ソプラノ♪7ボーイズ

 プロフィール


  平成30(2018) 年 10 月、ボーイ・ソプラノユニット「ソプラノ♪7(セヴン)ボーイズ」が結成されました。これは、女優、声優、歌手であり、ディズニー映画で、歌の部分の吹き替えを担当することが多い伊東えりがプロデューサーとなり、振り付け:武藤寛 楽曲アレンジ:小林早織の指導陣で、変声期前の少年たちで編成するユニットで、理念としては、古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるというものです。コンセプトは、「ボーイソプラノ男子たちが発信する、美しく元気な日本。」平成31(2019)年1月現在11名のボーイズ達が登録。常時選抜を実施してステージでは7名編成で活動します。ミュージカルなどの舞台やテレビCMで活躍中の子どもたちを中心にオーディションを実施し、「美しく、素晴らしい日本」を「歌の力」で伝える実力を備えた歌の上手な少年たちを選抜して、レッスンを積んでいます。そのような意味で、青少年の健全育成を目的とする教育委員会が設立した児童合唱団とは理念を異とします。創設期のメンバは、ミュージカルでも活躍しているCD「めざせ! ミュージカル☆キッズ」に参画した少年歌手たちが中心です。

 日本にはかつて、ビッグ・マンモス(1975~1982)やYa-Ya-yah(2001~2007)といったボーイ・ソプラノの少年によるコーラスユニットがありましたが、それらとも理念の異なるユニットです。また、童謡を中心に歌う児童合唱団には音羽ゆりかご会(1933~     )等がありますが、それとも理念を異にしています。まだ誕生したばかりなので、今後の方向性は未知の部分もありますが、既にプロモーション動画として「汽車」「富士の山」をYouTube配信しており、同年4月7日青松寺観音聖堂 花まつりコンサートで、デビューし、その後もメンバーを少しずつ変えながら、いろんなステージやイベントに出演しています。

  さて、日本の演劇界では10年くらい前から、ミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ、「レ・ミゼラブル」のガブローシュ、「エリザベート」の皇太子ルドルフ、「ビリー・エリオット」のタイトルロールなど本格的に歌って踊れる少年を求める動きが出てきて、倍率の高い厳しいオーデションに参加する少年達も増えてきているようです。同年10月横浜音祭り 街に広がる音プロジェクト2019 @里山ガーデンは、野外コンサートのためか、撮影者によるYouTube映像によってそのステージのかなりの部分がわかってきました。一人一人にしっかりとした歌唱力がついているだけでなく、振り付けが入ることによって、聴覚だけでなく視覚からも楽しめる歌を歌っています。一般的に日本の少年合唱団(児童合唱団)は、みんなで声を揃えて歌うことを重視し、部分ソロやソリはあっても、ソリストを育てるという発想があまりない傾向がありましたが、ソプラノ♪7ボーイズは、はっきりと、ソリストを前面に立てています。それは、メンバーの一人一人が愛称まで入れて自己紹介しているところにも表れています。これは、既存の少年合唱団(児童合唱団)にはなかったことです。また、令和元(2019)年10月には、2020年度レッスン生募集をし、2月末に7名の名前が公表されました。これからは、変声期に入って、「ソプラノ」を看板に掲げるこのユニットとして活動できなくなる年長のメンバーも順次出てきます。平成元(2019)年度は卒業1名でしたが、今後、年度によっては4人ぐらい変声期を迎えることもあるでしょうから、このようにして毎年のように新メンバーを入れながら、同時にリーダーを育成して発展していくことでしょう。また、メンバーが17人となることによって、ミュージカル出演者がいても、独自のイベントに出演する7人のメンバーを確保することはたやすくなりますが、一方出演を巡る内部競争が激化する可能性もあります。それが演奏の質を高める教育的な競争であればよいのですが。


 
また、令和2(2020)年1月13日には、川崎市の溝の口劇場で、1stはっぴょうかいを行いましたが、そこでは、出演者全員が独唱し、ミュージカルのナンバーも歌われ、トークや観客も参加するゲームを採り入れるなど、従来の少年合唱団(児童合唱団)のコンサートとは違った画期的なコンサートになりました。


            
   
                 7人揃って決めポーズ                       花まつりコンサート 港区青松寺(デビュー)                 横浜音祭り 里山ガーデン               

 ソプラノ♪7ボーイズのレパートリー


 ソプラノ♪7ボーイズのレパートリーは、基本的に童謡・唱歌ですが、演奏形態は、7人で振り付けを入れて歌うもの、独唱、あるいは二重唱を背景に振り付けが入るもの、特に振り付けのない独唱に大別されます。それがイベントの場合、30分(15分)ぐらいの持ち時間の中で組み合わされて演奏されます。なお、最初と最後は、「汽車ポッポ」のような7人全員で歌い踊る歌です。最初の歌の後、一人一人が自己紹介をするところも特色の一つです。これは、少年合唱団の演奏会と違うところです。それは、メンバーが毎回変わるためでもありますが、一人一人のメンバーに光を当てるという方針の現れでもありましょう。また、1stはっぴょうかいでは、独唱にミュージカルのナンバーなども公開され、レパートリーの広がりを見せました。
 それでは、令和2(2020)年1月の1stはっぴょうかいまでに歌われた歌(映像で確認できるもの)を分類してみましょう。ただ、この分類は、「大きな古時計」を童謡と分類してよいのかどうか、映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」は、既に合唱曲になっているのではないか、「see you tomorrow」は、この分類に入らないといった課題もあり、かなり便宜的なものですので、ご了承ください。

 童謡

「汽車ぽっぽ」 「汽車」 「かわいい魚屋さん」 「にんげんっていいな」 「ドロップスのうた」 「小犬のプルー」 「大きな古時計」
(動物シリーズ)「うさぎのダンス」 「おさるのかごや」 「小鹿のバンビ」 「あめふりくまのこ」 


 唱歌

「ふじの山」 「春の小川」

 歌曲

「赤とんぼ」 「待ちぼうけ」

 フォークソング

「翼をください」 「四季の歌」

 ミュージカルナンバー

ミュージカル『オリバー!』より「オリバーのマーチ」  ミュージカル『ピーター・パン』より「アイム・フライング」   
ミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」
          ミュージカル『ライオンキング』より「早く王様になりたい」

 映画音楽

映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」

 その他

「see you tomorrow」

 ソプラノ♪7ボーイズのメンバーと出演状況

  ソプラノ♪7ボーイズは創設当時登録されていたのは11人でしたが、常時選抜を実施してステージでは7名編成で活動しています。そこで、それぞれのイベントに登場したメンバーを一覧表にまとめてみました。なお、1stはっぴょうかいでは、10人が出演しています。また、この日で山口れんは卒業しました。また、令和2年2月末に7人のレッスン生を発表しました。この時点におけるメンバー(卒業生)の一覧は、下記のようです。

メンバー  岡村   要 吉浦   陽 中館 翔一 深澤 幸也 竹内 彰良 中村 海琉  大橋 冬惟 小林 佑玖 矢野 新太 平賀   晴
レッスン生  涌澤 昊生(こうき)  寺崎 柚空(ゆず)  宮澤 伶輔(りょうすけ) 村上 音央(ねお) 羽賀 凪冴 陣 慶昭 河井 慈杏  
卒業生  山口 れん
                                                                   (令和2年2月末現在)


 イベント名 花まつりコンサート  HOPE CHARITY CONCERT  横浜音祭り
街に広がる音プロジェクト2019 
横浜音祭り
 街に広がる音プロジェクト2019 
 京王駅伝フェスティバル 
 年・月・日 平成31(2019)年
4月7日(日) 
令和元(2019)年
6月8日(土) 
令和元(2019)年
10 月5日(土) 
令和元(2019)年
11 月2日(土)
令和元(2019)年
11月17日(日) 
場所  港区青松寺  東京キリストの教会
メインホール  
里山ガーデン  クイーンズガーデンスクエア
横浜 
 味の素スタジアム
 出演
メンバー
山口 れん
岡村   要
吉浦   陽
中館 翔一
中村 海琉
竹内 彰良
平賀   晴
山口 れん
岡村   要
深澤 幸也
竹内 彰良
中館 翔一
矢野 新太
平賀   晴 

岡村   要
山口 れん
吉浦   陽
竹内 彰良
中館 翔一
大橋 冬惟
平賀   晴

 
岡村   要
山口 れん
吉浦   陽
竹内 彰良
中館 翔一
矢野 新太
平賀   晴
岡村   要
山口 れん
竹内 彰良
中館 翔一
中村 海琉
小林 佑玖
平賀   晴 


 イベント名 1stはっぴょうかい
 年・月・日 令和2(2020)年
1月13日(月・祝) 
場所  川崎市
溝の口劇場
 出演
メンバー
平賀   晴
大橋 冬惟
矢野 新太
吉浦   陽
深澤 幸也
中村 海琉
竹内 彰良
中館 翔一
岡村  要
山口 れん
(独唱順)

 ビッグ・マンモスとソプラノ♪7ボーイズを比べて

 ソプラノ♪7ボーイズが登場した頃、少年ユニットによる動きの要素のある歌を演奏していることから、これを約40年ぶりのビッグ・マンモスの再来という捉え方をした人もいました。ところが、この二つのユニットを比較すると、次のような共通点と相違点があります。なお、ソプラノ♪7ボーイズはまだ誕生して間がないので、今後、さらにいろいろと変容することもあると考えられます。

 ビッグ・マンモスは、当初よりテレビ番組「ママとあそぼう!ピンポンパン」で全国放送されたため、多くの人の目にふれ、当時一流の作詞・作曲家によるビッグ・マンモスのためのオリジナル曲が作詞・作曲されて、振り付け付きで演奏・放映されました。本ホームページの「ビッグ・マンモス」のコーナーをお読みいただければ、その代表曲がおわかりいただけると思います。この番組は、幼児対象のバラエティー・ショーといった感じで、ビッグ・マンモスは歌って踊るだけでなくコントなどもしました。ビッグ・マンモスは本来の視聴対象の幼児だけでなくむしろ中学生・高校生(女子が多い)まで幅広い人気を集めました。年に何度か野外でコンサートを行いましたが、全盛期にはとしまえんに5000人もの観客が殺到するなどその人気は凄まじかったようです。また、デビュー当時、幼児教育関係の出版社「ひかりのくに」が昭和52(1977)年に「Go!Go!ビッグ・マンモス」を出版しています。また、合唱団として、ビッグ・マンモスを見たときに、小倉朗作曲の「ほたるこい」をそのレバートリーに入れているところは注目されます。それでは、それほど人気のあったビッグ・マンモスの活動がわずか7年で終わってしまった理由を考えてみましょう。それは、初期の人気のあったメンバーも、変声期を迎えると次々と卒業し、その代わりのメンバーも加入しますが、その在籍サイクルが短いこともあり、視聴者に覚えられなかったこともあるのではないでしょうか。特に、ファンの中核が女子中学生・高校生の場合、その好みも変わりやすく、人気は移ろいやすいということもできます。何よりも「ママとあそぼう!ピンポンパン」という番組が終わってしまったことが、ビッグ・マンモスの解散でもありました。

 一方、ソプラノ♪7ボーイズは、現時点(令和2(2020)年3月時点)では、イベントで鑑賞するか、その映像をYouTube映像で鑑賞するしかできません。しかし、古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるという理念は揺るぎません。1927(昭和2)年に作詞・作曲された「汽車ぽっぽ」のようなある程度動きの要素のある歌だけでなく、1937(昭和13)年に作詞・作曲された「かわいい魚屋さん」のように、魚の行商という現在ではほとんど行われなくなった販売方法の歌に挑んで、子どもの世界ではほとんど知られなくなった曲さえ、隊形移動を通して新たな息吹を吹き込むことで、蘇らせています。しかし、まだ、活動が始まってから間もなく、その評価をするには、まだ時間がかかります。

 なお、少年合唱団という捉え方をしたら、この二つのユニットは、聖歌隊にその起源をもつ宗教的な背景をもつ少年合唱団ではないので、宗教曲をレパートリーにはしていません。また、日本各地にある県あるいは市や町の教育委員会が設立したり、補助金を出している社会教育・生涯教育としての位置づけの団体でもありません。従って、フジテレビあるいはハートビートプロジェクトといった私立の団体で、主として「動きを伴った歌」を歌う少年合唱団ということができます。また、ソロを重視するところも共通しています。そこには、一つの曲を創り上げるために協調性を養いながらも、集団の中に個を埋没させないという理念を感じさせます。

 そこで、次の10項目について、ビッグ・マンモスとソプラノ♪7ボーイズを比較検討してみましょう。ビッグ・マンモスは、新資料が発見されない限り今後変わることはないでしょうが、ソプラノ♪7ボーイズは、誕生したばかりですので、ここに書かれたことは令和2(2020)年3月時点のことで、今後変わる可能性があります。

 
比較事項


 ビッグ・マンモス  ソプラノ♪7ボーイズ

① 活動時期 

昭和50(1975)~昭和57(1982)年  平成31(2019)年~    誕生は平成30(2018)年
② 位置づけ フジテレビの幼児向け番組「ママとあそぼう!ピンポンパン」の中の少年合唱団 プロデューサーは、後年「俺たちひょうきん族」等をプロデュースした横澤彪。
ミュージカル俳優で、ダンスや合唱の指導者でもある伊東えりがプロデュースした少年ユニットで、現在は公開、あるいは企業主催のクローズドのイベント出演が主である。

③ メンバーの所属
劇団いろは・ 劇団ひまわり・劇団日本児童・東京音楽学院・FMG等に所属する子どもたちが中心メンバー



CD「めざせ! ミュージカル☆キッズ」に参画した少年歌手たち(
ミュージカルなどの舞台やテレビCMで活躍中の子どもたち)が中心メンバーであるが、すずかけ児童合唱団員もいる。

④ 演奏する曲目とその特徴
レパートリーとしては、何よりも当時一流の作詞・作曲家によるビッグマンモスのためのオリジナル曲が挙げられる。また、童謡・唱歌 「みんなのうた」のヒット曲  民謡・演歌系の歌謡曲 歌謡曲や洋楽のポピュラー・ソングを原曲とする曲。オリジナル曲はもとより、その他の曲でもソロを多く採り入れている。 
  元メンバー 小倉一夫さんの話によると、メンバーになるには、歌が歌えるということを第一条件としたそうである。
 
 

古くから伝わる日本の童謡・唱歌を中心に、後世に伝えるべき歌を斬新にアレンジし、歌とダンスを交えたパフォーマンスを届けるという理念のもと、童謡・唱歌が中心である。ソロを重視しており、はっぴょう会では、メンバー全員が独唱した。独唱のレパートリーとしては、童謡・唱歌だけでなく歌曲 フォークソング ミュージカルのナンバーもある。


⑤ メンバーの育成
結成当初からメンバーの入れ替えを随時行いながら、15人前後で活動した。メンバーが中学生になったり、変声期を迎えたりして卒業すると、新メンバーを入れていた。

結成当初のメンバーの人数は11人であるが、イベントにおいてはその中から7人を選抜して出場する。変声すれば卒業し、レッスン生を採用して、メンバーに育てていく。
⑥ リーダー 
年長の1~2名をリーダーとしていた。
初代リーダー 森井信好・ 兼安博文(1978年4月より単独)
二代目リーダー 大沢総一郎
三代目リーダー 伊藤光


年長の1~2名をリーダーとしていたようであるが、ステージにおいて、「リーダー」という名称は、使われていない。
初年度は、岡村要(中2)と山口れん(中1)


⑦ ダンス
歌とダンス等の動きを別々に収録して、それを合成して作品に仕上げていた。リアル感を出すために口パクではなく、実際に歌っていた。従って、曲によっては、非常にダイナミックな動きもある。


歌が主で、ダンスはそれに合わせたややゆっくりめの振り付けであるが、それらを同時進行で行うところが大きな特色である。これは、ミュージカル志向のメンバーが多いからこそ可能であると考えられる。
⑧ 制服
白地に赤を採り入れ野球の背番号を胸番号にした上着と、当時流行した短めの黄色い半ズボン、白を基調とした揃いのソックスがあるが、オリジナル曲によっては違う制服もある。また、私服で歌うこともあるが、その場合は、半ズボンも長ズボンもある。
白い半袖のシャツに赤と水色のベストを交代で着る。ベストを脱ぐ場合もある。当世風のやや長めの動きやすい生地の紺色のハーフパンツ、黒のダンスしやすい靴だが、ソックスは色も長さも自由のようである。
⑨ ニックネーム
一人一人にニックネームがついていて、自己紹介でも使っていた。
一人一人が自己紹介をするが、名前を紹介するメンバーと、「~と呼んでください。」とニックネームまで紹介するメンバーがいる。
⑩ ファン層 
テレビを視聴していた幼児もいたであろうが、野外コンサートの観客は、主として中学生・高校生の女子が多かった。 

観客は、いろいろな世代の男女にまたがっている。特に、若い男性ファンが多いのも特色と言えよう。 


ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会
令和2(2020)年1月13日
(月・祝) 溝の口劇場


   「プラチナ・チケット現象」の理由

 ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会のチケットは、まさに「プラチナ・チケット」になったようです。1回目の申し込みの約1時間後にネットアクセスした私の友人は、入手することができず、結局あきらめざるを得ませんでした。実のところ、主催者・関係者の方でも、どれだけの申し込みがあるかを想定できなかったのではないでしょうか。ある保護者の方の言葉によると、溝の口劇場は、当初、『20人くらいお客様が来て下さればありがたいね』という想定の会場だったようです。それでは、どうしてこのような「プラチナ・チケット現象」が起きたのかその理由を考えてみました。確かにこれまで実際にステージを鑑賞してファンになった人もいるでしょうが、最大の理由は、ホームページやツイッターの公式の動画だけでなく、昨年10~11月に横浜・東京で行われた3回のイベント出演は、野外コンサートであったためか、ハンドルネーム「氷板」さんが撮影した4Kの美しいYouTube映像によってそのステージの魅力が伝わってきたことの効果がかなり大きかったのではないでしょうか。演目は、童謡・唱歌ですが、一人一人にしっかりとした歌唱力がついているだけでなく、振り付けが入ることによって、聴覚だけでなく視覚からも楽しめる演奏になっています。また、歌が主でダンスは従でありながら、その振り付けは、かっこよさよりもむしろかわいらしさを強調することで、その歌の新たな魅力を伝えています。そのような意味では、時流に乗ってうわべのかっこよさを求めるあまり、現代の日本人が見失ってきたものを再発見するようなコンサートでもありました。ところで、これまで日本の少年合唱・独唱のCDは、商品になりにくいことから、私家盤等を除けばほとんど市販されていませんでした。従って、YouTube等の映像によって匿名の少年の独唱を鑑賞することぐらいしかできませんでした。肖像権あるいは個人情報保護に対する法的な規制が厳しくなってきた現代において、直接演奏会場に行かなければ、その魅力を知ることはほとんどできませんでした。そのような意味で、この野外コンサートのYouTube映像の放映を許諾したソプラノ♪7ボーイズの指導者の先見性や度量の大きさに敬意を表したいと思います。現在、この野外コンサートののべアクセス数だけでも、この約3か月で9000回を超えています。そのような意味でも、このYouTube映像の宣伝効果は大きかったと思います。
 初めての試みでは、当初から想定された座席数の問題だけでなく、販売するグッズの数やドリンクの容器の回収などでは、想定外のことも起こります。保護者を含むスタッフの方々もその対応が大変だったと思います。ただ、観客がソプラノ♪7ボーイズの少年たちを応援しようという意識が非常に高かったので会場の雰囲気も温かく、いろいろな意味で良識的・協力的な対応をしたこともあり、また、小さい子どもたちの鑑賞態度もよく、そのような意味で、よいコンサートになったと思います。

   コンサートの構成と工夫点

  さて、このコンサートは、スタンドマイクが7本並んでいるだけで、伴奏の楽器がないステージで行われました。また、指導者がステージに上がることもなく、スタンドマイクの出し入れをする劇場の係の人以外は、すべてソプラノ♪7ボーイズの少年たちによって進められました。先ずステージ後ろの暗幕が開いてスクリーンにメンバー11人の自己紹介がビデオ紹介されました。これは、演出というだけでなく、当日ミュージカル『フランケンシュタイン』出演のため、欠席せざるを得なかった小林佑玖君への配慮とも言えます。伴奏はすべてカラオケで、童謡・唱歌にも現代的なアレンジがされています、最初と最後に7人~9・10人の振り付けの入った童謡・唱歌、年齢ごとに3つに分けた10人全員の得意ジャンルの曲(この日は、ついにミュージカルのナンバーが解禁)のソロ、風邪が流行する季節、のどの健康を守るためにしていることを題材にしたトーク、観客も交えたハンカチ落としや球拾いゲームという休憩時間のない1時間半を飽きさせない構成になっていました。このユニットが7人という人数にこだわったのも、メンバーがミュージカルに出演した場合等のことを考えて人数を絞ったものと考えられます。そこで、人数が9~10人の場合の決めポーズはどうなるのかと注視していましたが、いわゆる「基本型」の応用になっていました。振り付けの入った歌は、パソコンの画面で見るのと、かぶりつきの座席から5~6メートルぐらいまでの近距離で鑑賞するのでは迫力がまるで違うし、その全体像が見えるので、練習によって動きがよく統制されていることも伝わってきます。なお、司会・進行役は、年長で中学生の岡村要君(ときによっては、山口れん君)で、ただメンバーにマイクを向けて質問するだけでなく、ときには、発言に切り返しを入れたりして、わりと自由度が高めのメンバーをうまくコントロールしながら、ステージを盛り上げていました。また、のどの健康を守るためにしていることを題材にしたトークでは、うがいやマスクといった常識的に考えられることはもちろんのこと、マスクを裏返しにして使う工夫が出てきたり、「マヌカハニー」など聞いたことのない健康食品の名前がごく自然に飛び出してきて、この少年たちがプロ意識をもってステージに臨んでいることが伝わってきました。なお、昨年秋ごろから誰の耳にも変声期に入っていることがわかる山口れん君は、この日でこのユニットを卒業することになりましたが、この日は、次の階段を昇っていくことが伝わるようなよい歌を卒業記念に歌ってくれました。ソロで歌ったミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」もよかったですが、 とりわけ、ミュージカル『ライオンキング』の4人のヤング・シンバ役に対応するシンバの教育係のサイチョウ ザズー役は、脇役ながら、表情も豊か、動きも俊敏で、「これは、うまい!」と、感心させる出来栄えでした。今後は、OBとしての特別出演を期待しています。

   全員がソロという快挙   

 このコンサートでは、出演した10人全員がソロを歌いましたが、全員がかなりの実力者であり、このような企画は、どこの少年(児童)合唱団のコンサートにもないので、それが、大きな特色であり、見応え・聴き応えがありました。(ソロのステージを採り入れているところもありますが、人数はせいぜい1~4人ぐらいです。)年齢層ごとに3つに分けた10人の独唱について、司会の岡村要君は、
「最初は高い声が出るというところから、だんだん歌声がまろやかになってきて、やがて変声期を迎えます。(大意)」
という、年齢によるボーイ・ソプラノの鑑賞の仕方まで紹介してくれました。このセリフが自然に出てきた自分の言葉であったならば、これは、まさにボーイ・ソプラノの本質を突いた言葉であり、このような言葉を語れることを激賞したいと思います。それでは、10人の演奏を記憶をたどりながら、歌った順番にそのよかったところを一口感想的に。

 名 前  演 奏 曲  一 口 感 想
平賀  晴 ミュージカル『オリバー!』より「オリバーのマーチ」  明るい声質とそれに似つかわしい選曲で、歌うことが楽しくてたまらないという雰囲気が客席に伝わってきました。 
大橋 冬惟 「あめふりくまのこ」 透明度の高い声で1番ごとに違う歌い方をして、雨が降ってできた小川を、魚を探してずっと眺め続けるこぐまのドラマとして描いていました。 
矢野 新太 「小犬のプルー」  ひとりぼっちの「ボク」と小犬のプルーとの出会いと別れを、哀愁漂う雰囲気のある歌に仕上げていました。 
吉浦  陽   映画『天空の城ラピュタ』より「君をのせて」 メゾ・ソプラノの声質を生かして、静かな歌い出しから始まって、秘めた情熱を感じさせる歌になっていました。
深澤 幸也 「待ちぼうけ」 一人芝居をしながら歌うことで、人の「愚かさ」を視覚的にも描いていましたが、歌唱そのものはたいへん気品のあるものでした。 
中村 海琉 「大きな古時計」  ややハスキーな声質を生かして、おじいさんの人生に寄り添いながら、その喜びや悲しみを表現していました。 
竹内 彰良 ミュージカル『ピーター・パン』より「アイム・フライング」  ステージを一杯に使って、明るくリズミカルな歌声で、爽快な興奮が伝わってくる歌芝居を演じていました。 
中館 翔一 「赤とんぼ」  やさしくしっとりとした雰囲気で、この曲に添えられた叙情性がよく生かされていると感じました。
岡村  要 「四季の歌」  声域的には狭い歌でありながら、一つ一つの詩の言葉に込められた意味を伝えようとする表現力豊かな歌唱でした。 
山口 れん  ミュージカル『モーツァルト』より「僕こそ音楽」  この曲に挑めるほど声が安定してきたという喜びを感じると同時に、表情の変化において、丁寧で誠実な歌づくりが心に残りました。


   異質なものから学ぶことの大切さ   

 これまで、少年合唱団(児童合唱団を含む)のコンサートをはじめ、クラシック系のコンサートでは、プログラムが先に配られ、あるいはポスターやチラシに演目の概要が記載されていて、演奏開始前や休憩時間にプログラムを見ながら鑑賞し、アンコール曲だけが、その日のお楽しみで、帰りに入り口付近に演目が掲示されるというスタイルでしたが、ソプラノ♪7ボーイズ 1st はっぴょう会では、プログラムは配られず、少なくとも独唱において、誰が何を歌うかは、本人が直前に自分の口から発表するという観客にとってスリリングなやり方でした。ステージの次第を記したセットリストは、当然あったと思いますが、こういうコンサートの在り方は、観客の期待感を高める上では効果的です。 
  少年合唱(児童合唱を含む)には、その年頃の少年(児童)の声だけがもっている清純な魅力があって、それは他に代えがたいものであります。しかし、何よりも周りと合わせハーモニーを大事にするよい合唱団員を育成することと、その個性的な声質を生かした優れたソリストを育てることは同じではありません。また、合唱中心の合唱団とミュージカル中心の合唱団でも、当然のことながら、団員の育成方法は違ってきます。このコンサートに少年合唱団(児童合唱を含む)の指導者が来られていたかどうかは、私にはわかりませんが、「○○少年少女合唱連盟○○大会」のような同質な団体が集う大会に参加して、演奏を交流するだけでなく、このような異質なものから学ぶということは、とても大切だと感じました。
 さて、クラシックのコンサートでは、その日の演奏曲の予習をして行かないと、心から楽しめないこともあります。それが、クラシック音楽そのものを絶滅危惧種に追い込んでいるという側面もあります。また、クラシックのコンサートでは、「今日は、立派な演奏でした。」という言葉が、最高のほめ言葉になるのかもしれませんが、ソプラノ♪7ボーイズのコンサートでは、いわゆる「予習」はいりませんし、「今日は、心から楽しめました。」という言葉こそが、最高のほめ言葉になるのではないでしょうか。そのような意味で、この日のコンサートは、心から楽しめました。 














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