吾妻線の終点、大前の手前にある片面ホームの高架駅、万座・鹿沢口。1971年、当時の長野原線の延伸に伴う駅の名前を決めるときに万座温泉と鹿沢温泉が対立したため、その間を取って国鉄としては初となる「・」がついた万座・鹿沢口という駅名に落ち着いた。JRになってからもしばらくは唯一の「・」駅として君臨していたが、成田空港の空港第2ビルの副名称や気仙沼線のBRT区間に南三陸町役場・病院前という停留場が設けられたため、唯一ではなくなっている。
吾妻線は有名温泉地へのアクセス路線としての需要があったため、万座・鹿沢口の駅は駅員がいた上に、みどりの窓口が設置され、特急列車もここ万座・鹿沢口まで運行されていた。現在長野原草津口止まりとなっている特急「草津」も一時期は「新特急草津」だった頃が懐かしい。
駅名の由来となった万座温泉、鹿沢温泉ともに駅からはバスに乗る必要があったが、温泉地までマイカーや吾妻線に乗らずに直接バスで行く人などの影響で利用者が減った影響で、鹿沢温泉に行くバスは2007年に廃止。万座温泉は草津温泉へ行く時の経由地という扱いで運行されているという現状だ。
時代とともに駅の衰退も顕著だ。2006年にみどりの窓口が廃止され、その10年後の2016年に特急「草津」の定期列車の乗り入れがなくなり、2017年に無人化されてしまった。駅構内には自動券売機があり、吾妻線内では数少ないICカード対応駅となっているが、車が全くと言っていいほど止まっていないバスロータリーを見ると衰退してしまった感は否めない。
駅開業からわずか四十数年で凋落の一途を辿ってしまった駅であるが、普通電車の大半が今でも万座・鹿沢口での折り返しとなっていて、嬬恋村の中心地であることは全く変わっていない。
(2019.6.19)