硬式テニスの秘密 本文へジャンプ
ストリングの紹介をするページです。自分で打った評価ですので、誰にでも当てはまるものではありません。
情報をご活用される場合には自己責任でお願いします。
ストリングのページ

私のまわりでもストリング選びに対する誤解がいっぱいあります。
個別のストリングの解説前に、必ず説明が必要なことです。下記にそれを記載しますので、個別のストリングの評価を読む前に必ず一読してください。

№1、ストリングはいろいろな種類があるが、自分のラケットにどれを張っても使える。という誤解!?
・フェイス面積が大きすぎて、パッケージのストリングの長さが足らなくて張れないという特殊事情を除けば、硬式テニスラケットにどんなストリングでも張ることは可能です。そして一応ボールを打つことも可能です。
しかし、合わないストリングでは、テニスの全てのショット(サービス、レシーブ、フラット、スライス、スピン、フォア、バック、ストローク、ボレー)で守備的ショットでは相手から次の攻撃を受けにくくする玉を送り、攻撃的ショットでは相手に脅威を与えられる玉を、力みがなく体がリラックスした状態で打てるとは限りません。その各ショットも自分の意図した通りの玉であることが重要です。(球威、スピード、回転、落下位置、跳ね方等が自分の意図した通りに実現できるという意味です。)
そんな事を実現できるストリングは、何百種類ある中でも数少ないです。なぜかと言うと、ストリングにはラケット、及び、使用する人との相性があります。
相性の良くないストリングに変えた時に起こる事として・・・
○サービスとフォアは良いけどバックがだめ。(ショットの種類によって得手不得手がはっきりでてしまう。)
○打球感は好きだけど、一生懸命ラケットを振らないと攻撃的な玉が打てない。
○腕が痛い。
○ストロークで意図した軌道より玉が高く出すぎる。(または低く出過ぎる。)
○打った球がどこへ飛んでいくか、打った球の飛んだ方向を見てみないとわからない事が多い。
○プレイスタイルが単純になり、いつも同じような玉しか打てない。
○普通に打っているのに、時々とんでもない玉が出てしまう。
この症状はテンションが合わない場合、ラケットの相性が良くない場合とプレーヤーの技術に問題がある場合にも発生します。
従って、ストリング選びは他人任せにせず、自らが主体的に取り組まないと良いストリングには決して出会えません。
私も過去に100種類近いストリングを打ったことはありますが、気に入ったラッケットのストリングとテンションを見つけるまで、週2回位張り替えながら1ヶ月位かかります。
№2、ストリングなんて、ショップで勧められたモノでいいや。の誤解!?
・ショップで販売員に聞いたストリングを何も考えずに使うのは危険です。
理由は・・・
○販売員の中にはテニスをほとんどしたことがない人や、テニスをやっていても多数の種類のストリングを使用したことがない人もいます。
○テニスをやっていて、ストリングを多数の種類を使用したことがある人でも、ストリングを客観的に評価したことがない人に聞くのは危険です。学生のハードヒッターにとって柔らかいストリングが主婦にとっても柔らかく感じるとは思えません。250g程のラケットを使用している主婦の人が若い男性販売員に「打球感が柔らかいストリングはどれですか?」と聞いて、学生、一般トーナメントプレイヤー向けの柔らかいストリングをすすめられてテニス肘になってしまった人を私は知っています。
○ショップの販売員はプレーヤーのプレイ内容を知りません。プレイ内容を知らない販売員がプレーヤーに合うストリングを選べるはずがありません。

ショップでのストリングについての正しい聞き方は、「○○というストリングを使ったけど、玉の飛びは良いけれど、もう少し食いつく感じのストリングは無いですか?」等、今使っているストリングの合う点、、合わない点を言って、その合わない点を改善するためのストリングを聞いてみるといいと思います。また、「このストリングと、そのストリングはどのように違うのですか?」と聞いても良いかもしれません。

№3、友達と一緒のストリングにしよう(または、好きなプロ選手と同じストリングにしよう。)の誤解!?
・一般的にスイングスピードが上がる程、硬いストリングが使いやすく感じます。初級者は速いスインスピードでラケットを振る事はないと思われますので柔らかめで反発があるストリングを使いやすく感じます。
従って、プレイスタイルや技術レベルや体力レベル等が違う他人の使っているストリングが合う可能性はかなり低いと思われます。
増してや、世界のトッププロが使うストリングが合う可能性はかなり低いと思われます。プロが使うラケットは外観は一緒でも市販されるラケットとは中身が全く違う場合も多いので尚更です。

№4、男子高校生はみんなストリングはポリを選ぶ。という誤解!?
・最近の男子高校生は、ストリングをポリにしなくてはいけないと思い込み過ぎている気がします。確かにナイロンよりは切れにくいのですが、緩んで玉の球威が落ちるのはナイロンよりも早いです。テンション維持が悪いポリストリングは1週間もたつと全く別物に変わっています。張りたての時には相手が打ちにくそうに返球していたのが、1~2週間もたつと同じように打っても、相手が楽に返球してきます。
プロが使っているから使いたいという高校生もいますが、プロは1試合の中で何本もラケットを代えて使っています。緩んだポリスとリングを我慢して長い期間使用することはありません。
高校生が「ストリングがすぐに切れてしまう。」と話しているので、どれくらいで切れるか聞いたところ、2ヶ月で切れる、3ヶ月で切れるという答えが多いのに驚きます。
1週間に5日もテニスをして、2ヶ月~3ヶ月もつなら、ポリに変える必要はないと私は考えています。学生なら2~3週間で切れるようになるまではナイロンの方が良いと思っています。何故なら、ポリストリングは反発が少ないものがほとんどなので、玉が飛ばないために無理なフォームで打っていることにより、テニスのしっかりした基礎技術の習得の障害になったり、テニス肘になったりすることもあります。
もしも、ストリングが1週間で切れてしまうようになっても、私は縦糸も横糸も両方ポリを張ることはすすめません。縦横のうち、よく切れる方のストリングをポリにして、切れない方をナイロンにすることをおすすめします。
縦糸と横糸のストリングの種類を変えることをハイブリッドと言います。大昔からテニスをしている人に聞くと、「昔もハイブリッドは流行ったが無くなったから今回もそのうちなくなるよ。」という人がいますが、私は多分、当分続くと思っています。何故なら、今はポリストリングがあるからです。ポリを縦横に張るよりも片方をナイロンにしたほうが大変打ちやすくなります。プロテニスプレーヤーの中にも、ポリとナチュラルのハイブリッドをしている人が大勢います。確かに、ポリとナチュラルの組み合わせは良いのですが、ナチュラルの価格が高すぎて学生には手が出ないので、ナイロンとの組み合わせを推奨しています。ナチュラルでなく、ナイロンでも十分使いやすい組み合わせはありますよ。

№5、ラケットを変えたけど、ストリングとテンションは以前のラケットと一緒でいいや。という誤解!?
・新しいラケットが以前使っていたラケットとスペックが全く同じなら、ストリングとテンションも同じでよいのですが、スペックが大きく違うラケットに変えた場合には合わない可能性が高いと思います。
ロディックの過去のラケットデータ⇒ラケット:Babolat Pure Drive Roddick、ストリングとテンション:Babolat Pro Hurricane Tour/Babolat VS Team 73/61lbs
フェデラーの過去のラケットデータ⇒ラケット:Wilson Six.One Tour 90、ストリングとテンション:Wilson Natural Gut/Luxilon Big Banger Alu Power Rough 55/52lbs
ですが、ロディックがフェデラーの使っているラケットに替えた場合に、ストリングは以前のラケットのものをそのまま張ったらどうなるでしょうか?ある程度テニスをやって、ラケットとストリングとテンションについていろいろ試した事がある人ならわかると思いますが、使い物にならないでしょう。
ヨネックスのラケットに同じ品番のラケットで重さの違う規格を発売しているのをご存知でしょうか?(ULとSLという2種類の規格です。)それぞれのメーカーが示している推奨張力はUL:50〜60、SL:55〜65(lbs)です。重いほうが推奨張力が高くなっているのは、そのラケットの本来の性能を発揮させるには、重いラケットのほうが5(lbs)高いテンションで張ったほうが良いことを示していると思います。
また、ラケットは釣竿のようにしなって玉を飛ばすものと、トランポリンのように玉を飛ばすものもあります。それぞれに相性のよいストリングが存在すると私は思っています。
他にラケットのスペックには、フェイス面積、スイングウエイト、フレームフレックス、フレーム厚、ストリングパターン、等いろいろあり、それぞれが大きく違うと相性の良いストリングも違ってくると思っています。
また、使用していたラケットを替える場合で、そのラケットのスペックが大きく変わる場合には、プレーイヤーがプレイスタイルを変えるという意味があると思います。プレイスタイルが変われば、同じストリングを同じテンションで張ることが合わなくなる可能性があることをご理解いただけると思います。
なお、ストリングはラケットの性能を若干は調整できますが、全く違うラケットには変えられません。ストリングとテンションの設定でSix.One Tour 90でPure Drive Roddickのラケットと同じ性能を発揮させることは絶対に出来ません。

№6、一年中、同じストリングで同じテンションでいいや。という誤解!?
・日本は四季がはっきりしており、それが日本の文化を豊かにしている一因となっていると思いますが、硬式テニスラケットにとっては温度差が大きい環境は悪いようにしか働かないような気がします。
一年を通してテニスをしている人は、寒くなると打球感が硬くなることを感じた人が多いと思います。また、真夏になると、玉が飛びにくくなることを経験した人もいると思います。
冬に打球感が硬くなるのはフレームが中厚以上の比較的反発が高いラケットに多くあります。夏にしなりすぎて玉が飛ばなくなるラケットにはフレーム厚が薄いラケットに多くあります。いずれの場合もテンションを変えただけでは改善されないと思っています。違うストリングに変更しても自分のプレイの質が維持できない場合には、私はラケットを気温に応じて替えることもあります。中厚以上のラケットで柔らかいストリングをいろいろ試して、テンションも変えましたが、寒い季節に打球感の硬さが改善できない場合にはラケットを替えました。フレーム厚の薄いラケットで夏の高温に腰が抜けたように柔らかくなってしまうものがありました。硬めのストリングをいろいろ試しましたが、自然な打ち味が出ないので、ラケットを夏用に替えました。
ラケットを変更できなくても、ストリングは変更できると思います。冬は柔らかめのストリング、夏は硬めのストリングを選んでみてはいかがでしょうか?

№7、スピンのかかりやすいストリングや、コントロール性が上がるストリングを選ぶことができる。という誤解!?
・テニスプレーヤーとラケットとストリングとテンションには相性があります。その全てがぴったり合った時にプレイ全体に道具が良い影響を最大限に与えることができる状況が出来上がると考えています。
言い換えれば、テニスプレイヤーが自分の意図を玉に正確に反映しやすくなるということです。
しかし、テニスプレーヤーが意図を間違えている場合にはテニスの試合に勝つためのラケットとストリングとテンションの設定にならない場合があると考えております。一般のプレーヤーの中に強いサービスとチャンスボールを叩くフォアハンドストロークは良いのですが、他のプレイは守備的ショットにも攻撃的ショットにも安定感や精彩にかける人がいます。この場合は道具を選ぶポイントをサービスとチャンスボールを叩くフォアに的を絞りすぎている結果であると思います。
この状況は、全てのプレイの質が上がると言う意味ではなく、ある特定の技術に対して良い影響を与える機能をラケットとストリングとテンションに求めた結果であると言えるでしょう。これはいわゆる、「一発の良い球を打って気持ちいい」ということに焦点を絞りすぎたために、勝負に負けてしまうための欠点を自らが作ってしまっている状況であると考えております。
この偏った状態が全て悪であるという意味ではありません。ナダルのように攻撃的なスピンボールで相手に攻撃をさせないようにしつつも、相手から攻撃しやすい甘いボールを引き出して強打で決める、と言う様なプレイスタイルを選ぶという意味で使われる場合があります。それではナダルとスペックも全く同じラケットで同じストリング、同じテンションで張ったラケットで練習を積めばナダルと同じプレイが可能でしょうか?不可能とはいえませんが、可能性はかなり低いと思います。ナダルと同じ「心技体」を実現できるかどうかが大きな鍵になります。ナダルのようにプロが打つエース級の玉に追いつく足と読みの正確さ、利き腕がまるで一般の人の足の筋肉並に鍛えられ、なおかつサウスポーという武器もあります。他にも外から見ただけではわからない長所が重なって出来たのがナダルだと思います。
ナダルはフェデラーを尊敬し、ナダルよりもフェデラーの方が「うまくやっている。」と評価しているのです。その意味は、プレイスタイルがオールラウンドなものから外れれば外れるほどプレイに欠点や、体に障害を起こしやすくなるということだと思っています。ナダルも膝に爆弾をかかえたため、極端なプレイスタイルからオールラウンド寄りのプレイスタイルに変わってきました。全体的なプレイの質は上がったのですが、以前見せていた強烈なスピンと、相手のエース級の玉を走りこんでエースで返す派手なテニスは以前ほど目立たなくなりました。それに比べるとフェデラーはオールラウンドなテニスをしており、故障の少ない選手です。
2011年末現在、ナダルはジョコビッチに勝てず、世界2位になりました。以前のプレイスタイルを貫けば、ジョコビッチに勝っていた可能性は高いと思います。しかし、そのままのプレイスタイルを維持していたら、故障でテニスの世界から姿を消していた可能性はもっと高いと思います。

上記のように、テニスプレーヤーとラケットとストリングとテンションは微妙なバランスの上に成り立っているものだと考えています。従って、ストリングを違う品番に替えてスピンをかかりやすくしたり、コントロールをしやすくしたりするという考え方は非常に危険であることに気がつきませんか?テニスの基本はプレーヤーの「心技体」です。スピンがかかるか、かからないかは一番には技術的な問題である場合がほとんどです。もともとスピンがかかる要素が少ないMICROⅡ15Lというストリングでも強烈にドライブをかけてくるプレーヤーを私は知っています。
それでもピンをかかりやすくしたり、コントロールをしやすくしたりするストリングを選択して張ってしまうことも可能でしょう。スピンがかかりやすいストリングはストリングが細いかストリング表面をでこぼこにしてホールド感を上げたものが多いと思います。このようなストリングを選んだ場合には回転数は上がったが球威が落ちて攻撃的なボールが打てなくなったり自分の意図した玉と違う玉が他のショットで出るようになったりする危険性が増すと考えています。コントロール性が高いストリングを選ぶ場合には、コートに玉が収まるという意味合いで反発が悪いストリングを選ぶ場合があります。反発が悪いストリングを選べば全てのショットの球威が落ちて相手にチャンスボールを配給する数が増え、これではいけないと、力んで無理をしてラケットを振って、自分のテニス技術を悪いほうに導いてしまう危険性が高いと考えています。

もうひとつ、重要な注意があります。
ある特定の技術に重点を置いて他人と違う癖の強く出るプレイを選ぶ場合には、自分がボールを打つ場合、意図して球種を選んで打つ機会が増えると私は考えています。また、その場合にはプレイに無理が生じて体に負担のかかる部分が集中しやすいと考えています。
オールラウンドなプレイは相手の打った球に逆らわず、相手のプレイの中でも自分のテニスを組み立てる事ができるということだと思います。この場合には、意図して球種を選ぶというよりは、瞬間的な感性で玉を作っている感じになると思っています。
相手の打った球を目で見て相手のいる位置やそのときの状況から意思でどこに玉を打つか決めてから打ってはいないということです。言い換えれば、目から入ってきた情報が脳を通らずに直接、体全体に次にどのように動くか伝わっているということです。この状態は初めて試合をする人が個性の強いプレーをする人の場合に初めからこの状態を作ることは困難です。最初は、相手が打った球と自分の動きをリンクさせる必要があるからです。フェデラーが全盛期の時に強い相手との対戦で第一セットは苦戦しても、ある程度相手のプレイに自分の動きをリンクできたときから、さっきまで苦戦していたのが嘘のように体から力みが全く見られず、まるで流れる様にプレイしながら全く相手に付け入る隙を見せないプレイに変わっていくのをよく見ました。これがまさにオールラウンドプレイヤーの真髄でしょう。もちろん全てのテニス技術に長けていて隙が無いのが前提条件ですが。

高校生や中学生がそんなに切れないのにポリを選択するという判断を危険だと考えるのは、オールランドな技術の習得が困難になる可能性が高くなるからと考えているからです。ストリングで自分の技術の未熟を補おうとする場合には、自分の技術の向上を阻害したり、せっかく習得した基礎技術を台無しにしたりする可能性が潜んでいると考えていいと思います。

癖のあるプレイは、慣れていない相手には即効性があり、早く上に上がりたい人には有効かもしれません。しかし、それには、必ず悪い面が付いてまわることを覚悟しなければなりません。個性の強い癖のあるストリングを選ぶということはそんな覚悟が必要な大変な判断であると考えたほうがいいと思っています。

№8、ストリングを理解するのに、ストリングの構造の勉強だけで理解しようとすると誤解する。
・ストリングの説明をするホームページによく載っているのが、ナイロン、ナチュラル、ポリ等の素材と、マルチ、モノ等の構造の説明です。
大きくストリングの分類を説明するには便利ですが、実際に使ってみると、その定義に当てはまらないストリングもいっぱいあります。つまり、目安にはなりますが絶対ではないと言う事です。(マルチなのにモノみたいな打球感のストリングや、モノなのにマルチのような打球感のストリングもあります)
つまり、実際には自分のラケットにストリングを張って使ってみなければわからないということです。しかし、闇雲に張っても合うストリングにはなかなか出会えないでしょうから、ある程度メーカーのカタログ等に載っているテニスストリングのマップや各ストリングの性能評価を読んでみましょう。メーカーも販売する目的があるのでそのストリングの短所を明確に記載することはありませんが、高い長所の裏には短所もあることを説明の行間から読み取る必要もあります。(初心者には困難ですね。)
ネットでストリングの試し打ちをした評価記事を記載しているホームページもあります。あとは、テニス仲間がどんなストリングを使っているか聞いてみて、興味があったらラケットを借りて打たしてもらっても良いと思います。ただし、張ってから2週間以上たっていると本来の性能があまり残っていないかもしれません。また、ラケットが違うと打った感じも変わってしまいますし、テンションが自分の好みと違うとラケットを借りてもあまり意味が無いかもしれませんが。
あと、有効なのはテニスプレーヤーから評価の高いショップの、評価の高い販売員に聞いてみるのも良いです。

私の経験上、ストリングの性能を語るには、以下の4つが、重要と考えます。
(1)反発性能
(2)ホールド感
(3)喰いつき感
直接的な性能ではないのですが、以下の4つもあります。
(4)振動吸収性
(5)耐久性
(6)価格
(7)見た目

ストリングメーカーさんは自社ストリングの開発、製造をするために、各ストリングの物性試験データを持っていると思いますが、残念ながら公表されていません。各メーカーさんが協力して同じ基準で全てのストリングを試験して結果を公表してもらえれば、ストリング選びはもっと楽になる気がします。

№9、打ちやすいストリングが自分に合ったストリング。という誤解!?
・ストリングの評価は機械で測れない人間による官能評価になります。それも、ストリング単体の試験ではなく、ラケットという多様な性能を持った品番が多数存在する物を介してしまうため、評価を困難にしています。なおかつ、テンションを変えることによっての評価の相違も発生します。
テニスプレーヤー、ラケット、ストリング、テンションのうち、評価にばらつきを発生させてしまう要因が一番多いのが「テニスプレーヤー」と考えています。
ストリングの評価で陥りやすいのは、自分の一番得意とするショット(長所)で打ちやすいストリングを打ちやすいストリングと評価してしまうことです。長所を伸ばすストリングは短所では使いにくく、プレイの欠点をより悪くする効果があることが多いと思っています。
ストリングの試打をするときには、自分の苦手とするテニス技術を助けてくれる機能がある物を選んだ方が勝率が上がる気がします。
また、自分の苦手な部分を助けてくれるストリングを選んだ方がプレイの質を全体的に底上げされてくるような感覚があると感じるのは私だけでしょうか?

№10、ラケットの適正テンション以内でストリングを張らないといけない。という誤解!?
・ラケットにはラケットメーカーが設定した適性テンションがあります。この適正テンションはラケットのフレームに印字してあることが多いです。
この適正テンションは上限を超えた高いテンションでストリングを張ってラケットが破損した時はメーカー保障は一切受けられません。また、当然ですが、張ったお店に対してのクレームも受け付けてもらえません。適正テンションを超えたハイテンションでストリングを張るときは全て、ラケットの所有者の自己責任で行いましょう。
適正テンションの下限を下回る場合には、上記の様な問題はないので、低めのテンションの設定は可能です。ラケットメーカーによっては適正テンションが異常に高く感じる数値を指定しているラケットもあります。適正テンションの下限が55ポンドと言うのは高すぎると思います。

№11、テンションは高い方が上手に打てる人向き。(または、高い方が上手く打てる。)という誤解!?
・私もテニスを始めた当初は、高いテンションにあこがれていました。初めて60ポンドでストリングを張ったときには、自分も随分うまくなったんだ、という誤解をして喜んでいました。
テニスが上級になると、ハイテンションになるというのは全部間違いであるとは言えないのですが、自分がうまくなったからハイテンションで張るというのは間違いで、うまく打ちたいからハイテンションで張るのも間違いだと思っています。
テンションも相性があります、自分に合ったテンションを探すという考え方に基づいてストリングのテンションを設定した方が良い結果が早く見つかると思います。

№12、テンションの設定でスピンがかけ易くなったりコントロールしやすくなったりする。という誤解
・「№7、スピンのかかりやすいストリングや、コントロール性が上がるストリングを選ぶことができる。という誤解!?」の時と同じ様なことになります。
テンションは高すぎるとストロークで玉がネットしやすくなり、低すぎると玉がいつもより高く出るようになるのが特徴ではないかと考えています。
しかし、玉がストロークでネットに当たることが多いからテンションが高いとは限りません。もしかして、ストリングが硬すぎるものを選んでいたり、ラケットが自分の実力よりも飛びを抑えすぎたものになっていたり、技術的な面で問題がある可能性もあります。
自分に合ったストリングを自分に合ったラケットに自分に合ったテンションで張った場合には自分の意図を玉に伝えやすく、安心感のあるラケットになるような気がしています。

№13、テンションの設定は、ラケットにストリングを張りあげたときに、ラケットが原型に戻ることが最も重要である。という誤解!?
・私も以前はラケットが原型に戻ることが絶対必要だと思っていました。しかし、いろいろなラケットにいろいろなストリングをいろいろなテンションで張ってみて思ったのが、原型に戻すことよりも、自分がラケットを使用してみて自分にフィット感が高いかどうかが一番重要と思うようになりました。ラケットの中にはストリングの組み合わせによっては張りあがった時に原型に戻すと打ちにくく感じたモデルがあったからです。シャラポワもプリンスを使用していた時には横のテンションが高く、横に瘦せたラケットを使用していたそうです。
最も重要なのは、自分が使用しやすいかどうかだと思っています。ただし、変形が激しい張り方をしてラケットが破損してもラケットメーカーやテニスショップの保障対象外です。全て自己責任になることを覚悟してください。

№14、ストリングの寿命は切れるまでである。という誤解!?
・ストリングは切れたら使えませんので、寿命であることには間違いがありません。しかし、切れなければいつまででも寿命はこないというのも私は合意しません。
私は過去に数回しかストリングをプレイ中に切ったことがありません。なぜなら、緩んだストリングの打球感と玉の球威の低下が嫌いなので、緩みを感じたらすぐに張り替えてしまうからです。何日間緩みを感じないで使用できるかはストリングやラケットの種類によりまちまちです。ポリはすぐに緩むので2週間が限度でしょう。ナイロンは様々な種類があるので、なんともいえません。ナチュラルはさすがに1ヶ月以上使用します。金額が高いからという理由もありますが、緩んでも緩んだなりに打っていて味がある気がするからです。同じ状態が長く続くわけではありません。
ストリングが緩んでしまって来る寿命は打っている本人ではわかりにくいので、いつも一緒に練習する仲間に新品のストリングを張り替えた状態で打ち合ってもらってその状態を覚えてもらっておきます。緩んだかなと思ったら同じ人にどんな玉が行っているか聞いてみることです。
いちいち聞かなくても、いつも同じ人と練習していると反発が落ちたストリングで玉を打ち合っていると、強打したつもりの玉が簡単に返されるようになるのでよくわかると思うのですが、そんな経験は皆様はありませんか?

№15、いろんなストリングをラケットに張ってみてボールを打ってみれば、合うか合わないか誰でもわかる。という誤解!?
・同じストリングを違うテンションで張ってみたときには、張りあがりの時の打った感じでどちらが合っているか分かりやすいのですが、ストリングの場合には同じラケットが2本有って違うストリングをそれぞれのラケットに張って試さないと分かりにくいです。なぜなら、1本のラケットでは、新しいストリングに張り替えたときには、前に張ったストリングのことを忘れている場合が多いからです。
違うテンションを試す時にも張替えの期間を長く取りすぎてしまうと正しい評価ができません。忘れてしまうという要因以外に、気温が大きく変わってしまうと打った感じも大きく変わってしまうからです。気温25度と10度では同じストリングを同じテンションで張って試しても打った感じはかなり違ってしまいます。
どうしても1本のラケットで比較する場合には短い期間(1週間~2週間)で張り替えて比較したほうが分かりやすいです。なお、打って比較する場合には、同じ人と、同じコートで同じ品番のボールで打ち合ってください。条件は出来るだけそろえてください。
同じラケットにいろいろストリングを張ってみても、どのストリングでも同じに感じる人は、テニスの技術的な部分になにか問題がある可能性があるかもしれません。テニス技術とラケット、ストリングについて詳しい人にプレイ内容を見てもらって、推奨ストリングを聞いて、基礎技術を習得してからいろいろ打ってみることをお勧めします。
初心者やテニスの基礎技術をこれから習得する人は癖の少ないストリングをお勧めします。人によって感じ方が違うので、どんなラケットで誰が打っても癖のないストリングは存在しないのですがポリは絶対避けましょう。

№16、自分の技術レベルが向上しないことについては、ラケットやストリングやテンションは関係ない。という誤解!?
・テニスプレーヤーに合わない道具は技術向上の障害にもなりますし、レベルアップを助けてくれる場合もあります。
私は34品番、54本のラケットを持っています。自分の技術レベルを大きく超えるラケットを使用していた時には、自分の苦手なプレイでミスが目立ち、苦手なプレイがますます苦手になりました。フォアハンドストロークは絶好調だが、バックハンドは調子がどんどん落ちていくラケットもありました。
今使用しているのが、追い込まれたときの助けもあり、狙ったところに狙った玉を打ちやすく、まるで自分の手の延長のようなラケットとストリングとテンションを見つけて使用しています。極端にミスが減り、攻撃的な玉も打ちやすくなっています。
いつも練習している友人との練習試合でも以前のように負けなくなりました。
道具はとても大切だと思っています。合うラケットに替えた途端にチーム内の試合で連勝を始めてしまう友人もいました。
相性の良いラケットとストリングとテンションの組み合わせは、なかなか見つけにくいのですが、見つけるとまるで魔法にかかったように動きがよくなると思っています。

№17、自分の調子の波は、自分の技術レベルや体調の問題で、ストリングやテンションは関係ない。という誤解!?
・いつも通りプレイしているのに、ミスが多く発生し、いつもなら決まる玉が決まらないという体験はテニスを長くやっていれば誰にでもあるのではないかと思います。
これは、本当にプレイヤーの問題の場合もあるのですが、そんな不調の原因を作っているのはストリングの緩みかもしれません。
ストリングは張りたてが一番球威の高い玉が打てます。球威が高い玉とは玉のスピードが早いだけでなく回転数も伴った攻撃性が高い玉の事を言います。
いつもより球威の低い玉では相手が返球しやすくなかなか決まらないので、それにつれていつもより一生懸命ラケットを振るようになり、それが原因で本来のフォームを崩してしまう事があると思っています。

また、冬になるとラケットの打球感が硬くなり、玉も飛ばないので負けることが多くなるという体験もある人は多いのではないかと思います。
冬は、ラケットもストリングも玉も体も硬くなり玉が飛ばなくなります。寒くなっても同じラケットで同じストリングで同じテンションではいつも通りのプレイは出来ないと思っています。冬になったらテンションを落とすということはよく聞きます。しかし、テンションだけでは対応できないラケットやストリングもあります。
硬めのストリングを使用している場合には、冬だけ柔らかめのストリングに変えた方が方がよい場合もありますし、硬めのラケットではストリングを柔らかくしてテンションを落としても硬さが残って打ちにくいラケットもあります。
快適にテニスを行うにはいろいろと試してみて、自分に合った道具を探すしかありません。

№18、ストリングメーカーやストリングの販売店は、テニスプレーヤーのことを第一に考えている。という誤解!?
・残念ながらプレイヤーが第一とは言いがたいと思います。
例えば、トヨタの車のセールスマンがお客様の家族構成や車の使用目的や使用方法を聞いて、トヨタの車よりもニッサンの車の方が合っていると思っても、ニッサンの車をすすめるでしょうか。多分すすめませんね。
商売でやっている以上、同業者の競争相手を意識せざるを得ません。
ストリングメーカーもカタログの表示に長所は書いても短所は書きにくいし、他のストリングメーカーのストリングを含めた、消費者がストリングを選びやすい仕組みを作る事はありません。増してや、ラケットメーカーと協力して、ラケットとテニスプレイヤーに相性の良いストリングを提案することもありません。
ネットを見ても、ラケットとストリングとテンションの相性について解説したホームページはほとんど見かけません。
確かに、テニスプレイヤーによって試打した感想にバラツキが大きく出る事は分かっています。しかし、概要は解説出来るはずですが、その様な情報はほとんど見かけません。
テニスのプロショップなら、ラケットとストリングとテンションとテニスプレイヤーの相性についての情報を持っていますが、やはり、同業者との競争に勝ち残るためにはそのような情報を外に対して積極的に発信できないのでしょう。


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