実務の友   ネットによる侮辱・名誉毀損に関する判例集
最新更新日2003.10.26-2004.08.26
 文章内容を検索する場合は,[Ctrl]+[F]キー(同時押し)で,現れた検索画面に検索用語を入力して検索します。
索  引

     1 東京地裁判平成9.5.26判例時報1610号22頁(ニフティサーブ事件)
     2 東京地裁判平成9.12.22判例時報1637号66頁(PC-VAN事件)
     3 神戸地裁判平成11.6.23判例時報1700号99頁
     4 東京地裁判平成11.9.24判例時報1707号139頁(都立大学事件)
     5 東京地裁判平成13.8.27判例時報1778号90頁(ニフティサーブ事件)
     6 東京高裁判平成13.9.5判例時報1786号80頁 (ニフティサーブ事件控訴審判決)
     7 東京地裁判平成14.6.26判例時報1810号78頁(電子掲示板2ちゃんねる)
     8 東京高裁判平成14.12.25判例時報1816号52頁(電子掲示板2ちゃんねる)
     9 東京地裁判平成15.3.31判例時報1817号84頁(ヤフー電子掲示板)

   ○ 出版物による名誉侵害に関する最高裁判例集


 1 東京地裁判平成9.5.26判例時報1610号22頁
  (いわゆるニフティサーブ事件)

(判決要旨)
1 パソコン通信を利用したフォーラムの電子会議室において書き込みがされた個人に対する揶揄的・侮辱的発言が名誉毀損に当たるとして,書き込みをした者に不法行為責任が認められた事例
2 パソコン通信を利用したフォーラムを運営・管理するシステム・オペレーターは,フォーラムの電子会議室に他人の名誉を毀損する発言が書き込まれたことを具体的に知った場合に,その者の名誉が不当に害されることがないよう必要な措置をとるべき条理上の作為義務がある。
3 システム・オペレーターが,フォーラムの電子会議室に他人の名誉を毀損する発言が書き込まれたことを知りながら必要な措置をとらなかった作為義務があるとして,不法行為が認められた事例
4 パソコン通信の主宰者について,フォーラムの電子会議室に他人の名誉を毀損する発言が書き込まれてもシステム・オペレーターが必要な措置をとらない義務違反があった場合に使用者責任が認められた事例


 2 東京地裁判平成9.12.22判例時報1637号66頁
  (いわゆるPC-VAN事件)

(判決要旨)
 会員がパソコン通信において他の会員による会員番号不正使用の疑惑を指摘した発言を掲示した行為が従前の経緯からして他の会員の社会的評価を低下させたものとはいえないとして,名誉毀損が成立しないとされた事例


 3 神戸地裁判平成11.6.23判例時報1700号99頁
(判決要旨)
 電話帳に記載されている実名,電話番号等をパソコン通信に無断で公開したことがプライバシーの侵害に当たるとして,損害賠償責任が認められた事例


 4 東京地裁判平成11.9.24判例時報1707号139頁
  (いわゆる都立大学事件)

(判決要旨)
 大学のシステム内に名誉毀損に当たるホームページが開設された場合に,ネットワークの管理者が被害者に対して責任を負うのは,名誉毀損文書が発信されていることを現実に認識しただけでなく,その内容が名誉毀損文書に該当すること,加害行為の態様が甚だしく悪質であること及び被害の程度も甚大であることなどが一見して明白であるような極めて例外的な場合に限られるとした上で,ネットワーク管理者において,ホームページを削除するための措置をとるべき義務を負うとはいえないとされた事例


 5 東京地裁判平成13.8.27判例時報1778号90頁,判例タイムズ1086号181頁
  (ニフティサーブ事件)

(判決要旨)
1 第三者が閲覧可能な通信サービスにおいて,その会員が他の会員と匿名で通信を行い,侮辱された場合について,上記会員が必要かつ十分な反論をし,十分な効果を挙げていると認められるような場合には,社会的評価が低下する危険性が認められず,名誉ないし名誉感情毀損は成立しないとして,通信サービスの管理運営業者の不法行為が否定された事例
2 被害者が,加害者に対し,相当性を欠く発言をし,それに誘発される形で,加害者が被害者に対し問題となる発言をしたような場合には,その発言が対抗言論として許された範囲内のものと認められる限り,違法性を欠くこともあると判断された事例


 6 東京高裁判平成13.9.5判例時報1786号80頁,判例タイムズ1088号94頁
  (ニフティサーブ事件控訴審判決) 

(判決要旨)
1 パソコン通信ネットワーク上の思想フォーラムの電子会議室における発言が,名誉毀損・侮辱に当たるとして,書き込みをした者に不法行為責任が認められた事例
2 フォーラム上に名誉毀損・侮辱に当たる発言が書き込まれた場合において,フォーラムを運営・管理するシステム・オペレーターは,一定の場合,この発言を削除すべき条理上の義務を負う。
3 システム・オペレーターについて,フォーラム上にされた名誉毀損・侮辱に当たる発言を削除する義務に違反したとは認めなかった事例
4 パソコン通信の主宰者について,フォーラム上に名誉毀損・侮辱に当たる発言がされても,規約による安全配慮義務を負わないとされた事例


 7 東京地裁判平成14.6.26判例時報1810号78頁
  (電子掲示板2ちゃんねる)

(判決要旨)
 インターネット上の電子掲示板において名誉毀損に当たる発言が書き込まれた場合について,電子掲示板の運営・管理者には名誉毀損の発言を削除等すべき条理上の義務があるとして,運営・管理者の損害賠償責任及び発言削除義務が認められた事例


 8 東京高裁判平成14.12.25判例時報1816号52頁
  (電子掲示板2ちゃんねる)

(判決要旨)
 インターネット電子掲示板上に他人の名誉を毀損するような文言が匿名で書き込まれた場合,右掲示板を設置運営する者に対し,右文言の削除と損害賠償金の支払いが命じられた事例


 9 東京地裁判平成15.3.31判例時報1817号84頁
  (ヤフー電子掲示板)

(判決要旨)
 電子掲示板に医療法人の名誉信用を毀損する書き込みがされ,医療法人が発信者情報の一部を把握している場合につき,プロバイダ責任制限法4条1項所定の各要件が肯定され,医療法人のプロバイダに対するIPアドレス等の発信者情報の開示請求が認容された事例
(注)
 プロバイダ責任制限法=「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律台137号,平成14年5月27日施行)


[ Top Menu ]