NTTグループが大規模な陸上養殖を進めている。ゲノム編集魚を開発しているリージョナルフィッシュ社とNTTが共同で立ち上げたNTTグリーン&フード社は、静岡県磐田市に年間生産力110トン以上の大規模な陸上養殖施設を建設、12月3日に竣工式を行い、今年度内に出荷を開始する。2023年7月に設立した同社は、AIやゲノム編集技術を用いた陸上養殖を推進する事業を展開している。磐田市の養殖場は自動車メーカーのスズキの工場跡地で、バナメイエビを養殖する予定。バイオフロック方式を採用した養殖システムは、水を循環させず、微生物の塊を浮かべて浄化するもので、リージョナルフィッシュ社が開発を進めてきた。リージョナルフィッシュ社はまた、バイオフロック方式に合うゲノム編集技術を用いたバナメイエビの開発を進めている。〔静岡新聞 2024/12/4〕
NTTグリーン&フード社はまた、東日本大震災で被災した気仙沼市にも陸上養殖の施設を建設する。予定地は同市の小泉地区で、2026年の稼働を目指す。気仙沼市ではこの事業を気仙沼市復興推進計画に位置付けている。〔河北新報web版 2024/11/7〕
NTTコミュニケーションズとしても陸上養殖に取り組んでおり、陸上養殖システムを開発・提供する子会社NTTアクアを新たに設立し、12月2日から事業を開始した。NTTアクアは、独自のろ過技術を持つ沖縄の紅仁と包括連携協定を締結し、沖縄発の陸上養殖システムで全国展開する予定である。すでに両社は2023年9月からアーラミーバイとキジハタの養殖の研究を進めてきた。〔沖縄タイムズ 2024/12/3〕
一方、海外では、自社で開発し、養殖・販売していた遺伝子組み換え鮭について米国アクアバウンティ・テクノロジーズ社は12月12日、鮭の生産を停止し、カナダ・プリンスエドワード島にある同社最後の施設を閉鎖すると発表した。これにより遺伝子組み換え鮭は完全に消えることになった。同社によると、もはや養殖場を維持する資金がなく、最高経営責任者デイビッド・フォーチュンは辞任した。発表は、カナダ連邦政府とプリンスエドワード州政府が同社に23万ドルの追加資金提供を発表した数週間後のことであった。〔CBAN 2024/12/12〕
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