■2025年2月号

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バイオジャーナル

増え始めたゲノム編集食品表示を国に求める自治体

 

国へのゲノム編集食品表示を求める自治体決議が2024年12月に相次いだ。島根県邑南町議会、山口県長門市議会、東京都三鷹市議会、神奈川県座間市議会である。これにより決議をあげた自治体は、岐阜、奈良、静岡、兵庫の4県議会と16市町議会となった。

ゲノム編集食品に関する食品表示は、最初から検討されてこなかった。なぜなら遺伝子組み換え食品が消費者運動の取り組みにより、極めて不十分ながら表示制度が設定され、この制度を軸にした法的規制は、結果的に日本を含め世界的な遺伝子組み換え作物の拡大を防いだ。それを教訓に種子・農薬企業や各国政府は、ゲノム編集食品については規制をさせない方向を作り出してきた。そのため日本では、ゲノム編集食品表示は必要なしとする方針がとられた。

国へのゲノム編集食品表示を求める決議をあげるための自治体への働きかけは、ゲノム編集トマトに対する取り組みから始まった。サナテックシード社がゲノム編集トマトの苗を小学校や高齢者などの福祉施設に無料で提供するという動きを示したのに対して、各地の住民が地元の自治体に対して「ゲノム編集トマトの苗を受け取らないで」という運動を展開した。その結果「受け取らない」と回答する自治体が相次ぎ、最終的に受け取ったとした自治体が1つもない成果をあげることができた。この自治体への働きかけが、いま国に対してゲノム編集食品表示をさせるよう求める意見書を、地元の議会に決議させる動きとなって広がっているのである。