桑田次郎と園田光慶
私が園田による桑田の代筆に気づいたのは「二十世紀の奇跡」(『少年マガジン』)でであった。当時,その絵物語を見て園田の絵だと気づいたのは,ごく少数だったろう。なぜなら,少なくとも『アイアンマッスル』という貸し本を読んで園田の絵の特徴を知っている必要があったし,一見すると桑田そのものの絵と見えるタッチの中にその特徴を読み取る必要があったからである。 |
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上記のような考え違いをしたのは、画像3(8マン
シャドウ・ボクサー」『少年マガジン』)を見ると、負けている方のボクサーは完全に園田にまかされたものであるのが明らかであるし、その他の部分は桑田の下書きを園田がペン入れをしたもののように思われたからである。 さらに、矢幡敏博「漫画頼り」第28信で知ったのだが、桑田自身が「『アンドロイド・ピニ』の後半は園田さんがほとんどやってくれました」「私の下書きを元に書いてもらっています」、と述べている。ここでいわれている「後半」というのはどこなのかが判然としない。矢幡は、サン出版版の47頁(第1話)を「桑田タッチ」とし166頁(第3話)を「アニメのトレースみたい?」としているが、事はそう簡単ではない。すでに30頁2コマ目に園田の「手の描写」が見られるし、32頁4コマ目の車も園田のタッチである。 画像4は『アンドロイド・ピニ』第2話の冒頭であるが、この頁は軒並み園田タッチである。そしてこの頁以降に限らないが、すごく手を書きづらそうに書いているコマが散見していることからすれば、間違いなく桑田の下書きはあったのだろうが、どの程度園田の裁量に任せた部分があったのだろうかということが問題になる。この事は再度矢幡氏に桑田氏の確認をとっていただきたい事ではあるが、私はかなりあるのではないのかと考えている。 ※旧稿では、これらのことから間違った結論へと至っている。『アンドロイド・ピニ』に関しては第1話での園田のアシストは僅かであり、第2話以降が桑田の言う「後半」に当たり、かなりの部分を園田の最良にまかしているのでは、と考えている。作家とアシスタントとの裁量の範囲は様々であり、大まかな指定の上で主人公だけは作家が、あるいは主人公の顔だけは作家が描き、他はアシスタントに任せるということがママあるようなので、以上のような考察が何だと問われれば、ただただそこここに園田の描写がありますよ、言いたいだけなのかもしれない。 |
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