硬式テニスの秘密 本文へジャンプ
ハイブリッドについて
最近はハイブリッドでストリングを張る事が以前よりは定着してきました。しかし、ハイブリッドで張った方が良いと思われる人がまだまだ沢山居るのが現状です。
そういう人の為にも、私の体験で感じた事を説明いたします。
あくまでも私の体験ですので全ての人に当てはまりません。
こちらでの情報に基づいてハイブリッドを張って失敗しても、当方は一切責任を負いません。自己責任で試して下さい。

@ハイブリッドの目的
ハイブリッドは単張りのストリングを張っただけでは性能に過不足を感じる事を改善する目的で行われます。
特に最近はボールスピードが上がり、勝つためにはポリストリングの使用も考えなければならない環境にあります。しかし、縦横両方にポリを張ると打球感が硬くなりすぎて使いにくくなることが多いため、そのような場合にはハイブリッドが特に有効と考えます。

Aハイブリッドの注意
安易にハイブリッドにしない。
ハイブリッドは自分の好みにぴったり当てはまれば単張りでは出せない性能が出ますが、使いにくい失敗の組み合わせのほうがはるかに多いです。ストリングの性能に不満を感じているならば、まず満足出来る単張りが無いか探す方が良いと思います。ハイブリッドに失敗したら使わないハーフストリングが残ってもったいないし、自分の好みのハイブリッドに辿りつくまでたいへんなコストと時間がかかります。

Bハイブリッドの組み合わの注意
性能が近いストリング同士の組み合わせは相性が悪い事が多いです。だから、ポリとナチュラル、ポリとナイロン、の組み合わせが主流で、ナイロンとナチュラルの組み合わせも少しですが存在します。
同じ品番のストリングの太さが違う物の組み合わせも違和感なく使えますが、効果は控え目です。

Cハイブリッドを選ぶ場合の基本的な考え方
性能が気に入っているストリングがあるが、その性能のうち一部気に入らない所があり、その気に入らない部分を改善する為にハイブリッドにするというのが基本的な考え方だと思っています。
その場合、気に入っているストリングを縦糸に使用して、縦糸の性能を補完するストリングを横に張るのが、良いと考えています。
ポリとナイロンのハイブリッドの場合、通常は中厚には縦糸にポリ(ロディックみたい)で、薄ラケの場合には横糸にポリ(フェデラーみたい)を張る方が良い気がします。

Dハイブリッドに向くラケット
基本的には、余程古いラケットでない限り、どんなラケットでもハイブリッドで張れます。
ハイブリッドが有効かどうかはプレーヤーとの相性が問題となるので、ラケットは基本的には問いません。
しかし、私の過去からの経験では、ハイブリッドにすると効果が特に高いと感じるラケットはあります。それはオーバーサイズのラケットです。
オーバーサイズのラケットはパワーはありますが、ストリングやテンションによっては飛びすぎたり、コントロール性が落ちたりすることがあります。しかし、ハイブリッドで良い所を残して悪いところを改善することにより、かなり使用しやすいラケットができる可能性を秘めていると感じています。

Eハイブリッドに使うストリング
1、ナチュラルストリング
単張りでも、ハイブリッドでも大変使いやすいストリング。
ポリストリングと組み合わせると相性が良い場合が多いと感じています。

VS TEAM(BABOLAT)→太さ130
VS TOUCH(BABOLAT)→太さ125
比較的一般のお店でも手に入りやすいナチュラルストリング。
打球感は若干硬めといわれていますが、使っていて不満は感じないので個人的には十分と感じています。
色々なナチュラルストリングを試したいのですが、金額が高くて手が出ないので、ナチュラルはこの品番しかわかりません。
ジョコビッチがハイブリッドに使用しているのが太さ125のナチュラルです。


2、ポリストリング
ナイロンのような伸縮性能はあまり感じませんが、フルスイングできたときの球威は高くドライブもかかりやすいのでハードヒッターに好まれます。
しかし、打球感が硬く飛びも不足しているので、ハードヒットできる時以外は使いにくさを感じるため、ナイロンかナチュラルを組み合わせて使用すると良い結果が得られる可能性も高いと思っています。
ハイブリッドに使用するポリはガチガチの硬いものよりは、ナイロンに近い特性を持ったポリの方が向いていると感じています。

POLYBREAK(GOSEN)
太さは16と17ゲージがあります。
現時点ではポリの攻撃力をある程度残しつつ、ナイロンの使いやすさも感じるポリストリングです。
縦糸、横糸どちらに使っても使いやすい組み合わせが存在しそうです。
ナイロンのストリングとの相性も合いやすいので、一般の人には一押しでおすすめしたいポリストリングです。
18ゲージもあったのですが廃盤になったのが残念です。
個人的には18ゲージが一番好きでした。


Poly Plasma または Plasma pure(SIGNUM PRO)
ポリプラズマ プラズマピュア(シグナムプロ)
太さは1.18mm 1.23mm 1.28mm 1.33mm といろいろあります。
ポリブレイクより打球感が少し硬めで、若干反発も高めになります。コントロール性の高さと手に対する負担の少なさはPOLYBREAKの方が上と感じています。
弾く感じが好きな人はこのストリングをハイブリッドに使用してみるとよいと思います。
社会人は細いほうをおすすめします。118は角切れしやすいので横糸への使用が向いている気がします。


PRO HURRICANE TOUR(BABOLAT)
太さは、120、125、130、135の4種類があります。
しっかりスイングする人にはこのくらいのポリの方が良いかもしれません。
上の二つのポリと比較するとしっかり感があり飛びも抑え目です。
フィーリングはつかみやすいと思います。

RENCON(TOALSON)
太さは、120、125、130の3種類があります。
特徴は少ないがバランスが良い感じ。
ポリのわりに反発がよく、球のスピードが出るが、ホールド感は少なく球をコントロールする安心感は少ない。
とりあえず、困ったら使ってみてもよいかも。


3、ナイロンストリング
バランスのとれた良い性能のストリングより、若干クセのあるストリングの方がハイブリッドに向くものが多い気がします。

mugen(TOALSON)
太さは、125、130の2種類があります。
単張りで張ると柔らかいが芯に硬さがあり、その硬さが嫌いな人には合わないストリング。ハイブリッドで横糸にナチュラルを張ると縦糸の硬さが緩和されて打ちやすく感じます。また、ナチュラルの性能の良さも感じられて良いかも。

X-ONE BIPHASE(Tecnifibre)
太さは、1.18 mm/18 、 1.24 mm/17 、 1.30 mm/16の3種類があります。
mugenと同じような感じで使用できる。しかし、値段が高いのでむやみに試してみられないのが残念です。良いストリングだと思うのですが。

REACTION(WILSON)
太さは、16、17の2種類があります。
硬さがそこそこでナイロンらしい飛びがある。単張りだと飛びすぎる感じがするが、ハイブリッドにすると良い味が出ます。
個人的にもハイブリッドに使用するのに好きなストリングです。

Addiction(BABOLAT)
太さは、125、130の2種類があります。
ハイブリッドの横糸に張ると、縦糸の悪いところを吸収してくれるような性能があると感じています。まるで、コーヒーに入れるクリープみたい。(ちょっと例えが古い)
ストリング単体のバランスが良いうえに、一緒に組み合わせるストリングの良くないところを消してくれる名脇役です。
夏の気温が高い季節は柔らかすぎて使いにくいが、秋〜冬〜春は使いやすいです。

TOALSON TNT2(TOALSON)
太さは、120、125、130の3種類があります。
Addictionと似た性能がありますが、こちらの方が若干モノストリングらしいしっかり感があります。Addictionはマルチなので若干マイルドに感じると思います。

AK PRO(GOSEN)
太さは、16、17の2種類があります。
打球感が硬めで、スイングして打ち切った時の反発感が良いので、ハイブリッドには良い素材ですが、ハイブリッドにすると何故かテンション維持があまりよくない感じがするのが不満です。組み合わせるストリングによってはテンション維持もよい組み合わせもありそうなので、もっと試してみたいストリングです。

XCEL POWER(BABOLAT)
太さは、125、130の2種類があります。
ナイロンストリングの中で一番ナチュラルストリングに打った感覚が近い気がするストリングです。ただし、その性能は長続きせずナチュラルの感覚で打てる期間は張り上げ後、数日しか続かない気がします。
ハイブリッドとして使用する性能も高いと思いますが、残念ながら良い感覚で打てる期間が短すぎます。

NXT 17(WILSON)
打球感は柔らかめだが、反発は結構高い。玉の食いつき感は柔らかいわりにはある方だと思う。
ナチュラルストリングをハイブリッドで使いたいが高価で手が出ない場合に代用で使うとよいかも。耐久性は低いから横糸に使用してもハードヒッターなら切れやすいがナチュラルよりは経済的かも。

Fハイブリッドの実例

縦糸:mugen125(TOALSON)
横糸:VS TEAM125(BABOLAT)
ムゲンの芯の硬さが和らいで打ちやすさが残っている感じ。横糸のナチュラルが良い打球感と反発を加えてスピンも必要なだけかかる感じがする。自然な感じで打ちやすい。
過去に中厚以上の厚めのラケットにしか張ったことがないので薄いラケットに合うかどうかは不明です。
縦糸を130にした場合には横糸も130が良いそうです。
ネットショップの「コートサイド」にて推奨していた組み合わせです。最近は廃業してしまったのか、ホームページがつながりません。


縦糸:Tornado 117(SIGNUM PRO)
横糸:Tornado 123(SIGNUM PRO)
このポリの性能が好きですが、私はストリングにも飛びを求めるので縦糸に細いゲージのストリングを選びました。
ゆっくり打つとナイロンのように柔らかく、ハードヒットするとポリの食いつき感が出てくる。ポリなので、やはり飛びは抑え目。しっかりと踏み込んで打ち切らないといい玉はいかない。
53〜55P程度が良いと思う。50では柔らかさが目立ちすぎて、こすり上げると玉が高く出る気がする。中厚のラケットに良い組み合わせかも。女性でも力のある学生なら使えそう。

縦糸:AK PRO17(GOSEN)
横糸:POLYBREAK18(GOSEN)
回転の利いたスピードボールが打てる。反発が高く、横糸のポリの影響で、回転もかかる。ヘビースピンは玉離れが早いので無理かも。手に振動が来やすいので、ホールド感のあるラケットにおすすめ。テンションは高いほうが爽快感が高いが手の負担も増えるので高くても55Pまで。これでも手はかなりしんどい。できれば53位がよい。
ちなみにPOLYBREAK18は廃盤になってしまったので17ゲージを使うしかありません。


縦糸:Plasma pure118(SIGNUM PRO)
横糸: TONIC+ ボールフィール(BABOLAT)
打球感は柔らかい。ホールドもしながら、反発力もまあまあ有る。食い付き感が少し不足気味だが、回転はまあまあな感じ。追い込まれて当てただけの時に、意外に良い玉が帰る。フォアの玉が高く出るので少し低目にコントロールする必要がある。守備力が高いが、攻撃的にも使えるバランスの良さがある。サービスはコントロールショットが打ちやすい。スピンはそんなにかからないが、ナチュラルスピンなら安定感がある。


縦糸:X-ONE BIPHASE118(Tecnifibre)
横糸:Addiction 125(BABOLAT)
合わせるだけでも強い玉が帰るし、Addictionの柔軟性が玉のつかみ感も演出し、強打したくなる設定。とても良い感じ。
女性が中厚ラケットで玉のスピードを上げたいときに使用すると良いかも。


縦糸:
横糸: