「非暴力」という言葉は、インド独立の父といわれる マハトマ・ガンジー が唱えた考え方です。以前の私は、その意味をよく理解できていませんでした。しかしヨガを学ぶようになってから、これはとても大切な考え方なのだと実感しています。
特に大事なのは、「知らないうちに自分自身へ暴力を振るっていることがある」という点です。
以前、変形性膝関節症の予防には、膝をまっすぐにして歩くことが大切だと書きました。最近、膝の調子があまり良くなかったので、前から気になっていた靴底を見てみました。すると、かかとの小指側だけが大きくすり減り、靴底が斜めになっていました。
そういえば最近、足裏全体に均等に体重をかけようとしても、どうしても小指側に体重が乗る感じがしていました。靴底が片減りしていれば、当然です。すり減った靴をそのまま履き続けていたことは、結果として自分の膝に負担をかけ、自分自身に暴力を振るっていたことになるのかもしれません。
そこで靴を新しいものに替えたところ、膝の違和感はすっかり改善しました
考えてみると、私たちは日常の中で、気づかないうちに自分へ暴力を加えていることがあります。
たとえば、スマホを見続けて夜更かしをすること。疲れているからと甘いものを食べ過ぎること。家族のお弁当を作るために、自分の睡眠時間を削って頑張ること。どれも一見すると仕方のないことや、むしろ良いことのようにも見えます。しかし、体調不良や病気の背景には、「自分を大切にできていないこと」が隠れている場合も少なくありません。
毎日、「痛みをよくしてほしい」と多くの患者さんが来院されます。その中には、自分自身への負担や無理が痛みの原因になっている方もおられます。だから私は、「まず自分に対して非暴力であること」を大切にすると、痛みから解放される方もいるのではないか、そんなことを考えながら診療しています。
後藤の部屋
No.75「変形性膝関節症の予防」
だいぶ暖かくなり、散歩にちょうどよい季節になりました。
少し足を延ばして歩いていると、前のほうにご高齢の男性がゆっくり歩いていました。膝は外に向いた、いわゆる「がに股」です。ふと立ち止まり、膝をさすりながら「痛えんだよなぁ」とつぶやかれました。
その横を通り過ぎながら、これも何かの縁だと思い、変形性膝関節症の予防について書いてみました。
外来には、変形性膝関節症の患者さんが多く来られます。多くは高齢の方で、膝が外に開いた「O脚(内反)」の状態になっています。まずリハビリ、重くなってくると、お薬や注射、最後は手術と症状に合わせて治療します。当院でも膝の人工関節置換術は多数実施しています。
膝の形は、成長とともに変化します。生まれたばかりの頃はO脚、成長すると、X脚になり、大人になるとまっすぐになります。そして年齢を重ねると、再びO脚、つまりがに股になる傾向があります。
たとえば杖も、まっすぐなら安定してつけますが、曲がっているとぐらつきます。膝も同じで、曲がっていると力がうまく支えられません。
子どものうちは問題になりにくいのですが、高齢になると関節が硬くなり、衝撃をそのまま受けやすくなります。さらに、曲がった膝に体重がかかると、変形がいっそう進んでしまいます。
対策として大切なのは、膝をできるだけまっすぐに保って歩くことです。そのためには、膝を伸ばす筋肉を鍛えるのが効果的です。
太ももの前にある大腿四頭筋は膝を伸ばす働きがあるため、椅子に座って足を持ち上げて伸ばす運動がよく行われます。足首に軽い重りをつけると、より効果的です。また、膝の間にボールを挟んで軽く押し合う運動も、膝をまっすぐに保つ助けになります。
歩き方も重要です。足をまっすぐ前に出すことを意識するだけでも、膝への負担は変わります。
私自身は、足の裏全体でバランスよく着地できているか、衝撃をやわらかく受け止められているかを確かめながら歩くようにしています。そのため、自然とゆっくりした歩き方になります。
以前は「歩くのが遅いと寿命が短い」という説もあり、できるだけ速く歩くようにしていました。確かに速歩きは心肺機能の維持には有効です。
しかし、膝に痛みが出てくると、無理に速く歩くことはできません。ときどき早足も取り入れますが、基本は膝をいたわりながら、元気な方に追い抜かれても、心穏やかにゆっくり足底を感じながら歩くように心がけています。
少し足を延ばして歩いていると、前のほうにご高齢の男性がゆっくり歩いていました。膝は外に向いた、いわゆる「がに股」です。ふと立ち止まり、膝をさすりながら「痛えんだよなぁ」とつぶやかれました。
その横を通り過ぎながら、これも何かの縁だと思い、変形性膝関節症の予防について書いてみました。
外来には、変形性膝関節症の患者さんが多く来られます。多くは高齢の方で、膝が外に開いた「O脚(内反)」の状態になっています。まずリハビリ、重くなってくると、お薬や注射、最後は手術と症状に合わせて治療します。当院でも膝の人工関節置換術は多数実施しています。
膝の形は、成長とともに変化します。生まれたばかりの頃はO脚、成長すると、X脚になり、大人になるとまっすぐになります。そして年齢を重ねると、再びO脚、つまりがに股になる傾向があります。
たとえば杖も、まっすぐなら安定してつけますが、曲がっているとぐらつきます。膝も同じで、曲がっていると力がうまく支えられません。
子どものうちは問題になりにくいのですが、高齢になると関節が硬くなり、衝撃をそのまま受けやすくなります。さらに、曲がった膝に体重がかかると、変形がいっそう進んでしまいます。
対策として大切なのは、膝をできるだけまっすぐに保って歩くことです。そのためには、膝を伸ばす筋肉を鍛えるのが効果的です。
太ももの前にある大腿四頭筋は膝を伸ばす働きがあるため、椅子に座って足を持ち上げて伸ばす運動がよく行われます。足首に軽い重りをつけると、より効果的です。また、膝の間にボールを挟んで軽く押し合う運動も、膝をまっすぐに保つ助けになります。
歩き方も重要です。足をまっすぐ前に出すことを意識するだけでも、膝への負担は変わります。
私自身は、足の裏全体でバランスよく着地できているか、衝撃をやわらかく受け止められているかを確かめながら歩くようにしています。そのため、自然とゆっくりした歩き方になります。
以前は「歩くのが遅いと寿命が短い」という説もあり、できるだけ速く歩くようにしていました。確かに速歩きは心肺機能の維持には有効です。
しかし、膝に痛みが出てくると、無理に速く歩くことはできません。ときどき早足も取り入れますが、基本は膝をいたわりながら、元気な方に追い抜かれても、心穏やかにゆっくり足底を感じながら歩くように心がけています。
No.74「タバコかよ!」
先日、旅行先のホテルに泊まっていました。チェックアウトのためエレベーターに乗っていると、慌てた様子の中年男性が乗り込んできました。出発の時間が迫っているのか、それとも誰かを待たせているのかと考えているうちに1階に到着。私は「お先にどうぞ」と譲りました。男性は「すみません」と言って小走りで出ていきました。
どこへ向かうのかと思って見ていると、なんと喫煙所でした。思わず「タバコかよ!」と口に出てしまいました。
外来でも、タバコのにおいがする方に「病気のためにも禁煙した方がいいですよ」とお伝えしますが、「なかなかやめられなくて」と言われることが多いです。中には「吸うと気分が落ち着くんです」と話す方もいます。しかし、先ほどのように慌てて喫煙所へ向かう姿を見ると、とても落ち着いているようには見えません。
健康に悪く、お金もかかり、火事の原因にもなる。それを分かっていてもやめられないのは、ご自身としてもつらいことだと思います。
私の父もヘビースモーカーでした。子どもの頃からよく咳き込み、つらそうにしていました。何度も禁煙を試みましたが、なかなかやめられませんでした。しかし50代で肺に影が見つかり、強い不安を感じたのでしょう、その時きっぱりとタバコをやめました。
その後いくつか病気はありましたが、80歳を過ぎるまで生きることができました。この経験からはっきり言えることがあります。タバコは吸い始めないのが一番です。そして、吸っている方はできるだけ早くやめた方がいいです。
大相撲が終わりました。横綱を期待された安青錦は負け越し、対策を立てられて思うように勝てませんでした。
私が一番印象に残ったのは、その安青錦と平戸海の一番です。解説は平戸海の親方。平戸海が四つに組み、見事に安青錦に投げられた場面で、「四つに組んで勝てるなら大関になってないんだよ!」と大声で怒鳴りました。
横で見ていた家人は「がらが悪いねえ」と言っていましたが、そういう見方もあるでしょう。しかし私にとっては、勝負の厳しさと相撲の番付の重さを強く感じさせる一言でした。
どこへ向かうのかと思って見ていると、なんと喫煙所でした。思わず「タバコかよ!」と口に出てしまいました。
外来でも、タバコのにおいがする方に「病気のためにも禁煙した方がいいですよ」とお伝えしますが、「なかなかやめられなくて」と言われることが多いです。中には「吸うと気分が落ち着くんです」と話す方もいます。しかし、先ほどのように慌てて喫煙所へ向かう姿を見ると、とても落ち着いているようには見えません。
健康に悪く、お金もかかり、火事の原因にもなる。それを分かっていてもやめられないのは、ご自身としてもつらいことだと思います。
私の父もヘビースモーカーでした。子どもの頃からよく咳き込み、つらそうにしていました。何度も禁煙を試みましたが、なかなかやめられませんでした。しかし50代で肺に影が見つかり、強い不安を感じたのでしょう、その時きっぱりとタバコをやめました。
その後いくつか病気はありましたが、80歳を過ぎるまで生きることができました。この経験からはっきり言えることがあります。タバコは吸い始めないのが一番です。そして、吸っている方はできるだけ早くやめた方がいいです。
大相撲が終わりました。横綱を期待された安青錦は負け越し、対策を立てられて思うように勝てませんでした。
私が一番印象に残ったのは、その安青錦と平戸海の一番です。解説は平戸海の親方。平戸海が四つに組み、見事に安青錦に投げられた場面で、「四つに組んで勝てるなら大関になってないんだよ!」と大声で怒鳴りました。
横で見ていた家人は「がらが悪いねえ」と言っていましたが、そういう見方もあるでしょう。しかし私にとっては、勝負の厳しさと相撲の番付の重さを強く感じさせる一言でした。