Solomon Grundyの詩は、Mother Goose(マザーグース)の中の一篇です。
Mother Goose(Mother Goose Nursery Rhymes)の童謡は伝承童謡で、
はじめは誰が歌ったとなく歌いだされて、つぎつぎに歌い伝えられて、
歌いなおされたりしながら永く残ることになったものです。
多少の玉石混交はあるものの、その機知、風刺、ナンセンス、なぞなぞ、
豊潤な想像など、軽やかなリズムのうちに包んで、英語圏で大切にはぐく
まれてきたものです。残忍なところもあり、陽気でもあり、奔放でとりと
めがなく、不思議な魅力を秘めていて、暮らしの中に、文学の世界に、ま
た映画の中にも、息づいています。
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こちらがパロディのもとの詩です。
SOLOMON GRUNDY
Solomon Grundy,
Born on a Monday,
Christened on Tuesday,
Married on Wednesday,
Took ill on Thursday,
Worse on Friday,
Died on Saturday,
Buried on Sunday,
That was the end
Of Solomon Grundy.
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北原白秋による日本語訳があります。
ソロモン・グランディ
ソロモン・グランディは、
月曜日にうまれて、
火曜日に洗礼うけ、
水曜日に嫁とったが、
木曜日には病気になり、
金曜日にずんと重(おも)って、
土曜日におっ死(ち)ぬちゅうと、
日曜日にはうめられた。
ソロモン・グランディの御一代(ごいちだい)。
そこでおしまい、ちゃァんちゃん。
北原白秋が、参照したとわかっているのは、
1. "Nursery Rhymes" With 48 Coloured Plates by Margaret W.Tarrant.
Fourth Edition. Ward, Lock & Co., London.
2. "Mother Goose Nursery Rhymes" Pictured by Mabel Lucie Attwell,
Edited by Capt. Edric Vredenburg. Raphael Tuck & Sons, London.
3. "Old Mother Goose" Pictured by Mary R. Donovan. The Penn Pub-
lishing Company, Philadelphia. 1917.
同一の童謡でもいろいろ歌いくずされたり、抜かしたり、 肝腎な個所で全然反対の
意に変わっていたりしているようです。
きわめて都会的な軽快さと縦横無碍の機智とにずば抜けている代わり、日本の子守
り唄のようなしみじみとした人情味には欠けていはしないかと思われると白秋は記
しています。
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