山陰本線としては兵庫県最後の駅、居組。駅の先にあるトンネルを抜けると、そこはもう鳥取県に入るため、パッと見では周囲に民家が見当たらないので本当に県の最果ての地に来てしまった感が強い。
居組は立派な駅舎と素敵な植え込みが残り、入口部分は駅としての威厳が保たれている。構内に残る引き込み線と線路が剝がされて使われなくなったホームの跡を見てみると、かつては有人駅として機能していて、地元民にとっては重要な拠点駅だったことが想像できる。
自然に溶け込み、秘境ムードが高い居組だが、駅前の一本道を下ってわずか1分足らずで畑地が広がる。集落があるのは国道よりも先の海側になるが、自然の中から急激に人の営みを感じる地に出くわすと、何となく拓けた所に出た錯覚になる。居組の秘境感は駅が高台にあることに影響していることが実際に下車してみて分かった。
居組は2012年からは
鎧、
久谷と共に一部の普通列車が通過してしまうという、他に比べて冷遇された駅になってしまったが、現在それらは快速列車として運行されている。
京都から山陰本線に乗っていると京都府および兵庫県内のあちこちで路線の複線電化を呼び掛けている看板が目につく。しかし線路が剥がされ、朽ちていくかつてのホームを見ていると、それは叶わぬ夢で終わる気がしてならなかった。
(2016.10.8)