私は東北の桜巡りが大好きだ。大好きなピンク色の山桜があちこちで咲くので忙しくって仕方ない。 ところで私はこれまで自然に囲まれた人工物の少ない風景としての桜ばかり写してきたが、視点を変えると今までは興味の湧かなかった由緒ある桜の名木、巨木も東北にはたくさんある。そういう場所は桜の時期には観光客で溢れ、または老いた桜を支える為の「つっかえ棒」だらけであることが多いので、あえて撮影をしたことがなかったのだが、行ってみるとやはり見応えがある。桜の下に立ち、首が痛くなるほど見上げると、空一杯に桜が広がっていて、その枝やら幹が何百年もこの場所で花見客を迎えていたのだと思うと、本当に不思議な敬虔な気持ちになる。 東北は温泉も素晴らしい。食べ物も安くて美味しい。東北弁の響きも心地好い。温泉に浸かりながら地元のおばあさん達の会話を聞いていると、音楽を聴いているようでとろとろと幸せな気分に浸ってしまう。ふるさとでもないのにふるさとのような気持ちになる。東北はそんな場所だ。 |