不思議なお話



(このページは2003年11月に、一時期、記載していたものです)

先日、写真雑誌「風景写真」の2003年度の年間最優秀作品賞という名誉ある賞を頂きました。
「桜守」というタイトルの猫と桜の写真で、和歌山県根来で2002年春に撮影したものです。
(「隔月刊 風景写真」は偶数月20日発売、受賞作は8月20日発売号に掲載、年度賞発表は10月20日発売号に掲載されています。 )
喜んだ母が、中村光太郎氏のお母様に、そのページを見せたそうです。

(このHPを隅々までご覧頂いている方はご存知かと思いますが、私は当HPで中村光太郎氏の「海辺から来た猫」という詩集のページを作っています。中村光太郎氏は2002年の3月にお亡くなりになり、母がそのお悔やみの席で頂いてきた詩集を私が読み、もともと詩にも(猫にも)全く興味がなかったにもかかわらず、感動し、自分の手持ちのポジから猫の写真を探し出し、いつもはグズグズしてる私が、熱病にかかったように一晩で詩のページを作ってしまいました。私は光太郎氏とは面識がなく、翌日ひと寝入りした後に「芸術(この場合は詩)の力というのは、見ず知らずの人(私)を、こうまで動かす力を持っているんだなあ」と改めて驚きました。
詩をHPに掲載してもいいかを光太郎氏のご両親に伺ったところ、「本人もHPを作りたくて友人に頼んでいたけど、時間の都合がつかず実現できなかったようなので、喜ぶと思う」とのお返事を頂きました。その時にも、「きっと光太郎氏が私を動かしたんだな」と不思議なものを感じました)

今回、賞を頂いた写真を見た光太郎氏のお母様はポロポロと涙を流されたそうです。
「ああ、根来だ」・・・と。
根来というのは京都からはかなり離れていて、根来に行った京都人というのは珍しいと思うのですが、彼は根来が大好きで、一度桜の頃にも行きたいと言っていたそうです。残念ながら桜を待たずにお亡くなりになった光太郎氏ですが、実は彼の作った最後の詩が、偶然にも根来を詠ったものだそうです。



雪なか

根来

風なか
雲なか

根来

ぼやけゆく
桜のなか
(はな)


2002/1/19  中村光太郎作


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