近年、がん治療は大きく進歩しています。以前は「死の病」と考えられていたがんの中にも、今では治療を続けながら長く生きられるものが増えてきました。
特に、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい薬が登場したことで、ステージ4のがんでも、以前なら治療が難しかった患者さんを救えるようになってきました。これは大きな進歩です。
治療の効果が高まる一方、食欲がなくなる、体がだるい、口内炎、便秘や下痢、味覚の変化、手足のしびれ、皮膚の炎症、むくみ、気分の落ち込み、不眠など、さまざまな副作用に悩む患者さんも少なくありません。副作用が強いと、治療を続けることが難しくなる場合もあります。
こうした症状をやわらげる方法として、漢方薬が役立つことが、さまざまな研究でわかってきました。
私自身これまでも、がん患者さんのつらい症状を和らげるために漢方薬を使い、一定の効果を感じてきました。しかし、抗がん剤などの治療によって起こる副作用に対して、漢方薬が本当に有効なのか、以前は十分な確信を持てない部分もありました。
最近では、研究や臨床での成果が少しずつ積み重なり、どのような症状に漢方薬を使えばよいのか、科学的な根拠をもって考えられるようになってきました。そのため、以前よりも自信を持って患者さんの治療に漢方を取り入れられるようになっています。
また、がん治療では多くの薬を使う患者さんもいます。そのため、薬以外の方法にも目を向けることが大切です。
先日の学会のシンポジウムでは、漢方薬があまり一般的ではない国では、がん治療に伴う症状を和らげるために鍼治療が利用されているという話もありました。
漢方薬だけでなく、鍼治療についても研究を進め、がん患者さんができるだけつらい思いをせず、必要な治療を続けられるようにすることが、これからの大切な課題だと考えています。
がん治療の副作用症状緩和に漢方治療をご希望の方はご相談ください。
後藤の部屋
No.77「夏こそ養生!」
梅雨が明けたと思ったら、連日の猛暑が続く本格的な夏になりました。今年はエルニーニョ現象の影響で少し涼しくなるのではないかと思っていましたが、気象台は早くから「気温は高くなる」と予想していました。改めて、冷静に気象を分析していることに感心しています。
患者さんからも「先生も通勤が大変でしょう」とお気遣いの言葉をいただきます。厳しい暑さの中ですが、この時代を生きる者同士、お互いに励まし合いながら、この猛暑・酷暑の夏を乗り切りたいものです。
電力不足も気になるところですが、この暑さではエアコンを我慢することは命に関わります。適切に冷房を使うことが何より大切です。一方で、熱は上に昇り、冷気は下にたまるため、頭は涼しくても足元が冷えてしまう方が少なくありません。実際に、夏でも足の冷えを訴える患者さんがおられ、普段は冬に処方するような「冷え」に対する漢方薬が喜ばれることもあります。
先日来院された患者さんは、手の痛みを訴えておられ、「お風呂に入ると痛みが和らぐ」と話してくださいました。そのため、手にお灸の治療を行いました。クーラー全開の中で過ごされているからでしょう。中国では、夏はお灸の治療が特に盛んになるという話を聞いたことがあります。暑い季節だからといって、ただ体を冷やせばよいという単純なものではなく、体の状態に合わせた養生が大切なのだと感じます。
テレビでは「冷たい飲み物で、体を内側から冷やしましょう」と紹介されることもあります。確かに、アイスクリームやあんみつなどの冷たい甘味がおいしい季節です。しかし、冷たいものや甘いものを摂りすぎると、お腹を冷やして体調を崩す原因になります。楽しむのはほどほどにして、食べ過ぎ・飲み過ぎには気をつけましょう。
暑い日は外出を控えがちになり、どうしても運動不足になります。ストレッチだけでは筋力の維持は難しいため、スクワットやランジ、相撲の四股などで下半身の筋力を保つことをおすすめします。決まった回数をまとめて行うのもよいですが、気づいたときに数回ずつ、一日に何度も繰り返す方法でも十分効果があります。歩く機会が減ったり運動不足が続いたりすると筋力が低下し、脚がつりやすくなります。また、この時期は脱水も重なりやすいため、予防としてこまめな水分補給と適度な塩分補給を心がけましょう。
命に関わるほどの暑さが続く夏だからこそ、日々の養生を大切にして元気に乗り切り、過ごしやすい秋の訪れを楽しみに待ちたいものです。
患者さんからも「先生も通勤が大変でしょう」とお気遣いの言葉をいただきます。厳しい暑さの中ですが、この時代を生きる者同士、お互いに励まし合いながら、この猛暑・酷暑の夏を乗り切りたいものです。
電力不足も気になるところですが、この暑さではエアコンを我慢することは命に関わります。適切に冷房を使うことが何より大切です。一方で、熱は上に昇り、冷気は下にたまるため、頭は涼しくても足元が冷えてしまう方が少なくありません。実際に、夏でも足の冷えを訴える患者さんがおられ、普段は冬に処方するような「冷え」に対する漢方薬が喜ばれることもあります。
先日来院された患者さんは、手の痛みを訴えておられ、「お風呂に入ると痛みが和らぐ」と話してくださいました。そのため、手にお灸の治療を行いました。クーラー全開の中で過ごされているからでしょう。中国では、夏はお灸の治療が特に盛んになるという話を聞いたことがあります。暑い季節だからといって、ただ体を冷やせばよいという単純なものではなく、体の状態に合わせた養生が大切なのだと感じます。
テレビでは「冷たい飲み物で、体を内側から冷やしましょう」と紹介されることもあります。確かに、アイスクリームやあんみつなどの冷たい甘味がおいしい季節です。しかし、冷たいものや甘いものを摂りすぎると、お腹を冷やして体調を崩す原因になります。楽しむのはほどほどにして、食べ過ぎ・飲み過ぎには気をつけましょう。
暑い日は外出を控えがちになり、どうしても運動不足になります。ストレッチだけでは筋力の維持は難しいため、スクワットやランジ、相撲の四股などで下半身の筋力を保つことをおすすめします。決まった回数をまとめて行うのもよいですが、気づいたときに数回ずつ、一日に何度も繰り返す方法でも十分効果があります。歩く機会が減ったり運動不足が続いたりすると筋力が低下し、脚がつりやすくなります。また、この時期は脱水も重なりやすいため、予防としてこまめな水分補給と適度な塩分補給を心がけましょう。
命に関わるほどの暑さが続く夏だからこそ、日々の養生を大切にして元気に乗り切り、過ごしやすい秋の訪れを楽しみに待ちたいものです。
No.76「自分に非暴力」
「非暴力」という言葉は、インド独立の父といわれる マハトマ・ガンジー が唱えた考え方です。以前の私は、その意味をよく理解できていませんでした。しかしヨガを学ぶようになってから、これはとても大切な考え方なのだと実感しています。
特に大事なのは、「知らないうちに自分自身へ暴力を振るっていることがある」という点です。
以前、変形性膝関節症の予防には、膝をまっすぐにして歩くことが大切だと書きました。最近、膝の調子があまり良くなかったので、前から気になっていた靴底を見てみました。すると、かかとの小指側だけが大きくすり減り、靴底が斜めになっていました。
そういえば最近、足裏全体に均等に体重をかけようとしても、どうしても小指側に体重が乗る感じがしていました。靴底が片減りしていれば、当然です。すり減った靴をそのまま履き続けていたことは、結果として自分の膝に負担をかけ、自分自身に暴力を振るっていたことになるのかもしれません。
そこで靴を新しいものに替えたところ、膝の違和感はすっかり改善しました
考えてみると、私たちは日常の中で、気づかないうちに自分へ暴力を加えていることがあります。
たとえば、スマホを見続けて夜更かしをすること。疲れているからと甘いものを食べ過ぎること。家族のお弁当を作るために、自分の睡眠時間を削って頑張ること。どれも一見すると仕方のないことや、むしろ良いことのようにも見えます。しかし、体調不良や病気の背景には、「自分を大切にできていないこと」が隠れている場合も少なくありません。
毎日、「痛みをよくしてほしい」と多くの患者さんが来院されます。その中には、自分自身への負担や無理が痛みの原因になっている方もおられます。だから私は、「まず自分に対して非暴力であること」を大切にすると、痛みから解放される方もいるのではないか、そんなことを考えながら診療しています。
特に大事なのは、「知らないうちに自分自身へ暴力を振るっていることがある」という点です。
以前、変形性膝関節症の予防には、膝をまっすぐにして歩くことが大切だと書きました。最近、膝の調子があまり良くなかったので、前から気になっていた靴底を見てみました。すると、かかとの小指側だけが大きくすり減り、靴底が斜めになっていました。
そういえば最近、足裏全体に均等に体重をかけようとしても、どうしても小指側に体重が乗る感じがしていました。靴底が片減りしていれば、当然です。すり減った靴をそのまま履き続けていたことは、結果として自分の膝に負担をかけ、自分自身に暴力を振るっていたことになるのかもしれません。
そこで靴を新しいものに替えたところ、膝の違和感はすっかり改善しました
考えてみると、私たちは日常の中で、気づかないうちに自分へ暴力を加えていることがあります。
たとえば、スマホを見続けて夜更かしをすること。疲れているからと甘いものを食べ過ぎること。家族のお弁当を作るために、自分の睡眠時間を削って頑張ること。どれも一見すると仕方のないことや、むしろ良いことのようにも見えます。しかし、体調不良や病気の背景には、「自分を大切にできていないこと」が隠れている場合も少なくありません。
毎日、「痛みをよくしてほしい」と多くの患者さんが来院されます。その中には、自分自身への負担や無理が痛みの原因になっている方もおられます。だから私は、「まず自分に対して非暴力であること」を大切にすると、痛みから解放される方もいるのではないか、そんなことを考えながら診療しています。