージカル『ライオンキング』より「早く王様になりたい」
ミュージカル『メリーポピンズ』より「チムチムチェリー」       ミュージカル『アニー』より「トゥモロー」
ミュージカル『レ・ミゼラブル』より「民衆の歌」           ミュージカル『キャッツ』より「スキンブルシャンクス(鉄道猫)」
ミュージカル『シンドバットの冒険』より「コンパス・ユア・ハート」  ミュージカル『ヘアスプレー』からのデュエット曲「You Can't Stop The Beat」

 映画音楽

映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」  映画「もののけ姫」より「もののけ姫」 

 クリスマスソングメドレー

「もろびとこぞりて」 「赤鼻のトナカイ」 「ウィンターワンダーランド」 「ママがサンタにキッスした」 「ホワイトクリスマス」 「恋人がサンタクロース」 
「荒野の果てに」 「アイ ウィッシュ メリー・クリスマス」

 その他

「see you tomorrow」「上を向いて歩こう」 「月の庭」

 ソプラノ♪7ボーイズのメンバーと出演状況

  ソプラノ♪7ボーイズは創設当時登録されていたのは11人でしたが、常時選抜を実施してステージでは7名編成で活動しています。そこで、それぞれのイベントに登場したメンバーを一覧表にまとめてみました。なお、1stはっぴょうかいでは、10人が出演しています。また、この日で山口れんは卒業しました。また、令和2年2月末に7人のレッスン生を発表しましたが,、この年度は、コロナ禍のため2ndはっぴょうかいを行ったのみです。また、毎年新規レッスン生を数名採用しています。また、初期のメンバーが、中学生になって次々と変声期に入っていますが、卒団・退団の区別がはっきりしないことから4thはっぴょう会終了後の令和6(2024)年7月22日時点におけるメンバー(卒業生)の一覧は、下記のようです。今後、レッスン生は、はっぴょうかい等のステージを経験することで、正式メンバーになることでしょう。(学年等 順不同)

メンバー   平賀晴 宮澤伶輔 湧澤昊生  松浦歩夢 浅野友希 土岐田育 平賀照 植木壱太   吉村泰治  深川洸   澤田伊織  
 内海湧真  塩田忠鷹  古正悠希也
 高橋輝 小暮大智  佐藤 巧   山本 紫馬   森本 工仁郎
レッスン生 
卒・退団生  岡村   要 山口 れん  深澤幸也 吉浦陽 竹内彰良 中村海琉 陣 慶昭   羽賀 凪冴(なぎさ) 河井 慈杏  大橋冬惟   小林 佑玖 村上 音央 菊池 咲乃助 矢野新太 中館翔一 寺崎 柚空 小暮航ノ介
                                                                   (令和6(2024)年7月22日現在)

 イベント名 花まつりコンサート  HOPE CHARITY CONCERT  横浜音祭り
街に広がる音プロジェクト2019 
横浜音祭り
 街に広がる音プロジェクト2019 
 京王駅伝フェスティバル 
2019
 年・月・日 平成31(2019)年
4月7日(日) 
令和元(2019)年
6月8日(土) 
令和元(2019)年
10 月5日(土) 
令和元(2019)年
11 月2日(土)
令和元(2019)年
11月17日(日) 
場所  港区青松寺  東京キリストの教会
メインホール  
里山ガーデン  クイーンズガーデンスクエア
横浜 
 味の素スタジアム
 歌唱出演
メンバー
山口 れん
岡村   要
吉浦   陽
中館 翔一
中村 海琉
竹内 彰良
平賀   晴
山口 れん
岡村   要
深澤 幸也
竹内 彰良
中館 翔一
矢野 新太
平賀   晴 

岡村   要
山口 れん
吉浦   陽
竹内 彰良
中館 翔一
大橋 冬惟
平賀   晴

 
岡村   要
山口 れん
吉浦   陽
竹内 彰良
中館 翔一
矢野 新太
平賀   晴
岡村   要
山口 れん
竹内 彰良
中館 翔一
中村 海琉
小林 佑玖
平賀   晴 

 イベント名 1stはっぴょうかい 2nd
はっぴょうかい
第1回インスタライブ 第2回インスタライブ 第3回インスタライブ
 年・月・日 令和2(2020)年
1月13日(月・祝) 
令和2(2020)年
12月25日(金) 
令和3(2021)年
12月26日(日)
令和4(2022)年
3月27日(日)
令和4(2022)年
6月12日(日)
場所  川崎市
溝の口劇場
相模女子大学グリーンホール 多目的ホール レッスン室 レッスン室 レッスン室
 歌唱出演
メンバー
平賀   晴
大橋 冬惟
矢野 新太
吉浦   陽
深澤 幸也
中村 海琉
竹内 彰良
中館 翔一
岡村  要
山口 れん
(独唱順)
大橋 冬惟
河井 慈杏
小林 佑玖
竹内 彰良
寺崎 柚空
中館 翔一
中村 海琉
羽賀 凪冴
平賀  晴
深澤 幸也
村上 音央
矢野 新太
吉浦   陽
涌澤 昊生
山口 れん(OB)

(五十音順)
宮澤  伶輔 (トーク)
岡村  要



深澤 幸也
吉浦 陽
竹内彰良
中村海琉

中館 翔一
小林 佑玖
涌澤 昊生
寺崎 柚空

菊池 咲乃助
小暮 航之介

河井 慈杏(リモート)
平賀  晴(リモート)
深澤 幸也
吉浦 陽
竹内 彰良
中村海琉
中館 翔一
矢野 新太

小林 佑玖
宮澤 伶輔
平賀   晴

涌澤 昊生
小暮 航之介
深澤 幸也
吉浦 陽
 竹内 彰良
 中村 海琉
 中館 翔一
 矢野 新太
 平賀  晴
 宮澤 伶輔
 涌澤 昊生
 土岐田 育
 浅野 友希
 平賀  照
 植木 壱太

 イベント名 Bell's live 第4回インスタライブ 3rd
はっぴょうかい
京王駅伝フェスティバル
2023
五月の風に乗って
 年・月・日 令和4(2022)年
11月23日(水・祝)
令和5(2023)年
1月29日(日)
令和5(2023)年
8月4日(金)
令和5(2023)年
11月11日(土)
令和6(2024)年
5月1日(水)
場所  レッスン室 相模女子大学グリーン
ホール 多目的ホール
 味の素スタジアム ティアラこうとう
(江東公会堂)小ホール
 歌唱出演
メンバー
浅野 友希
小暮 航ノ介
中館 翔一
平賀  晴
松浦 歩夢
矢野 新太
涌澤 昊生
(五十音順)
中館 翔一
矢野 新太
平賀  晴

 小暮 航之介
土岐田 育
平賀  照
 植木 壱太
中館 翔一
平賀  晴
宮澤 伶輔
小暮 航ノ介
松浦 歩夢
 涌澤 昊生
土岐田 育
平賀  照
植木 壱太
吉村 泰治
髙橋  輝
 澤田 伊織
内海 湧真
小暮 大智
古正 悠希也
塩田 忠鷹
深川  洸

深澤幸也 吉浦 陽 
竹内彰良 (OB)
平賀晴
宮澤伶輔
小暮航ノ介
浅野友希
涌澤昊生
土岐田育
平賀照
平賀晴
浅野友希
涌澤昊生
土岐田育
植木壱太
平賀照
高橋輝

イベント名 4th
はっぴょう会
 
 京王駅伝フェスティバル             2024      
 年・月・日  令和6(2024)年
7月21日(日)
     令和6(2024)年
     11月17日(日)
     
 場所  GFEスタジオ 
Bスタジオ
 味の素スタジアム      
 歌唱出演
メンバー
平賀 晴
宮澤 伶輔
涌澤 昊生
小暮 航ノ介
土岐田 育
植木 壱太
平賀 照
古正 悠希也
内海 湧真
小暮 大智
高橋 輝
深川 洸
森本 工仁郎
山本 紫馬
佐藤 巧
         平賀晴 
        浅野友希 
       土岐田育 
        平賀照 
       小暮大智 
      森本工仁郎 
      古正悠希也
     

 ビッグ・マンモスとソプラノ♪7ボーイズを比べて

 ソプラノ♪7ボーイズが登場した頃、少年ユニットによる動きの要素のある歌を演奏していることから、これを約40年ぶりのビッグ・マンモスの再来という捉え方をした人もいました。ところが、この二つのユニットを比較すると、次のような共通点と相違点があります。なお、ソプラノ♪7ボーイズはまだ誕生して間がないので、今後、さらにいろいろと変容することもあると考えられます。

 ビッグ・マンモスは、当初よりテレビ番組「ママとあそぼう!ピンポンパン」で全国放送されたため、多くの人の目にふれ、当時一流の作詞・作曲家によるビッグ・マンモスのためのオリジナル曲が作詞・作曲されて、振り付け付きで演奏・放映されました。本ホームページの「ビッグ・マンモス」のコーナーをお読みいただければ、その代表曲がおわかりいただけると思います。この番組は、幼児対象のバラエティー・ショーといった感じで、ビッグ・マンモスは歌って踊るだけでなくコントなどもしました。ビッグ・マンモスは本来の視聴対象の幼児だけでなくむしろ中学生・高校生(女子が多い)まで幅広い人気を集めました。年に何度か野外でコンサートを行いましたが、全盛期にはとしまえんに5000人もの観客が殺到するなどその人気は凄まじかったようです。また、デビュー当時、幼児教育関係の出版社「ひかりのくに」が昭和52(1977)年に「Go!Go!ビッグ・マンモス」を出版しています。また、合唱団として、ビッグ・マンモスを見たときに、小倉朗作曲の「ほたるこい」をそのレバートリーに入れているところは注目されます。それでは、それほど人気のあったビッグ・マンモスの活動がわずか7年で終わってしまった理由を考えてみましょう。それは、初期の人気のあったメンバーも、変声期を迎えると次々と卒業し、その代わりのメンバーも加入しますが、その在籍サイクルが短いこともあり、視聴者に覚えられなかったこともあるのではないでしょうか。特に、ファンの中核が女子中学生・高校生の場合、その好みも変わりやすく、人気は移ろいやすいということもできます。何よりも「ママとあそぼう!ピンポンパン」という番組が終わってしまったことが、ビッグ・マンモスの解散でもありました。

 一方、ソプラノ♪7ボーイズは、現時点(令和2(2020)年12月時点)では、イベントで鑑賞するか、その映像をYouTube映像で鑑賞するしかできません。しかし、古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるという理念は揺るぎません。1927(昭和2)年に作詞・作曲された「汽車ぽっぽ」のようなある程度動きの要素のある歌だけでなく、1937(昭和13)年に作詞・作曲された「かわいい魚屋さん」のように、魚の行商という現在ではほとんど行われなくなった販売方法の歌に挑んで、子どもの世界ではほとんど知られなくなった曲さえ、隊形移動を通して新たな息吹を吹き込むことで、蘇らせています。しかし、まだ、活動が始まってから間もなく、コロナ禍の中で活動しているため、その評価をするには、まだ時間がかかります。

 なお、少年合唱団という捉え方をしたら、この二つのユニットは、聖歌隊にその起源をもつ宗教的な背景をもつ少年合唱団ではないので、クリスマスソングは歌いましたが、宗教曲を主たるレパートリーにはしていません。また、日本各地にある県あるいは市や町の教育委員会が設立したり、補助金を出している社会教育・生涯教育としての位置づけの団体でもありません。従って、フジテレビあるいはハートビートプロジェクトといった私立の団体で、主として「動きを伴った歌」を歌う少年合唱団ということができます。また、ソロを重視するところも共通しています。そこには、一つの曲を創り上げるために協調性を養いながらも、集団の中に個を埋没させないという理念を感じさせます。

 そこで、次の10項目について、ビッグ・マンモスとソプラノ♪7ボーイズを比較検討してみましょう。ビッグ・マンモスは、新資料が発見されない限り今後変わることはないでしょうが、ソプラノ♪7ボーイズは、誕生したばかりですので、ここに書かれたことは令和2(2020)年12月時点のことで、今後変わる可能性があります。変わったところは、加筆しています。

 
比較事項


 ビッグ・マンモス  ソプラノ♪7ボーイズ

① 活動時期 

昭和50(1975)~昭和57(1982)年  平成31(2019)年~    誕生は平成30(2018)年
② 位置づけ フジテレビの幼児向け番組「ママとあそぼう!ピンポンパン」の中の少年合唱団 プロデューサーは、後年「俺たちひょうきん族」等をプロデュースした横澤彪。
ミュージカル俳優で、ダンスや合唱の指導者でもある伊東えりがプロデュースした少年ユニットで、現在は公開、あるいは企業主催のクローズドのイベント出演が主である。他の事務所にも所属すていることもあり、ミュージカル等の舞台や映画に出演する場合もある。令和3(2021)年には、ミュージカル「オリバー!」に、メンバーのうち7名が出演したことは特筆される。

③ メンバーの所属
劇団いろは・ 劇団ひまわり・劇団日本児童・東京音楽学院・FMG等に所属する子どもたちが中心メンバー



CD「めざせ! ミュージカル☆キッズ」に参画した少年歌手たち(
ミュージカルなどの舞台やテレビCMで活躍中の子どもたち)が中心メンバーであるが、神奈川県藤沢市にあるすずかけ児童合唱団員もいる。
④ 演奏する曲目とその特徴
レパートリーとしては、何よりも当時一流の作詞・作曲家によるビッグマンモスのためのオリジナル曲が挙げられる。また、童謡・唱歌 「みんなのうた」のヒット曲  民謡・演歌系の歌謡曲 歌謡曲や洋楽のポピュラー・ソングを原曲とする曲。オリジナル曲はもとより、その他の曲でもソロを多く採り入れている。 
  元メンバー 小倉一夫さんの話によると、メンバーになるには、歌が歌えるということを第一条件としたそうである。
 
 

古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるという理念のもと、童謡・唱歌が中心である。ソロを重視しており、1stはっぴょう会では、メンバー全員が独唱した。独唱のレパートリーとしては、童謡・唱歌だけでなく歌曲 フォークソング ミュージカルのナンバーもある。また、2ndはっぴょうかいでは、メンバーの人数も増えたため、2~3人のグループの歌の中にソロを入れるという方向に転換した。3rdはっぴょうかいでは、7人を基本にしながらも、3人のグループの歌の中にソロを入れる方向が定着してきた。

⑤ メンバーの育成
結成当初からメンバーの入れ替えを随時行いながら、15人前後で活動した。メンバーが中学生になったり、変声期を迎えたりして卒業すると、新メンバーを入れていた。

結成当初のメンバーの人数は11人であるが、イベントにおいてはその中から7人を選抜して出場する。変声しても、男声としてめどがつくまでは、卒業せずメンバーとして残り、レッスン生を採用して、メンバーに育てていく。
⑥ リーダー 
年長の1~2名をリーダーとしていた。
初代リーダー 森井信好・ 兼安博文(1978年4月より単独)
二代目リーダー 大沢総一郎
三代目リーダー 伊藤光


年長の1~2名をリーダーとしていたようであるが、ステージにおいて、「リーダー」という名称は、使われていない。
初年度は、岡村要(中2)と山口れん(中1)が、司会をしたので、そのような役割を果たしていると考えられたが、深澤幸也 吉浦陽が、変声後は司会をしていたので、そのような役割を果たしているようである。

⑦ ダンス
歌とダンス等の動きを別々に収録して、それを合成して作品に仕上げていた。リアル感を出すために口パクではなく、実際に歌っていた。従って、曲によっては、非常にダイナミックな動きもある。


歌が主で、ダンスはそれに合わせたややゆっくりめの振り付けであるが、それらを同時進行で行うところが大きな特色である。これは、ミュージカル志向のメンバーが多いからこそ可能であると考えられる。
⑧ 制服
白地に赤を採り入れ野球の背番号を胸番号にした上着と、当時流行した短めの黄色い半ズボン、白を基調とした揃いのソックスがあるが、オリジナル曲によっては違う制服もある。また、私服で歌うこともあるが、その場合は、半ズボンも長ズボンもある。
(令和元〈2019)年度)
白い半袖のシャツに赤と水色のベストを交代で着る。ベストを脱ぐ場合もある。当世風のやや長めの動きやすい生地の紺色のハーフパンツ、黒のダンスしやすい靴だが、ソックスは色も長さも自由のようである。

(令和2〈2020)年度)
白い長袖のシャツに赤と黄の半袖の胸にS7Bのマーク入りのTシャツと黒のハーフパンツ。ソックスは黒の短いソックスに揃えた。
(令和3〈2021)年度)~
白い半袖のシャツ(長袖の場合、半袖にめくる)に黒のハーフパンツ。ソックスは、次第に黒の短いソックスに揃えた。
(令和5(2023)年度)~
メンバーは、白い半袖のシャツに赤と水色のベストを交代で着て登場。新たに全員が黄色い半袖のシャツで登場した。
⑨ ニックネーム
一人一人にニックネームがついていて、自己紹介でも使っていた。
一人一人が自己紹介をするが、名前を紹介するメンバーと、「~と呼んでください。」とニックネームまで紹介するメンバーがいる。
⑩ ファン層 
テレビを視聴していた幼児もいたであろうが、野外コンサートの観客は、主として中学生・高校生の女子が多かった。 

観客は、いろいろな世代の男女にまたがっている。特に、若い男性ファンが多いのも特色と言えよう。 


ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会
令和2(2020)年1月13日
(月・祝) 溝の口劇場


   「プラチナ・チケット現象」の理由

 ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会のチケットは、まさに「プラチナ・チケット」になったようです。1回目の申し込みの約1時間後にネットアクセスした私の友人は、入手することができず、結局あきらめざるを得ませんでした。実のところ、主催者・関係者の方でも、どれだけの申し込みがあるかを想定できなかったのではないでしょうか。ある保護者の方の言葉によると、溝の口劇場は、当初、『20人くらいお客様が来て下さればありがたいね』という想定の会場だったようです。それでは、どうしてこのような「プラチナ・チケット現象」が起きたのかその理由を考えてみました。確かにこれまで実際にステージを鑑賞してファンになった人もいるでしょうが、最大の理由は、ホームページやツイッターの公式の動画だけでなく、昨年10~11月に横浜・東京で行われた3回のイベント出演は、野外コンサートであったためか、ハンドルネーム「氷板」さんが撮影した4Kの美しいYouTube映像によってそのステージの魅力が伝わってきたことの効果がかなり大きかったのではないでしょうか。演目は、童謡・唱歌ですが、一人一人にしっかりとした歌唱力がついているだけでなく、振り付けが入ることによって、聴覚だけでなく視覚からも楽しめる演奏になっています。また、歌が主でダンスは従でありながら、その振り付けは、かっこよさよりもむしろかわいらしさを強調することで、その歌の新たな魅力を伝えています。そのような意味では、時流に乗ってうわべのかっこよさを求めるあまり、現代の日本人が見失ってきたものを再発見するようなコンサートでもありました。ところで、これまで日本の少年合唱・独唱のCDは、商品になりにくいことから、私家盤等を除けばほとんど市販されていませんでした。従って、YouTube等の映像によって匿名の少年の独唱を鑑賞することぐらいしかできませんでした。肖像権あるいは個人情報保護に対する法的な規制が厳しくなってきた現代において、直接演奏会場に行かなければ、その魅力を知ることはほとんどできませんでした。そのような意味で、この野外コンサートのYouTube映像の放映を許諾したソプラノ♪7ボーイズの指導者の先見性や度量の大きさに敬意を表したいと思います。現在、この野外コンサートののべアクセス数だけでも、この約3か月で9000回を超えています。そのような意味でも、このYouTube映像の宣伝効果は大きかったと思います。
 初めての試みでは、当初から想定された座席数の問題だけでなく、販売するグッズの数やドリンクの容器の回収などでは、想定外のことも起こります。保護者を含むスタッフの方々もその対応が大変だったと思います。ただ、観客がソプラノ♪7ボーイズの少年たちを応援しようという意識が非常に高かったので会場の雰囲気も温かく、いろいろな意味で良識的・協力的な対応をしたこともあり、また、小さい子どもたちの鑑賞態度もよく、そのような意味で、よいコンサートになったと思います。

   コンサートの構成と工夫点

  さて、このコンサートは、スタンドマイクが7本並んでいるだけで、伴奏の楽器がないステージで行われました。また、指導者がステージに上がることもなく、スタンドマイクの出し入れをする劇場の係の人以外は、すべてソプラノ♪7ボーイズの少年たちによって進められました。先ずステージ後ろの暗幕が開いてスクリーンにメンバー11人の自己紹介がビデオ紹介されました。これは、演出というだけでなく、当日ミュージカル『フランケンシュタイン』出演のため、欠席せざるを得なかった小林佑玖君への配慮とも言えます。伴奏はすべてカラオケで、童謡・唱歌にも現代的なアレンジがされています、最初と最後に7人~9・10人の振り付けの入った童謡・唱歌、年齢ごとに3つに分けた10人全員の得意ジャンルの曲(この日は、ついにミュージカルのナンバーが解禁)のソロ、風邪が流行する季節、のどの健康を守るためにしていることを題材にしたトーク、観客も交えたハンカチ落としや球拾いゲームという休憩時間のない1時間半を飽きさせない構成になっていました。このユニットが7人という人数にこだわったのも、メンバーがミュージカルに出演した場合等のことを考えて人数を絞ったものと考えられます。そこで、人数が9~10人の場合の決めポーズはどうなるのかと注視していましたが、いわゆる「基本型」の応用になっていました。振り付けの入った歌は、パソコンの画面で見るのと、かぶりつきの座席から5~6メートルぐらいまでの近距離で鑑賞するのでは迫力がまるで違うし、その全体像が見えるので、練習によって動きがよく統制されていることも伝わってきます。なお、司会・進行役は、年長で中学生の岡村要君(ときによっては、山口れん君)で、ただメンバーにマイクを向けて質問するだけでなく、ときには、発言に切り返しを入れたりして、わりと自由度が高めのメンバーをうまくコントロールしながら、ステージを盛り上げていました。また、のどの健康を守るためにしていることを題材にしたトークでは、うがいやマスクといった常識的に考えられることはもちろんのこと、マスクを裏返しにして使う工夫が出てきたり、「マヌカハニー」など聞いたことのない健康食品の名前がごく自然に飛び出してきて、この少年たちがプロ意識をもってステージに臨んでいることが伝わってきました。なお、昨年秋ごろから誰の耳にも変声期に入っていることがわかる山口れん君は、この日でこのユニットを卒業することになりましたが、この日は、次の階段を昇っていくことが伝わるようなよい歌を卒業記念に歌ってくれました。ソロで歌ったミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」もよかったですが、 とりわけ、ミュージカル『ライオンキング』の4人のヤング・シンバ役に対応するシンバの教育係のサイチョウ ザズー役は、脇役ながら、表情も豊か、動きも俊敏で、「これは、うまい!」と、感心させる出来栄えでした。今後は、OBとしての特別出演を期待しています。

   全員がソロという快挙   

 このコンサートでは、出演した10人全員がソロを歌いましたが、全員がかなりの実力者であり、このような企画は、どこの少年(児童)合唱団のコンサートにもないので、それが、大きな特色であり、見応え・聴き応えがありました。(ソロのステージを採り入れているところもありますが、人数はせいぜい1~4人ぐらいです。)年齢層ごとに3つに分けた10人の独唱について、司会の岡村要君は、
「最初は高い声が出るというところから、だんだん歌声がまろやかになってきて、やがて変声期を迎えます。(大意)」
という、年齢によるボーイ・ソプラノの鑑賞の仕方まで紹介してくれました。このセリフが自然に出てきた自分の言葉であったならば、これは、まさにボーイ・ソプラノの本質を突いた言葉であり、このような言葉を語れることを激賞したいと思います。それでは、10人の演奏を記憶をたどりながら、歌った順番にそのよかったところを一口感想的に。

 名 前  演 奏 曲  一 口 感 想
平賀  晴 ミュージカル『オリバー!』より「オリバーのマーチ」  明るい声質とそれに似つかわしい選曲で、歌うことが楽しくてたまらないという雰囲気が客席に伝わってきました。 
大橋 冬惟 「あめふりくまのこ」 透明度の高い声で1番ごとに違う歌い方をして、雨が降ってできた小川を、魚を探してずっと眺め続けるこぐまのドラマとして描いていました。 
矢野 新太 「小犬のプルー」  ひとりぼっちの「ボク」と小犬のプルーとの出会いと別れを、哀愁漂う雰囲気のある歌に仕上げていました。 
吉浦  陽   映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」 メゾ・ソプラノの声質を生かして、静かな歌い出しから始まって、秘めた情熱を感じさせる歌になっていました。
深澤 幸也 「待ちぼうけ」 一人芝居をしながら歌うことで、人の「愚かさ」を視覚的にも描いていましたが、歌唱そのものはたいへん気品のあるものでした。 
中村 海琉 「大きな古時計」  ややハスキーな声質を生かして、おじいさんの人生に寄り添いながら、その喜びや悲しみを表現していました。 
竹内 彰良 ミュージカル『ピーター・パン』より「アイム・フライング」  ステージを一杯に使って、明るくリズミカルな歌声で、爽快な興奮が伝わってくる歌芝居を演じていました。 
中館 翔一 「赤とんぼ」  やさしくしっとりとした雰囲気で、この曲に添えられた叙情性がよく生かされていると感じました。
岡村  要 「四季の歌」  声域的には狭い歌でありながら、一つ一つの詩の言葉に込められた意味を伝えようとする表現力豊かな歌唱でした。 
山口 れん  ミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」  この曲に挑めるほど声が安定してきたという喜びを感じると同時に、表情の変化において、丁寧で誠実な歌づくりが心に残りました。


   異質なものから学ぶことの大切さ   

 これまで、少年合唱団(児童合唱団を含む)のコンサートをはじめ、クラシック系のコンサートでは、プログラムが先に配られ、あるいはポスターやチラシに演目の概要が記載されていて、演奏開始前や休憩時間にプログラムを見ながら鑑賞し、アンコール曲だけが、その日のお楽しみで、帰りに入り口付近に演目が掲示されるというスタイルでしたが、ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会では、プログラムは配られず、少なくとも独唱において、誰が何を歌うかは、本人が直前に自分の口から発表するという観客にとってスリリングなやり方でした。ステージの次第を記したセットリストは、当然あったと思いますが、こういうコンサートの在り方は、観客の期待感を高める上では効果的です。 
  少年合唱(児童合唱を含む)には、その年頃の少年(児童)の声だけがもっている清純な魅力があって、それは他に代えがたいものであります。しかし、何よりも周りと合わせハーモニーを大事にするよい合唱団員を育成することと、その個性的な声質を生かした優れたソリストを育てることは同じではありません。また、合唱中心の合唱団とミュージカル中心の合唱団でも、当然のことながら、団員の育成方法は違ってきます。このコンサートに少年合唱団(児童合唱を含む)の指導者が来られていたかどうかは、私にはわかりませんが、「○○少年少女合唱連盟○○大会」のような同質な団体が集う大会に参加して、演奏を交流するだけでなく、このような異質なものから学ぶということは、とても大切だと感じました。
 さて、クラシックのコンサートでは、その日の演奏曲の予習をして行かないと、心から楽しめないこともあります。それが、クラシック音楽そのものを絶滅危惧種に追い込んでいるという側面もあります。また、クラシックのコンサートでは、「今日は、立派な演奏でした。」という言葉が、最高のほめ言葉になるのかもしれませんが、ソプラノ♪7ボーイズのコンサートでは、いわゆる「予習」はいりませんし、「今日は、心から楽しめました。」という言葉こそが、最高のほめ言葉になるのではないでしょうか。そのような意味で、この日のコンサートは、心から楽しめました。 


ソプラノ♪7ボーイズ 2nd はっぴょう会
          令和2(2020)年12月25日(金) 会場?


   「ツイキャス」には、まいったまいったマイケル・ジャクソン

 ソプラノ♪7ボーイズ 2nd はっぴょう会は、ツイキャスによるネット配信で行われました。初めてツイキャスをする人のために説明も書かれていましたが、そもそも、ツイキャスの仕組みがさっぱりわかりません。やっと友人に家に来てもらって、設定を助けてもらって準備しました。(このようなことを書きますのも、日頃よりツイキャスに慣れている人にとっては何でもないことでも、そうでない人にとってはこれが巨大な壁になって立ちふさがり、結局鑑賞したくても観賞できない人が数多く出たのではないかと思うからです。まさに、「ツイキャス」にはまいったまいったマイケル・ジャクソンですわ。このギャグは大阪近辺の者にしかわかれへんって?吉本新喜劇も全国区になってきたと思うんやけどなあ。)ツイキャスの画面を見ていると、前日まで40人台だったサポーターが直前には90人ほどになり、最終的には100人に達し、レベル1がレベル19に上昇しました。このレベル19がどのようなものであり、携帯やパソコンの画面の後ろにどれだけの観客がいたのかはわかりませんが、普通のコンサートなら、座席260のTOKYO FM ホールぐらいなら満席にすることも可能だったのではないでしょうか。開演5分前になると、中村海琉君デザインの7人の決めポーズのシルエットをデザインしたと共に、題名が提示され、映像を邪魔しないように下にメッセージが出るニコニコ動画のような仕組みになっていました。これは、歌舞伎の「いよっ、○○屋!」という掛け声に当たるものかもしれません。私は、パソコンの全画面表示で大きい映像が見えるようにして鑑賞したので、メッセージは投稿していませんし、また、投稿の仕方もわかりません。しかし、その代わり、普段のコンサートの鑑賞では決してしてはいけない紙と鉛筆をパソコンの前に置いて、メモを取りながら鑑賞しました。
 映像が始まると、メンバーが検温・手洗い・うがいをしてから練習場に入ることや、Heart Beat Singingというメソッドで、マスクをして練習している映像が映し出されました。また、今回の自己紹介は、「7」という数字にこだわって、当日の出演者が3組に分かれて、過去のTwitterに掲載したような映像も含めて自己紹介してから歌い踊るという方法をとりました。

   コンサートの構成と工夫点

 さて、このコンサート会場は、1月に1st はっぴょう会を行った溝の口劇場と同じような広さの会場で(もしかしたら同じ会場?)、司会・進行は、OBの中学2年生の山口れん君と小学6年生の竹内彰良君でした。山口れん君の司会は、これまでの実績もあるのである程度想像できましたが、もう一人は中学生のメンバーかと思っていたら、私の予想は外れました。しかし、竹内彰良君の司会は、自分は一歩引いて演者を立てるというこれまで私が気付かなかったこの少年の別の側面を知ることにもつながりました。また、司会者は、手持ちのマイクでしたが、演者はスタンドマイクで、演奏者が変わるたびに消毒するという徹底ぶり。係の黒子の出入りは、全く気になりませんでした。また、司会者は、黄色のTシャツでしたが、歌い手は、赤いTシャツが多く、7人中5~6人が赤いTシャツで1~2人が黄色いTシャツというのは、何か意味か理由があったのでしょうか。
 最初の7人で歌い踊る童謡・唱歌では、これまでの定番曲になっている童謡の「汽車ポッポ」で始まり、唱歌の「ふじの山」に続き、グループのメンバーは何度か入れ替わり、おなじみの動物メドレーに加え、新曲の「我は海の子」や「村祭」が、新しいアレンジで初公開され、特に「村祭」は、今ではこのような農村風景が日本からほとんど姿を消したこともあって、教科書から消されてしまった歌なのにかかわらず、これまでのどの童謡・唱歌の振り付けよりも躍動感があるダイナミックなもので、この唱歌に新たな命を吹き込んだと言えるでしょう。また、曲が終わると拍手もありましたが、これは、スタッフ等によるものかと思われます。
 今回の最大の工夫点は、2~3人ずつのソリで歌う中に、ソロを入れるということでした。意外な組み合わせもあり、これが楽しめました。また、最後は、全員が登場してミュージカルのナンバーより2曲『アニー』より「トゥモロー」(ソロ:中村海琉、平賀晴)『レ・ミゼラブル』より「民衆の歌」(ソロ:山口れん、小林佑玖)から、いろいろなジャンルのクリスマスソングメドレーになだれ込んで行きましたが、メンバーは思い思いのサンタクロースやトナカイのかぶりものや眼鏡を頭や顔に、レイを首にかけて、「もろびとこぞりて」「赤鼻のトナカイ」「ウィンターワンダーランド」「ママがサンタにキッスした」「ホワイトクリスマス」「恋人がサンタクロース」「荒野の果てに」「アイ ウィッシュ メリー・クリスマス&ハッピーニューイヤー」と、変化に富んだ歌を歌っていきました。中でも、河井慈杏君の「ホワイトクリスマス」は、全国英語歌唱コンクールでEVE Creative Partners賞を獲得した成果が生きた名演でした。また、特にソロを与えられたメンバーは、それぞれ昨年と比べ、歌に成長の跡を感じました。
 また、この日の話のテーマは、「クリスマスプレゼント」や「クリスマスの想い出」でしたが、河井慈杏君が体験した雪の降らないシンガポールでは雪の代わりに泡を使っているという話が珍しくて印象的でした。また、歌は歌いませんでしたが、ミュージカル『ライオンキング』のヤング・シンバ役で、当日は休演日のためトークにだけ参加した宮澤伶輔君の犬を飼いたい話や、受験のため自宅からリモート出演した岡村要君は、近況を語って歌以外の形で参加しました。宮澤伶輔君は、これからの活躍が期待されますし、岡村要君は、中学3年生とは思えないほどソフトで高い声を維持していることが心に残りました。ところが、この日でこのユニットを卒業するという紹介はなかったため、まだ、現在のメンバーとして歌い続けることになると考えられます。それに、レッスン生も、コロナ禍の中、練習を積んで立派にこのステージを演じ、昨年末には新メンバーの募集もしていることですから、もうそろそろ正メンバーに入れてもよいのではないでしょうか。

   ソリ曲の中にソロを
 
 今回の特色は、2~3人ずつのソリで歌う中に、ソロを入れるということでしたが、それぞれの組み合わせや、選曲・アレンジ・振り付けによってそれがよく生かされている曲と、ちょっと私の好みではない編曲もありました。それぞれの曲には、各々の持ち味があります。ソプラノ♪7ボーイズは、クラシックの素養があり、そのようなステージを経験している少年もいることから、「元気」や「楽しさ」を基調としながらも、そこにしっとりとした曲や、歌そのものを聴かせる味わい深い曲を入れることで、全体としてより深みのある演奏になるのではないかと感じました。

  名  前       演 奏 曲                 感          想
村上  音央
平賀     晴
涌澤  昊生
  「ちびっ子カウボーイ」  メンバーの中では、小学2・3・4年生と年少で声も高めのグループですが、平賀晴がリーダーとなって全体をリードしていました。選曲が明るくて元気さを前面に出した歌で、可愛さの中にも心弾む力強さを感じました。また、この曲の振り付けとしてはボックスステップを基調とした動きがよく似合っていました。
大橋 冬惟
寺崎 柚空
矢野 新太
 
  「チムチムチェリー」   声は高めでも、決してキンキンした感じではなく、むしろ透明度の高い声で落ち着きを感じる旋律を美しく歌う演奏で、3人それぞれのソロの部分が浮き上がっていました。さらに高音の張りのある声が磨かれることで、大きな山場を作ることができるのではないでしょうか。これから、ボーイ・ソプラノの頂点に向かっていく3人にふさわしい歌でした。
竹内 彰良
中村 海琉
深澤 幸也
 
「かっぱのクィクォクァ」    緑のかぶり物や甲羅や手袋を身に着けカッパになりきり、歌を楽しませて聴かせる工夫ができていました。深澤幸也のクィは志村けん演じるおばあちゃんを思わせるような三枚目の歌、頭に赤いリボンを付けた中村海琉はたおやかな乙女役で、竹内彰良は明るく元気な声でこの個性の違う3人が演じる歌芝居は、何よりも観ていて楽しめました。
小林 佑玖
吉浦  陽 
 「にじ」   30㎝ぐらい身長差のあるこの二人の組み合わせに意外性がありましたが、兄弟という設定だったようで、「あっち向いてホイ!」で始まる一編の短編ドラマを見ているようで、ソプラノの小林佑玖と変声期に入った青年の面影を漂わせる吉浦陽二人の声の高さの違いを生かして二重唱で一つの歌を創り上げていました。観客はスタッフ以外ほとんどいなかったはずなのに、満席になった客を前にして歌っているという雰囲気が出ていました。
河井 慈杏
羽賀 凪冴
中館 翔一
  「小さな木の実」   年齢的にもボーイ・ソプラノが最も美しくなる年齢のソプラノ♪7ボーイズ屈指の美声のメンバーを揃えて、ベレー帽の衣装で秋の雰囲気を出していました。歌そのものは3人とも期待通りの抒情性のあるよく響く歌声とハーモニーでありながら、編曲がフラメンコ調だったので、哀愁を感じるよりも「オレィ!」という力強い掛け声がかかりそうな雰囲気でした。


   少年は日々成長している  

 このコンサートの楽しみ方として、1st発表会、あるいはそれ以前のステージや稽古場の歌と比べてみるということもできます。稽古場で、「ふじの山」と「汽車ポッポ」をYouTubeで初めて観賞したとき、名前と顔が一致したのは、ミュージカル『ビリー・エリオット』のマイケル役を演じた山口れん君だけでした。ひらがなで書かれたファーストネームは、同名もあったりしてなかなかすぐには親しめないところもありました。しかし、昨秋の一連の野外コンサートのYouTube映像を通して、名前と顔と声が少しずつ一致してくると、鑑賞する楽しみが増してきました。これは、従来の少年合唱団を鑑賞する際には考えたこともありませんでした。今回は、新メンバーがたくさん入ったため、名前と顔と声を一致させることと、歌を楽しむことを同時進行で行いました。既に「ふじの山」のソロを澄んだ声で独唱した山口れん君は変声期のため卒団し、その代わりの役を河井慈杏君が見事に引き継ぐなど、メンバーは変わっても、このユニットの音楽の本質は変わっていないと思いました。1年・2年という年齢差は、大人にとっては、それほどの大きな変化はなく、むしろ、逆転現象さえ見られますが、少年にとっての1年・2年の年齢差は、大きな成長・変化をもたらすものです。例えば、平賀晴君の「ママがサンタにキッスした」の前歌のソロ部分など、元気さだけでなく「聴かせる歌」が歌えるようになってきたと感じました。
 さて、聖歌隊はもとより少年合唱団の多くは、主として統制された美しさを求めてきましたが、ソプラノ♪7ボーイズは、むしろ、個人の持ち味を生かしながら、グループとして楽しく見せ、聴かせることに重点を置いていると感じました。また、ボーイ・ソプラノの魅力にも多様性があります。それをどこまで生かした選曲と構成ができるかでソプラノ♪7ボーイズはさらに発展していくでしょう。少年たちは、舞台経験を積むことで、見せどころ、聴かせどころを自ら体得していきます。令和2(2020)年は、コロナ禍という困難の中で、ソプラノ♪7ボーイズのメンバーの中にも、ミュージカルを中心に出演が決まっていたステージが中止され、失意の日々を送ったこともあったでしょうが、それが、思うようにならない時をどう生きるかというものの考え方に成長をもたらしたのではないかと考えています。ソプラノ♪7ボーイズ2nd はっぴょう会は、人の心にひとときの安らぎや元気を与えることができたのではないでしょうか。
  

舞踊作家協会公演『端午の節句に寄せて』より
   令和3(2021)年7月16日(金)  ティアラこうとう小ホール


 本来は、令和3(2021)年5月1日に予定されていた舞踊作家協会公演『端午の節句に寄せて』が、緊急事態宣言のため、7月16日に延期して行われました。『こどもの日』と言わずあえて『端午の節句』という言葉を使ったところに、この公演の意図があったと思うのですが、その真意とステージの全貌はわかりませんので、想像して書くことはしません。
 しかし、7月19日の夜になって、その幕開きに、ソプラノ♪7ボーイズの中館翔一、河合慈杏、平賀晴の3人が歌った「鯉のぼり」(唱歌。作詞者不詳、作曲:弘田龍太郎)「背くらべ」(唱歌。作詞:海野厚、作曲:中山晋平)のYouTube映像が10日間という短期間ではありますが、公開されました。演奏形式は、ソロを交えた合唱でした。「鯉のぼり」では、中館翔一が2番、河合慈杏が3番を独唱しました。「背くらべ」では平賀晴が、1番の前半部分を独唱しました。この2曲は「唱歌」ですので、全体的には声を張った歌唱ではありましたが、中館翔一は、緩急の差をつけて、特に「ゆたかに振う尾鰭には」という部分を抒情的に美しく描き上げ、河合慈杏は、歌を一つのドラマのように表現力豊かに歌い上げました。また、平賀晴は、3人の真ん中に立って、3人の中の「弟」感を出しながら、芯のある張りのある声で歌ったところが特筆されます。「日本男児であるからこそ表現できる歌」とは、まさにこのような歌唱だと言えます。それは、いわゆるヨーロッパの聖歌隊的な美しさではありませんが、日本の伝統を基盤にした凛とした美しさであります。この2曲は、豊かな表現力で、むしろ歌曲に近い歌として歌われていました。
 特に、中館翔一と河合慈杏の二人は、それぞれ中学1年生と2年生で、昨年12月の2ndはっぴょうかいの頃より、身長もぐんと伸びており、半年後、1年後この歌声を維持できているかどうかはわかりませんが、それだけに、この時だからこそ表現することのできる瞬時の美を感じました。ソプラノ♪7ボーイズの歌と言えば、振り付けが入ると思われがちですが、このように、正統派の歌を真正面から歌えるという基礎があるからこそ、振り付けも生きてくるのです。

ソプラノ♪7ボーイズ インスタライブ
令和3(2021)年12月26日(日) レッスン室


   当日の参加は11名

 「インスタグラム」って何だろう?そこからのスタートでした。ソプラノ♪7ボーイズは、例年12~1月にかけて「はっぴょう会」を行ってきましたが、今年は、つい10日ほど前までミュージカル『オリバー!』が大阪・梅田で上演されており、伊東えり先生をはじめ、メンバーのうち7人もいろいろな役で出演していたから、みんなが集まって練習する時間もなかったと思われます。
  「インスタグラム」は、縦長のスマホに対応した動画が映るもので、スマホで視聴する事が前提のシステムのようです。カメラもマイクも使わずに、スマホ1台だけで、撮影、録音、配信全てを行っている感じです。(本当はどうなのかわかりませんが)去年は、劇場でカメラマンもいて、その映像を放映していましたが、今年は、スタッフの方が、スマホで撮影していたのかもしれません。

「ガラケー使用のあっしには関わりのねえことでござんす。」
「お前は、木枯し紋次郎か?」
と、一人芝居。ということで、パソコンの前にメモ用紙を置いての鑑賞となりました。

   それぞれの歌の間にネット中継   

 12時頃から、インスタライブの無料配信が始まりましたが、出演者は11人で、普段着で練習した後のレッスン室で行われました。深澤幸也の司会で、吉浦陽がコメントを入れるような形で、出演メンバーに「今年楽しかったこと」を聞きながら、進められていきました。その回答の一つ一つは覚えていませんが、『オリバー!』出演者は、そのことを挙げていました。また、マスクをとって歌うメンバーと、マスクを着けたまま歌うメンバーがいたのは、そこに何か基準があったのでしょうか。

 歌としては、最初に、ソプラノ♪7ボーイズとしては初登場の、菊池咲乃助と小暮航ノ介が、交互ソロと二重唱で「空がこんなに青いとは」を歌いました。二人とも、明るい高めの声質で、音程はしっかりしていました。今後の活躍に期待しましょう。続いて、竹内彰良が、「上を向いて歩こう」を歌いました。もう、この1年で変声期もかなり進んでいましたが、出しやすい音域で、声のコントロールもできており、また、声のボリュームもあり、高音も割れることなく、この歌の雰囲気に合った前に向かって進むような感じの歌に仕上がっていました。続いて、ミュージカル『オリバー!』に出演したうちの5人(中村海琉・寺崎柚空・小林佑玖・松浦歩夢・涌沢昊生)が、いわゆる「オリバーのマーチ」と呼ばれる“Consider Yourself(信じてみなよ)”をマスクを着けたままラララで歌唱・・・これは、ミュージカルの歌詞の著作権の関係かわかりませんが、ちょっと物足りなさも感じました。もしそうならば、以前、「ふぁーすと発表会」で平賀晴が「オリバーのマーチ」を歌ったのですから、司会が曲の解説でも入れて、その歌詞で歌ってももよかったのではないでしょうか。

 ここで、ニューヨークにいる河合慈杏と、その日の夕方歌のコンクールがあって出演していない平賀晴がネット中継で登場。河合慈杏からは、ニューヨークでは今夜の10時20分であることが告げられましたが、時差の関係等もあってか、うまく会話がつながっていないのが残念でした。なお、二人とも、役作りで伸ばしていた髪を切っていましたし、平賀晴は、やや前髪をきちんと揃えないきのこヘアーに戻っていました。しかし、この企画そのものは、この2人のファンにとっては嬉しい企画だったのではないでしょうか。

 続いて、中館翔一が、日本クラシック音楽コンクールでも歌ったアンドリュー・ロイド・ウェバーの『レクイエム』より「ピエ・イエズ」を歌いました。姿を見た瞬間、美しく成長したなと思いましたが、それは、同時に変声期の訪れでもあったようで、中低音は美しいのですが、最高音部は、少し苦しかったようです。これは、成長に伴うことなのですから、祝ってあげないといけません。深澤幸也と吉浦陽は、ミュージカル『キャッツ』より「スキンブル・シャンクス」の二重唱で、胸に「CATS」の入った服装に着替えてその雰囲気に合わせており、パフォーマンスとして楽しめる歌を歌いました。なお、この日出演した中学生のメンバーは、見たところ、全員が身長160㎝を超えおり、吉浦陽のように170㎝超えのメンバーもいるのではないかと感じました。最後は、全員でつながって「汽車」(「汽車ポッポ」ではない)を歌って、円を描きながら手を振って終わる中に、伊東先生が混じっているというあっという間の40分でした。

ソプラノ♪7ボーイズ 第二回インスタライブ
令和4(2022)年3月27日(日) レッスン室


   メンバーの成長を3か月おきに観られる企画    

 12時頃から、インスタライブの無料配信が始まりましたが、オープニングは、当日の参加は11名で、このユニットには原点となる「富士山」で始まりました。出演者はこの日も11人が2列に並んで二部合唱しましたが、服装は、上着は白の半そでシャツあるいは、腕まくりした長そでの白いシャツ(この時期に半そではやや寒いか)に、黒のハーフパンツ、靴下は黒が多数派で白が少数派でしたが、靴が黒であることを考えると、白でそろえた方がトータルコーディネートとしてよかったように思いますが、この辺りは、12月よりも統一感が出て1歩前進しています。会場は、前回同様練習した後のレッスン室で行われました。今回も深澤幸也の司会で、吉浦陽と竹内彰がコメントを入れたり、参観者のコメントを読み上げるような補佐役の形で、出演メンバーに「好きなもの(食べ物を含む)や将来の夢」を聞きながら、進められていきました。その一つ一つは覚えていませんが、ミュージカルをはじめとする歌手やチェリストなど音楽関係の仕事に就きたいと考えているメンバーと、まだ未定のメンバーがいたことは、この年齢なら当然のことだと思います。次々と変声期に入った中学生メンバーのうち竹内彰が、将来のミュージカル『メリー・ポピンズ』のバート役をしたいと夢を語ったり、今回久しぶりに出場した矢野新太が、変声期は声を壊さない指導を受けていることや前回出演時からの改善点を語ったこと、中村海琉よりニューヨークに引っ越しした河合慈杏が、変声期に入ったことや、カーネギーホールでのコンサートに出演するという朗報を伝えてきたことが最新情報として入ってきました。今回は、何よりも全員合唱以外は、歌う時にマスクをとって歌うことが徹底され、歌う時の表情の豊かさが、歌の鑑賞において大切であることを再確認しました。

 歌としては、最初に、宮澤伶輔・平賀晴・湧澤昊生の3人による「北風小僧の寒太郎」が歌われました。前半の独唱部分は、一人ずつの歌声を聴き、後半の重唱部分ではハーモニーと「カンタロー!」という呼びかけを聴くという構成になっていましたが、風を表現する自然な振り付けは好感が持てました。続いて、中館翔一と矢野新太による「もののけ姫」という米良美一が創唱し、暁星小学校聖歌隊が持ち歌にしている歌が披露されました。二人とも変声期に入っていますが、体を前傾させて無理のない歌いやすい歌い方を心がけて、高音が割れそうになるのを最小限に防いでいました。これまで、ソリストがコンサートの時に変声期に入ってしまったという例はあっても、あえて変声期の少年をメインにした取り組みがあったでしょうか。そういう意味で、この取り組みは、生涯学習につながるものとして違った意味の感動がありました。続いて、中村海琉と小林佑玖によるディズニーシーの『シンドバットの冒険』より「コンパス・オブ・ユア・ハート(Compass of Your Heart)」が歌われました。今、ボーイ・ソプラノの頂点にある小林佑玖と変声期の終期で安定してきた中村海琉は、実際のミュージカルの舞台経験も豊かで、聞かせどころを押さえた楽しめるよい演奏になっていました。ただ、理由はわかりませんが、出演者のうち、はっきりとしたMC役はともかく、語ることはあっても全員合唱以外歌わなかったところが惜しまれます。
 
 最後は、全員で最初の隊形に戻って「われは海の子」で、この日もあっという間の40分でした。また、次回(6月12日)の予告もあり、こういうインスタライブの無料配信という企画なら、メンバーはその時出演できる者だけで3か月ごとに行っても可能であり、現在活動していることが伝わってくるだけでなく、メンバーの成長を知ることもできるという意味で、よい企画だと思います。

 ソプラノ♪7ボーイズ 第三回インスタライブ
「卒業スペシャル生配信」
令和4(2022)年6月12日(日) レッスン室


   卒業は、「変声」ではなく「男声」になってから    

 12時頃から、インスタライブの配信が始まりましたが、最初接続がうまくいかなかったようで、再接続してのオープニングは、13名が敬礼している姿勢から「汽車ぽっぽ」で始まりました。出演者はこの日も13人が2列に並んで二部合唱しましたが、服装は、上着は白の半そでシャツあるいは、腕まくりした長そでの白いシャツに、黒のハーフパンツ、靴下は黒で揃えていました。会場は、おなじみになってきたレッスン室で行われました。今回も深澤幸也の司会で、吉浦陽がアシスタントで、竹内彰と中村海琉がコメントを入れたり、参観者のコメントを読み上げるような補佐役の形で進められました。最初の歌の中でも新入生が自己紹介しましたが、よく聞き取れず、歌が終わってから一人ずつ名前と年齢を自己紹介しました。今回は、「卒業スペシャル生配信」として、卒業生の4人の歌を語り(今だから語れること)を中心に進められていきました。ここで、新たに分かったことは、卒業する4人のメンバーをはじめ、もともと人間関係のなかった少年たちが、「ソプラノ♪7ボーイズ」で出会い、切磋琢磨しながらも協力し合い、歌や踊りを学ぶだけでなく、人間として成長してきたことです。また、全員合唱以外は、歌う時にマスクをとって歌うことが徹底されていました。卒業生の言葉で「卒業することで直接会えずさびしい」ことや、「将来、『発表会』でまた戻ってくる」ことなどが、心に残っています。

 歌としては、先ず、竹内彰が「月の庭」という曲をファルセットを駆使して歌いましたが、これは、レッスンで高音が鍛えられ、卒業の集大成としてカウンターテナーとして声のコントロールがよくできるようになってきたことを感じさせる曲に仕上がっていました。続く、中村海琉は、3月には小林佑玖とデュエットで歌ったディズニーシーの『シンドバットの冒険』より「コンパス・オブ・ユア・ハート(Compass of Your Heart)」を独唱で歌いました。歌が進むにつれて声も前に出るようになり、起伏のある勇壮な歌に仕上がっていました。深澤幸也と吉浦陽は、この日もミュージカル『ヘアスプレー』からのデュエット曲「You can't stop the beat」を練習時はカラオケだったのに、この日は伊東えり先生のピアノ伴奏で歌いました。この二人が歌うミュージカルのナンバーは、明るい歌声で、表現の豊かさもあって楽しめました。その後、4人は将来の夢を語ったりしましたが、変声期が来たのでボーイ・ソプラノを失ったから卒業させるのではなく、変声期を乗り越えて男声としてやっていけそうだという未来が見通せてきてから卒業させるという考えは、現在変声期に入った中館翔一や矢野新太が今後も在籍することも併せ、教育的にも責任ある指導の姿勢だと感じました。
 
 在団生による卒業生への花束と記念品贈呈等が行われた後、在団生5人が二部合唱で変声前のメンバーを前面に立てて、「上を向いて歩こう」を歌いました。「1stはっぴょうかい」のトップバッターの平賀晴が、この日はセンターで歌ったとというのも、時の流れを感じさせます。ソプラノ♪7ボーイズは誕生以来「1stはっぴょうかい」までの1年余りは野外コンサートなどで活動できましたが、その後は、コロナ禍で、思うような活動もできない2年余りでした。その中でネットを駆使してできることはやってきたと言えるのではないでしょうか。最後に卒業生も含め9人で、「かわいい魚屋さん」を振り付け付きで歌い、新メンバー4人も横で一緒に歌うという終わり方で40分が過ぎていきました。ふと、河井醉茗の「ゆずりは」という詩を思い出しながら、この歌を聴いていました。また、「かわいい魚屋さん」は、魚の行商という販売方法が廃った今ではその姿を見ることができなくなってきましたが、このような形で少年たちによって次世代へ引き継がれているではないかと、童謡の新しいあり方についても考えました。

 ソプラノ♪7ボーイズ 第四回インスタライブ
令和5(2023)年1月29日(日) レッスン室
   ソプラノ♪7ボーイズの原点を確認するインスタライブ


「久しぶりに、日本の少年ならではの美しい歌声に出会った。」これが、ソプラノ♪7ボーイズ 第四回インスタライブの第一印象です。
 この日も12時頃から、インスタライブの配信が始まりました。この日の出演は、中館翔一 矢野新太 平賀晴 小暮航ノ介 土岐田育 平賀照 植木壱太の7人で、変声を迎えた矢野新太と中館翔一が司会とその補佐、コメント担当:平賀晴 小暮航ノ介と、学年(年齢)順送りで役割も繰り上がってきました。この日の選曲は、童謡・唱歌に特化した、言い換えればこの合唱ユニットの原点となる曲が、メンバーは入れ替わっても変わらずに演奏されることを再確認するようなライブコンサートでした。矢野新太の司会は、明瞭な声で安定感のあるもので、補佐役の中館翔一の上品なフォローと相まって、曲の紹介だけでなく、今年の抱負を聞くインタビューの場面などもつつがなくこの役を務めあげました。コメント担当の平賀晴 小暮航ノ介も、これまでのキャリアからして舞台になじんできたことが伺えるものでした。

 曲は、おなじみの「汽車ぽっぽ」で始まりましたが、間奏のハンドサインもメンバーが独自性のあるものを工夫していました。出演者はこの日は、初期の野外コンサートのように、7人が1列に並んで、1番独唱、2番以後二部合唱というアレンジをしましたが、これは、変声前のメンバー5人の一人一人の歌声がわかるもので、よいアレンジだったと思います。例えば、「ふじの山」は、前奏でメンバーが歩きながら定位置に立ち、小暮航ノ介の正統派の力強い張りのある歌声が、この歌のもつ雄大さをよく表現しており、2番以後合唱曲としてハーモニーを聴かせるようなアレンジになっていました。続く「動物メドレー」の「小鹿のバンビ」では、初めて聴く土岐田育の柔らかくて張りのある美声、「うさぎのダンス」では、植木壱太の活力のある歌声、「おさるのかごや」は、舞台を一杯に使った動きを楽しむことができました。「われは海の子」では、平賀晴の充実した歌声を聴きながら、この3年間の成長を感じました。ただし、数多くの舞台を経験してきた本人は、この歌に満足していないと思います。「村祭り」は、2nd発表会で初公開されたダイナミックな振り付けの曲ですが、そこにさらにメンバーが工夫した振り付けも入っていました。平賀照の歌声も、独唱ということもあって、昨秋の「フリバLIVEコンサート」と比べて、前に出ていました。

 最初は気付かなかったのですが、見ながら、床のシートに貼られたテープは、演者が位置を確認するための目印であることに気付きました。このような配慮も大切だと感じました。最後の「かわいい魚屋さん」は、昭和30年頃の童謡歌手 大場博之の歌と引き比べることで、70年近い間に同じ歌がアレンジによってこのように変わるということを実感しました。さらに、「汽車」は、汽車の動きをアレンジした振り付けが生きていました。コロナ禍の中、こういう人どうしが接近した演技ができるようになってきたことも、今回の特色と言えましょう。初期のメンバーが変声期を迎えて次々と卒団していく中、新たなレッスン生募集も始まりました。どの少年合唱団も、コロナ禍の中、入団生の募集で苦労しています。地方へ行くほどそのことを痛感します。ソプラノ♪7ボーイズが永続発展してほしいと願っています。

 ソプラノ♪7ボーイズ3rd はっぴょう会
令和5(2023)年8月4日(金) 相模女子大学グリーンホール多目的ホール


   3年ぶりの有観客LIVE開催

 ソプラノ♪7ボーイズにとって、この日は、コロナ直前の令和2(2020)年1月13日に行った1stはっぴょう会以来、3年半ぶりの有観客のLIVE開催ということになります。ソプラノ♪7ボーイズは、コロナ禍の間も、ネット動画を使って色々と工夫したイベントを行ってきましたが、やはり、パソコンの画面で視聴する演奏には、たとえ、大きなテレビとつないで観たとしても視覚的には限界もあります。なお、この日は平日のマチネーなので、観客動員数も心配されましたが、1stはっぴょう会よりも空間的にゆったりした会場だったので、約200人~250人ぐらいの観客は入っていたのではないでしょうか。

 今回は、ソプラノ♪7ボーイズの愛好者にとっては、おなじみのオリジナルアレンジされた童謡・唱歌が中心でしたが、新たに採り入れた曲やOBの特別参加等もあり、楽しめるひとときでした。ただ、パソコンの画面を見るときは、名前と顔と曲を一致させるためにメモを取ったりしていましたが、ライブ会場においては、それは禁止事項でしょう。今回は、レッスン生8名を加え17名という大所帯になったため、7人で歌うという基本に加えて3人のグループで歌う中に、ソロを交えるという構成が中心になっていました。また、OBの特別参加やゲームなども加えたいろんな角度から楽しめるステージになっていました。

   入団の感想は?

 おなじみの「きしゃぽっぽ」と「ふじの山」で始まったステージは、1stはっぴょう会のときに着用していた赤と水色のベスト(つい「チョッキ」と言ってしまいそうになる。年ですなあ。)を着たメンバーと、着ていないレッスン生の7人の出場メンバーは変わっても、伝統芸は引き継がれることを感じると同時に、MC(司会・進行)を1期生最年長でこの日で卒業する中館翔一と1stはっぴょう会のときは最年少だった現在中学1年生となった平賀晴が務めたのは、時代の流れというより、少年の成長は早いという当たり前の事実でした。二人は、これまでの5年間のキャリアを生かしてそつのないMCを務めました。中館翔一は、同世代のメンバーが次々卒団・退団した関係もあって、クラシックの素養があり、わちゃわちゃ感を感じさせないために全体のまとめ役として変声後もチームリーダーとして残った面もあるのではないでしょうか。しかし、中学生メンバーが育ってきました。曲は、おなじみの動物メドレー(「子鹿のバンビ」「うさぎのダンス」「お猿のかごや」)へと続き、メンバーとベストを着ていないレッスン生の合同で7人を構成して、次々と人が入れ替わるという流れが途切れないステージが続きます。「お猿のかごや」の後半は、全員が舞台狭しと籠を担いで回るという迫力のある舞台づくりでした。

 続いて、8人のメンバーに対して、MCより、「ソプラノ♪7ボーイズに入っての感想」が問われましたが、大きく分けると、声の高さや呼吸に関するような歌唱の向上に関することと、男子だけで歌えることのよさが心に残りました。また、一人一人の話し声を聴くと、歌を歌ってもよい声が出そうな感じがしたことは事実です。話すように歌い、歌うように話すことは、とても大切なことです。また、年齢的にも7歳から11歳と幅広く、将来を見据えた入団計画であると感じました。この大舞台を経て、正式なメンバーとなっていくのでしょう。 

   本日の新曲

 舞台は途切れなく進みますが、先ずは、レッスン生8名による「おばけなんかないさ」と「ゲゲゲの鬼太郎」。これらは、おばけや妖怪の歌ですが、声が汚くなりがちな「ガ行」で始まる「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ」の歌声を汚く感じさせない指導に感心しました。また歌が終わった後の気味の悪い踊りのしぐさも、この歌ならではと感じました。「宇宙戦艦ヤマト」は、松浦歩夢、土岐田育、植木壱太という高音に張りのある活力のある声の持ち主たちの「美しく元気な」がキーワードになります。日本の少年合唱団の多くは、発声においてヨーロッパの聖歌隊や少年合唱団の清澄な響きを模倣しようとする傾向がありますが、ソプラノ♪7ボーイズは、子役として舞台出演中の子達も在籍していることもあって、練習場面ではともかく、本番で楽譜をもって歌うものはおらず、また、振り付けもあり、歌声的にはむしろ、今はなき上高田少年合唱団の系譜を現代的に引き継ぐような要素を持った張りのある元気な声の歌を歌います。しかも、重唱部分もしっかりと聴かせてくれます。「大きな古時計」は、むしろ、しっとりと歌を聴かせてくれるメンバー、宮澤伶輔、小暮航ノ介、涌澤昊生が、歌詞の聞かせどころを押さえたくっきりした独唱と重唱で、有節歌曲でありながら、物語歌を味わわせてくれました。宮澤伶輔と涌澤昊生のソロを聴く機会はこれまであまりなかったので、嬉しい驚きでした。

 続いて、平賀晴、平賀照兄弟による「小さな星の歌」。ここでは、平賀晴によるギター伴奏も聴けそうだと思っていたら、マイク係の黒子のスタッフがもたもたした行動、あるいは、演奏者をおちょくったようなマイクを向けるしぐさ。変だなあと思っていたら、OBが三枚目役としてこの係をやっていたんですね。平賀晴、照兄弟による「小さな星の歌」は、平賀晴によるギター伴奏が抒情的な音色を奏で、歌声もしっとりとした感じの歌になって、4~5年間の成長を感じました。ふと、このとき私の頭に甦ったのは、1stはっぴょう会で、MCを務めた岡村要の口から出た言葉でした。
「最初は高い声が出るというところから、だんだん歌声がまろやかになってきて、やがて変声期を迎えます。(大意)」
二人で歌う時は、照はいつも控えめで兄を立てる姿勢も好感が持てました。続いてチェロを持った中館翔一が登場し、この日の曲は、歌唱付きの「グリーン・スリーブス」。伝統的なイングランドの民謡を万感の思いを込めて抒情的に演奏されました。歌声は、既にバリトンで、ソプラノではないのですが、新たな旅立ちの歌として、ソプラノ♪7ボーイズの卒業演奏にふさわしい選曲であったと思います。

   OBの出番からラストへ向かって

 OBは、マイク係の黒子のスタッフとしてだけ、この会場に来ていたわけではありません。会場には、客席にも何人かのOBが来ていましたが、竹内彰良、吉浦陽、深澤幸也の3人は、コロナ禍の中で、お客様の前で歌うことなく卒業をしたことにもの足りなさを感じており、この日改めて竹内彰良は、「9月の庭」を、吉浦陽、深澤幸也は、「You Can't Stop The Beat」という卒業演奏で歌った歌を歌いました。あえて歌うことで、この1年余りの成長を感じることもできました。竹内彰良の歌は、ややビブラート気味ではあっても、ファルセット気味だった高音が美しいテナーになって1年前と比べて声が安定していました。また、吉浦陽、深澤幸也の「You Can't Stop The Beat」は、何よりも息の合った歌を楽しませてくれました。

   ここで、気分を変えて、1stはっぴょう会でも行われたゲームコーナー。現役は、中村海琉デザインの7人の姿を胸に描いた黄色いTシャツの新制服に着替え、ハンカチ落としと、画用紙に書かれたことば当てを、OBが答えるという15~20分程度のお遊びタイムが設けられました。どちらも一見他愛もないゲームでありながら、奥の深い部分があって、現メンバーの表情や、質問への答えによって意外と難しいものだなあと感じました。また、歌ばかりが切れ間なく続くよりも、こういうお遊びの部分があることも緩急をつけるという意味では、いいもんだと思いました。

 再び7人のメンバーの歌唱に戻って、「村祭り」「かわいい魚屋さん」とダンスの比重が高い歌が続きますが、前者は既に都会では見られなくなった風景であり、後者は今では行われなくなった「魚の行商」という放っておけば消えゆく運命にある唱歌・童謡に現代的なアレンジを加えて、令和によみがえらせた歌とも言えます。「村祭り」のダンスは、これまでにソプラノ♪7ボーイズが取り組んできたダンスの中では最も難易度の高いものであり、歌そのものよりもそちらが興味深いものでした。「かわいい魚屋さん」は、広い舞台の使い方が際立つ作品に仕上がっていました。最後は、全員で「われは海の子」が歌われましたが、17人の出演者の出番をどう作っていくかという点でも面白い構成になっていました。

 今は、ネットにある映像を見ることしかできませんが、今後、ソプラノ♪7ボーイズの演奏が全国的に放映されるようなテレビ出演があれば、かつてビッグマンモスがそうであったように、これまでとは違った少年合唱のよさが日本中に伝わってくるのではないでしょうか。それは、ひいては、日本の少年合唱の発展にも寄与すると思っています。




                                                                                                    (つづく)






                                                                                                                                                                                           戻る