「関西もっといい旅」 |
NHK「関西もっといい旅」に、『アトム誕生の年』にちなんで、ボーイズ・エコー・宝塚が登場するということで、期待していたのですが、正直言って観光案内としても薄味な番組でした。せめて、団名の紹介ぐらいしたっていいじゃありませんか。もしも私がディレクターなら次のような番組にするぞ!
町を紹介する人はあの過激なプロレス解説で一世を風靡した古舘伊知郎さん。最近ではNHKの紅白歌合戦の司会などにも登場し、かつての過激さを潜めたかに見えますが、この日は、どういうわけか、おーっと!おきて破りの言いたい放題であります。
「全国3千万の少年合唱ファンの皆さん、こんにちは。私は今『歌劇と温泉の町』と呼ばれる兵庫県の宝塚に来ております。阪急宝塚駅の改札口を出まして市のメインストリート『花の道』と呼ばれる満開の桜のトンネルをくぐっております。道の両側には閉園間近の宝塚ファミリーランドがあり、閉園を惜しむ人達の怒涛の大挙入園で湧きかえっております。園内からは韓国に行く予定となっているホワイトタイガーの雄叫びも聞こえてまいります。さらに道を歩いて行きますと、宝塚が育てた漫画家 手塚治虫を顕彰して建てられた手塚治虫記念館の勇姿がが見えてまいります。今年の4月7日は「鉄腕アトム」の誕生日ということで全国各地でイベントが開かれますが、前日の今日はご当地で何があるのでありましょうか。おーっと、あれは何だ。近づくにつれて少年たちの歌声が聞こえてくるではありませんか。赤いブレザーに白い半ズボンの20人ばかりの少年たちが永遠のロングセラーと呼ばれている「鉄腕アトム」のテーマ曲を歌っているではありませんか。あれこそ、宝塚歌劇と並んで音楽文化都市宝塚市の象徴であるボーイズ・エコー・宝塚の少年合唱であります。この日は「アトム誕生記念コンサート」と題して、手塚治虫記念館前での野外コンサートであります。「海のトリトン」「ジャングル大帝」など手塚作品を集め、道行く人に歌のプレゼントをしております。」 (4月6日撮影 4月25日関西地区放映)
やはり、これぐらいの情熱があってこそでしょう!
宝塚市春のコンサート |
今年は、1月恒例のニューイヤーコンサートが、会場のベガホールのリニューアル工事のためできなくなり、工事完了を待つようにして、5月4日「春のコンサート」として行われました。どこがどのようにリニューアルされたのかはよくわかりませんでしたが、会場の正面に掲げられた鯉のぼりの絵が季節感を表わしています。
ストーリー性のある選曲
このようなコンサートでは、各団体が10分足らずの持ち時間の中でどう持ち味を出すかというところが見どころですが、選曲に一本の筋が通っているとそれがさらに生きてきます。今回のボーイズ・エコー・宝塚の選曲を見ると「ひょっこりひょうたん島」「ジャングル大帝」「星物語」と3つの趣の違う物語を集めただけでなく、それを「冒険の旅」としてつないでいったところに面白さがあります。また、曲目の紹介の中で自然な形でつないでいるところも心に残りました。こういう紹介のしかたは、ビッグマンモスの曲の紹介にも通じるところがあります。
さて、このコンサートは、時期的にみると合唱交歓会と同じ時期と考えることができます。卒入団のため、この時期の少年合唱団はどこでも音楽的に厳しいものがあります。登場した団員は15名と、卒団生が抜けた分少なくなっていますが、それは、声のボリュームという点で全体的にやや弱くなっていましたが、特に2年生は、進級したこともあってしっかりした歌を歌っていたように感じました。
表現の工夫
この日初公開の「ひょっこりひょうたん島」は、昭和39(1964)年に初登場以来40年ぶりぐらいのテレビ再登場です。今回は前川陽子のソロで歌われた前作とは違う独自な歌を聴くことができました。最近モーニング娘で歌われている新作は、「翼をください」や「亜麻色の髪の乙女」同様、リメイクに当たってかなりアップテンポで歌われていますが、ボーイズ・エコー・宝塚のテンポは、その中間でした。この曲は、初演当時は同時期の子ども番組のテーマと比べてかなり斬新だったと想います。ボーイズ・エコー・宝塚は、波や雲を越えるひょうたん島の動きを歌と動作で表現する前半と、悲しいことや苦しいことにくじけず進めという心の動きを描いた後半を対比して合唱表現している点で面白く感じました。こういう表現ができるところが合唱だからこそできることと言えましょう。
「ジャングル大帝」は、「あ〜ぁ〜あ」という感嘆の繰り返しの中で物語が展開していきます。全体としてはきれいな仕上がりになっていましたが、「あ〜ぁ〜あ」の繰り返しがドラマティックなわりに、一つ一つの物語の言葉が聞き取りにくいところもありました。
「星物語」は、「今度はロケットに乗って宇宙探検に出かけよう。」という紹介に続いて歌うこともあって、セリフ部分は省略されました。これは、ストーリー性を重視するという意味ではよいことだと思います。ここで、セリフが入るとそこだけが変に浮いてしまうでしょう。歌は、合唱部分と稲垣君のソロ部分の掛け合いが美しく、この歌がボーイズ・エコー・宝塚の持ち歌として定着してきたことを感じさせる歌唱となりました。
大曲に挑むことで
この日は、みんなで歌おうの「鉄腕アトム」を含め、ワーグナーの「タンホイザ−」より「栄えよ音楽の殿堂」、「スミレの花咲く頃」「ラデツキ−行進曲」の4曲が合同演奏で歌われました。「ラデツキ−行進曲」は、持ち歌として歌われていますが、それでも2年生にとっては初挑戦。ましてや大曲のワーグナーは。かつてNHK学校音楽コンクールで金賞をとった東京都台東区立金竜小学校の合唱部が「題名のない音楽会」でこの曲を歌ったのを聴いたことがありますが、いつの日にかボーイズ・エコー・宝塚だけでこの歌を歌う日が来ることを願っています。大人と一緒になってこのような曲に取り組んでいくことは、団員の少年たちにとって貴重な経験になることでしょう。この日の「スミレの花咲く頃」は、前歌の部分が流麗に、本歌の初めの部分がジャズ調にというアレンジがしてありましたので、こういう曲想の違いを的確に表現できるようになればなあと思いました。大曲に挑むことでまた前進が期待されます。
宝塚合唱連盟第37回合唱交歓会 |
7月21日は、ベガホールで行われた宝塚合唱連盟の合唱交歓会に行ってきました。今年はベガホールの工事の影響で例年5月末に行われている合唱交歓会がこの時期にずれ込みました。夏にあるということは知っていましたが、この日にあるとは知りませんでした。朝、中安先生から連絡を受けて、急遽会場に駆けつけたのですが、聞くところによると。団員は1年生9人、2年生7人、3,4年生なし、5年生4人、6年生2人ということです。人数的には22人(当日参加は21人)とこの時期としてはまずまずなのですが、低学年が圧倒的に多い年齢構成です。これは、選曲や表現力という点できびしいです。また、入学したばかりの1年生にとっては、顔見世公演という感じになります。
子どもの合唱の実力は、舞台の並び方と比例するということを感じることがあります。並び方が早く整然としていることは、それだけよく統制されているとも言えますし、子どもがそういうことの大切さを自覚しているとも言えます。今年も1年生は上級生に手を引かれて登場かと思っていましたが、今年の1年生は、中安先生の指示を受けながらも何とか自力で舞台の定位置まで並ぶことができました。この日は、ミッキーマウスの模様の入ったTシャツに白半ズボンというはじめて見る夏衣装です。
この日の演奏曲は、「ぼくはひこうき」「星物語」「うちゅうのうた」「大空讃歌」の4曲で、空や宇宙に関係する歌を集めました。稲垣君の解説によると、今年はライト兄弟が飛行機で空を飛んで以来100年ということで、このようなテーマをもった選曲はたいへんよいと思います。
歌が始まって、第一印象は、やはりこれまでより声が幼いということです。しかし、2年生がかなりしっかり歌っていることは伝わってきました。どの曲も一生懸命歌ってくれているのですが、山場を作りきれていないのは、これからの課題になってきます。また、「星物語」もこれで3回目の演奏ですが、今回はじめて完全な合唱として公開しました。しかし、この曲はソロと合唱の掛け合いという本来のスタイルの方が生きる曲であることを感じました。今回の曲の中では、「大空讃歌」が、歌いたいという気持ちが前面に出てさわやかな歌になっていました。
今新入の1年生も、半年鍛えればかなりよくなるというのは昨年実証されていますので、2年後を期待したいと思います。
第37回宝塚市民合唱祭 |
11月3日は、宝塚ベガホールで行われた、第37回宝塚市民合唱祭に行って来ました。この日は統計的には1年中で1番晴れる確率が高いのですが、この日は雨でした。今年も出場団体は過去最高の36団体で、宝塚において合唱が盛んであることを示しています。ボーイズ・エコー・宝塚の出場は10番目でした。例年そうなのですが、1団体8分の制限時間の中で持ち味を出すことはなかなか難しいことです。しかし、ボーイズ・エコー・宝塚は選曲において何らかのまとまりを作っています。この日の4曲も、「ホットケーキとんだ」と「アイスクリームの歌」という食べ物の歌と「気球に乗ってどこまでも」と「つばさを広げて」という大空への憧れの歌を2曲ずつ演奏しました。
選曲としては、短いものが多いのですが、1.2年生団員が全体の4分の3を占めるという年齢構成からすると適切です。変に背伸びした歌を歌わせるよりも、歌詞を理解し共感できる歌を選ぶことが大切だと思います。
歌詞の紹介には2年生の森本君と竹内郁君を起用するなど、2年生に中堅としての役割を担わせているところに、将来を見据えた団員の育成を感じました。
さて、演奏ですが、「ホットケーキとんだ」は、ふんわりした仕上がりでしたが、声がまだ温まっていない感じを受けました。「アイスクリームの歌」は、「ブカブカドンドン」「ルラルーラルーラ」「チイタカタッタ」の曲想の区別をはっきりすることによってもっと面白い歌になると思いました。友竹正則の歌がまだ耳の底に残っているものですから、この歌の楽しさをもっと浮かび上がらせることを期待しています。
感心したのは、「気球に乗ってどこまでも」。この曲は、もっと幼い声で歌われるのかなと予想していたのですが、張りのある声と歯切れのよいリズムで、幼さを感じさせませんでした。最後の「つばさを広げて」は、これまでにも取り上げたことのある曲で、安定した歌が歌えていました。
来春の定期演奏会では、おそらく、「食べ物の歌」「大空への憧れの歌」でそれぞれ1ステージ作られることでしょう。どんな歌が選ばれるか楽しみです。また、低学年と高学年のステージを別々にして1ステージという試みもあってよいと感じました。
第21回「宝塚ニューイヤーコンサート」 |
二年ぶりの第21回「宝塚ニューイヤーコンサート」は、初心に返ることを掲げて行われました。会場に駆けつけると、遅刻すれすれの2時。空席だった一番前の席で見るのは始めてでしたが、伴奏ピアノの指づかいがよく見えるという利点もありました。辻先生の伴奏をこのような距離で見たのは初めてです。
会場のベガホールの正面には二匹の猿の絵と2004という数字の飾りで、例年通り郷土民謡の「千吉音頭」で開演しました。ボーイズ・エコー・宝塚は、今年はメインの歌は稲垣君だけであとの3人は千吉音頭保存会のメンバー、お囃子が中心でした。それでも、保存会のメンバーは全体として増えているようで、郷土芸能を子ども達の手で守ろうという気運が高まっていることを感じました。
ボーイズ・エコー・宝塚の出場順は5番目で20人の団員が2列に並ぶと、低学年が多いため例年よりやや小柄な感じがしました。それでも、今年度になって3回目のべガホールの舞台では、自分の並ぶ位置をほぼつかめていたところに成長のあとを感じました。
曲目は「くいしんぼうのカレンダー」「世界がひとつになるまで」「青い空は」の3曲。「くいしんぼうのカレンダー」は、初めて聴く曲でしたが、月と和菓子を組み合わせた季節感のある歌で、そこはかとない日本情緒がただよってきます。連続テレビ小説の「あすか」で和菓子は、季節を盛り込むことが原則ということを聞いていたので、歌詞をきちんと聴き取ることがこの歌の楽しさをつかむことにつながると思います。しかし、少年たちは歌詞をはっきりと歌ってくれましたが、単純な有節歌曲であるため、山場を作ることが難しいと感じました。
嬉しかったのは、2曲目と3曲目です。イラク戦争の戦後処理が混迷している今こそということで選曲された歌だそうですが、低学年が4分の3を占める団員は、どれほど表現してくれるだろうかという不安もありました。しかし、歌は、声量においては乏しいもののこの歌に込められた願いを理解して的確に表現してくれました。「世界がひとつになるまで」は、Ya・Ya・yahのいかにもニューミュージック風の「を」を「うおっ」と発音する臭みがないだけ、清純な仕上がりになっていました。しかも、オブリガートにハイ・ソプラノを配置するなどの工夫が生きていました。2年生の森本君に将来のトップ・ソリストの片鱗を感じることもできました。「青い空は」は、これまでに広島少年合唱隊の心に迫る歌を何度も聞いていましたが、それよりも遅めのテンポで歌詞に共感しながら歌っていることが伝わる歌唱でした。団員の名前と顔が一致しないために、いい声を出していながら、ここで紹介できないのが残念です。
フィナーレの合同演奏はいつものように松山雅晴先生の指揮で「世界に一つだけの花」「アイーダの凱旋行進曲」。アンコールが「すみれの花咲く頃」「ラデツキ―行進曲」でした。この中で、「世界に一つだけの花」は、定期演奏会でもとりあげてほしい歌です。「すみれの花咲く頃」も前歌をしっとりと本歌をジャズ風にというアレンジが絶妙で、これを少年合唱だけで歌わせたらどうなるだろうというような興味も湧いてきました。
昨春、音楽的に聴かせる歌が歌えるまで2年かかると思っていましたが、予想以上に低学年の団員が成長していたのは、嬉しい誤算でした。中安先生・辻先生の指導力に改めて感心しました。この勢いを3月の定期演奏会につないでほしいと願っています。
第19回定期演奏会に寄せて |
ボーイズ・エコー・宝塚のみなさん、第19回定期演奏会おめでとうございます。
歌においては声を磨くことも大切ですが、歌の心をつかんで的確に表現することがもっと大事です。ボーイズ・エコー・宝塚ではこの2年、低学年の団員が多くなりました。そうなるとどうしても、歌を深いレベルで理解して表現することが難しくなります。先生方も、しつけの面を含めこれまで以上に指導がたいへんだったと思いますが、文化の日の市民合唱祭と、ニューイヤーコンサートを聴き比べるとわずか2ヶ月の間に「子どもの歌」から「少年の歌」が歌える少年合唱団へと急成長しました。そのような意味で、本日の定期演奏会は大いに期待できそうです。
昨年は、OBや現役によるボーイズ・エコー・宝塚応援のホームページも立ち上がりました。また、わずかに残っている日本各地の少年合唱団が厳しい状況のもとで連携していこうという動きが、団員やOBレベルでも全国ネットで生まれてきました。私がボーイズ・エコー・宝塚を応援する最大の理由は、いわゆる月謝もとらずに、ひたすら少年の美しい声と心を育てようとする中安先生・辻先生とそれに応えようとする少年たちの心を世に伝えるためです。これからも、これらのホームページと力を合わせて、ボーイズ・エコー・宝塚の名を永久のものにするために微力を尽くすつもりであります。
今年のプログラムを見ると、いろんな年齢層の音楽ファンに応えられるよう幅広いジャンルの曲に挑んでいると同時に、来年の第20回記念定期演奏会にもつながる曲が選ばれていることがわかります。本日は、ボーイズ・エコー・宝塚の歌声によって、元気と心の安らぎが与えられ、至福のひとときを過ごせるものと確信しています。
ボーイズ・エコー・宝塚 第19回定期演奏会 |
予習はいらない
ボーイズ・エコー・宝塚のコンサートの選曲は、いつも予習のいらない曲ばかりです。だから、初めて聴く曲でもすぐにその世界に入り込めます。それは、1,2年生の団員が多いという消極的な理由からだけではなく、人の心に響く歌を歌おうという理念から選曲されているからです。やたらと難しい曲に挑んでも感動の乏しいステージより、感動が直に伝わるステージの方が魅力的です。そういう意味で、ボーイズ・エコー・宝塚の第19回定期演奏会は、1曲ずつを聴けば傷のある曲や、アレンジをこうしたらもっとよくなるのにという曲はあるのですが、会場を後にするときには爽やかな感動に包まれているのです。
だんだんよくなる
寺本君の指揮、有留君のピアノ伴奏による団歌に続き、「ぼくたちの好きな歌」と題して歌われた5曲は、まだのどが温まっていないという感じで、「大きな古時計」は、ハーモニーのバランスがイマイチというスタートでした。第1ステージの中では「ひょっこりひょうたん島」が、歌声と歌のイメージが合致して、また赤松君と藤井君のダンスもあいまって楽しい仕上がりになっていました。一方、「すみれの花咲く頃」は、前歌の部分を繊細なソロにすることによってもっと引き立つのではないかとか、「少年時代」は、映画を見てその陰影のある歌詞を理解して歌えばよいのにとか思いました。つまり、等身大の歌の方が背伸びした歌よりもよかったと言えます。それでも、この2つの歌を1年後、2年後また聴きたいという思いがあります。少年達が成長すれば、背伸びした歌でなくなってくるからです。
「ボーイ・ソプラノの図鑑」
「大空に向かって」と題された第2ステージは、尻上がりに好調になってきました。「うちゅうのうた」あたりから、この合唱団のもつよさが発揮されてきました。5年生の3人 有留君、寺本君、稲垣君がそれぞれ、繊細・温和・元気を象徴するような歌を歌ってくれました。それは、まるで「ボーイ・ソプラノの図鑑」を見るようでした。「星物語」が今年も歌われましたが、今年も創唱者の岩田浩一さんからのメッセージが届けられています。しかし、今年はオリジナル曲の雰囲気ではなく、完全な少年合唱曲でした。「ビッグマンモス」の復活をめざすなら、ソロと合唱を組み合わせた方がよいと思います。
毎年6年生は、卒団演奏をしますが、今年は竹内玲君ひとりだけ。転入により5年生から入団した竹内玲君は、抒情詩人を思わせる歌声でめきめきと頭角をあらわしましたが、6年生は変声期と団長の重責という2つの大きな課題と戦いながらの1年となりました。想い出の曲でもある「見上げてごらん夜の星を」は、ファルセットではなく、あえて新しく獲得しつつある声で歌われました。後輩たちのオブリガードも、この歌に花を添えました。しなやかとはいえ、まだ現時点でその声を評価すべきではないかもしれませんが、その繊細な歌心は不変でした。後輩たちによいものを遺してくれて立派でした。ご卒団おめでとうございます。
「大空賛歌」「太陽のマーチ(ラデツキー行進曲)」は、晴れやかな歌声で、このステージは大きな盛りあがりを見せて閉じました。
名プロデューサー登場
この定期演奏会は、最初の段階では「大空に向かって」が第3ステージ、「おやつタイム」が第2ステージの予定だったそうです。しかし、副団長(次期団長)の稲垣君は、その順序を逆にし、「おやつタイム」で、僕らはおいしいおやつが食べられるけれど、戦争や自然災害のためにおやつはおろか、食事も満足にできない子ども達がいる。その子ども達への平和と愛のメッセージとして第4ステージを届けようと発案したそうです。そうすることで、第3ステージと第4ステージは一つのものになります。4つのステージが交響曲のような有機的なつながりをもつようになります。何と素晴らしいプロデューサーではありませんか。
「おやつタイム」は、6曲からなるおやつにちなんだ「子どもの歌」のオンパレードでしたが、それでも随所に表情に富んだ歌を聴くことができました。
第4ステージの「世界が一つになるまで」「さとうきび畑」「折鶴」「青い空は」「しあわせ運べるように」と続くメッセージソングは、小さな傷があってもそれをはるかに超える感動を聴く人一人一人の心に刻み付けてくれました。「さとうきび畑」は、1〜3年生から5人のソリスト(並木君、藤井君、森本君、菊井君、竹内郁君)によって歌われましたが、この合唱団の明るい未来を約束しているように感じました。
来年度は、第20回記念定期演奏会です。会場前に観客の行列ができるように、また、宝塚に住むすべての小学生男子が入団できるような合唱団に発展することを願っています。