■2026年8月号

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バイオジャーナル

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●遺伝子組み換え作物
●グリホサートが妊娠や胎児に悪影響

 ミシガン大学が行なった研究で、GM作物栽培に使用される除草剤の主要成分グリホサートが妊娠や胎児の発達にかかわるホルモンに悪い影響をもたらすことが明らかになった。この研究は、ミシガン大学公衆衛生学部のジョン・ミーカーらの研究チームがプエルトリコの妊婦752人を対象に調査したもの。グリホサートやその分解生成物AMPAへの暴露のレベルが高いと、胎盤、胎児の成長、陣痛のタイミングを支えるホルモンに悪影響があった。具体的には、妊娠維持や胎児の発達に必要なエストロゲンホルモン、甲状腺ホルモン、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン)、放出ホルモン(CRH)などに干渉する可能性が高かった。AMPAは甲状腺ホルモン上昇との関連が判明した。妊娠後期ではグリホサートはCRHの上昇と、AMPAは甲状腺刺激ホルモンと関連していた。これらのホルモンの変化が出生結果や子どもへどのような影響をもたらすかについては、研究者は今後、この点を検証する予定。〔Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology 2026/6/15〕
●ゲノム編集食品
●サナテック社が新たなトマトを届け出

 7月15日付で、サナテックライフサイエンス社が新たに2種類のゲノム編集トマトを届け出た。いずれも従来の高GABAに加えて、カロテノイド生合成を変化させリコピンを増量したもの。これにより日本で届け出されたゲノム編集食品は、トマトでは高GABA(3品目)、高糖度、高GABA及び高リコピン(2品目)。魚では筋肉質のマダイ(2品目)、筋肉質のティラピア、太ったトラフグ(2品目)、太ったヒラメ。海外で栽培されている作物では、もちトウモロコシ、小粒で数が多いジャガイモ、皮が変色しないバナナがある。
●ゲノム編集医療
●行き詰まるゲノム編集医薬品

 ゲノム編集技術におけるCRISPR-Cas9の登場は、今世紀最大のブレークスルーといわれ、これまで各分野で推進が図られてきたものの、期待が寄せられていた医薬品の世界ではほとんど成果が出ていない。実用化された医薬品はわずか1種類で、治療患者は40人にとどまる。当初は、7000種類の遺伝性疾患とその4億人の患者の治療が期待されたが、まったくの期待外れだった。
現在治療に用いられているのは、すべて鎌状赤血球貧血症の40人の患者である。最も期待されたフェニルケトン尿症の場合、まだ治療に至っていない。この遺伝病は、アミノ酸のフェニルアラニンを、同じくアミノ酸のチロシンに変換するために必要な酵素の遺伝子に先天的に異常があるため、フェニルアラニンが体内に蓄積して起こる。その酵素遺伝子を修復すれば治療に結び付くはずだが、それがうまくいっていない。ゲノム編集技術を用いたマウスの実験治療は成功を収めているが、人間では成功していない。というのも人間の場合、フェニルケトン尿症に多数の遺伝子がかかわっているからだ。オレゴン健康科学大学のケアリー・ハーディングによると、フェニルケトン尿症には約1600ものDNAの変異がかかわっているという。しかも同じ遺伝性の疾患でも、同じゲノム編集技術が使えるとは限らず、一人ひとり異なる治療法となる可能性が高く、そうなると莫大な治療費がかかってしまい、現実的ではなくなる。遺伝子の複雑さが、ゲノム編集という単純な技術を受け付けない、という問題を提起している。〔MIT Technology Review 2026/1/29〕