ワード・マクロ(VBA)の活用12
■ アドイン・テンプレートとして利用する
1 これまで,マクロ(VBA)の活用法として,主に法律文書の「ページ(書式)設定」を中心として説明し,その後,「ページ番号記入」を,さらに,Word画面からのダイレクトな「Web情報検索」の方法を紹介してきた。
2 その利用方法としては,大まかに言えば,次の二つであった。
(1) システム上のNormal.dotを使用してマクロを組み込み,マクロ・ダイアログボックスから実行する方法(
Part1- 6 (法文の書式設定)
)
(2) 個別のWord文書ファイルの「標準モジュール」内にマクロを組み込み,既存又は新規のツールバー上のボタンを利用して実行する方法(
Part1- 7 (ページ番号記入を付加)
,
Part1- 8 (同)
,
Part1- 9 (ページ番号記入)
)
3 しかしながら,(1)の方法では,マクロ(VBA)として組み込まれた多種多様なものをマクロ・ダイアログボックスから選択実行するのも使用しづらいし,Normal.dot自体が壊れた場合のリスクも大きい。この点,(2)の方法では,文書ファイルに保存しておけば安心という面もあるが,マクロを増やして機能を高めるほどにファイルサイズが大きくなり,ファイルを保存すると,そのマクロまで保存されてしまうのでは不便である。
4 そこで第三の方法として考えられるのが,文書ファイルをテンプレートとして利用する方法である。テンプレートのマクロ等を裏方で機能させ,作成する文書ファイルにはマクロ等を保存させない方法である。
テンプレートの意義,利用方法等については,関連サイトの
テンプレートの作成・登録と活用
を参考にされたい。
5 テンプレートをどこに保存するかについては,二つの方法がある。
第1の方法は,既定の[Templates]のフォルダに保存する方法である。
通常のWord文書ファイル(*.doc)を保存する際,「名前を付けて保存」するダイアログボックスで,「ファイルの種類」として「文書テンプレート(*.dot)」を選択すれば保存先が自動的に「Templates]になり,ここで保存実行をすれば,既定の[Templates]のフォルダに保存される。
この場合の保存先は,WindowsXPの場合,次のとおりである。
C:\Documents and Settings\user\Application Data
\Microsoft\Templates
6 第2の方法は,[Word]の[STARTUP]のフォルダに保存する方法である。 この場合の保存先は,WindowsXPの場合,次のとおりである。
C:\Documents and Settings\user\Application Data
\Microsoft\Word\STARTUP
7 第1の方法では,Wordを起動する度に,Wordにテンプレート機能が追加添付させる(アドイン・Add-in)措置が必要になるが,第2の方法では,Wordを立ち上げるのと同時に,自動的に指定のテンプレート機能が追加添付(Add-in)されるので,その措置は必要にならない。
8 ここでは,説明の便宜上,テンプレートとして「JPWord1.doc」を使用することとし,簡単にテンプレートを機能させる第2の方法について説明する。
■ テンプレートを[Word]の[STARTUP]にセットする方法と手順
1 保存先を,[Word]の[STARTUP]にセットする。
(1) WinndowsXP + Word2003を利用する場合
ア
Word2003でJPWord1.docを開き,何も入力しないで,メニューの「ファイル」をクリックし,「名前を付けて保存」をクリックする。
「名前を付けて保存」のダイアログボックスが開く。
イ
「保存先」として,順次,次のとおりフォルダを指定し,ダブルクリック(フォルダを開く)していく操作を続け,最終的に,[Word] → [STARTUP]を開く。
[Windows XP(C:)] → [Documents and Settings] → [user](ユーザー名) → [Application Data] → [Microsoft] → [Word] → [STARTUP]
ウ
この操作による保存先は,結局,次の場所になる。
C:\Documents and Settings\user\Application Data
\Microsoft\Word\STARTUP
(2) Winndows Vista 又は Winndows7 + Word2010を利用する場合
ア
Word2010でJPWord.docを開き,何も入力しないで,メニューの「ファイル」をクリックし,「名前を付けて保存」をクリックする。
「名前を付けて保存」のダイアログボックスが開く。
イ
「保存先」として,次のとおりフォルダを指定し,ダブルクリック(フォルダを開く)していく操作を続け,最終的に,[Word] → [STARTUP]を開く。
[ローカルディスク (C:)] → [Users] → [user](ユーザー名) → [AppData] → [Roaming] → [Microsoft] → [Word] → [STARTUP]
ウ
この操作による保存先は,結局,次の場所になる。
C:\Users\user\AppData\Roaming
\Microsoft\Word\STARTUP
青字部分は同じであるが,OSにより,それ以前の部分が異なっている。
(注) ここでは,Word2003の文書ファイル(*.doc)を,Word2010上で利用することを前提としている。
2 JPWord1.docを登録する「ファイルの種類」として「文書テンプレート(*.dot)」を選択する。
「JPWord2.doc」のWeb検索ボタン付きの方を登録したい場合は,以下の画像で「JPWord1.doc」をあるのを「JPWord2.doc」と読み替えて,このファイルを使用して登録処理する。
(以下では,WinndowsXPを利用することを前提として説明する。)
3 登録のため,「保存」をクリックする
ファイル名末尾の拡張子が「*.dot」となっていることに留意する。
4 次の保存先を確認すると,
C:\Documents and Settings\user\Application Data\Microsoft\Word\STARTUP
テンプレートとして登録されている。
5 Wordを起動すると,
自動的にアドインされ,このテンプレートに内在するマクロ(VBAプログラム)が背後で機能する。ツールバー上には「ページ(書式)設定」と「ページ番号記入」のボタンが表示され,これをクリックすれば,所定の機能が実現される。
ただし,ここが肝心な点であるが,これを利用して文書を作成・編集した後,文書ファイルを保存しても,背後で機能したテンプレートのマクロ(VBAプログラム)自体は保存されない。マクロを有効に利用しながら,マクロなしの通常の文書ファイルが作成できる。
(テンプレートの意義,役割等については,関連サイトの
テンプレートの作成・登録と活用
を参考にされたい。)
2010.7.24 〜 2012.3.17
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