築100年近いこの建物の改装は個人の領域を出て、街並み構成に積極的に参加し、木造文化の継承を思う試みであった。 まず、建物の用途を「ギャラリー」を持つ設計事務所に改装し、木造技術の保存と展示及び改装の手法を公開するなど、建物の社会性を前面に押し出し、活性化への提案をした。 手法は既存のアイデンティティを縦糸に、新たに加わるエレメントを横糸に、新旧織り混ぜた空間づくりである。 この空間は道行く人々が自由に出入りし、木造建築の情報を得て、木造への関心を高める空間、そして、われわれの心に潜む共通の記憶が呼び覚まされる装置となることを願った。
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