短い板張りホームで仮乗降場だった感のある南幌延だが、1959年に正式な駅として開業した。酪農の町、幌延を象徴するかのように、駅周辺は牧草地帯となっていて、建物は小さな集会所と酪農家と思われる民家が点々とあるだけだ。

 大きな赤字が明るみになったJR北海道による経費削減の一環として、近年利用者が極端に少ない駅の廃止が進められているが、利用者が限りなくゼロに近いここ南幌延も廃止の対象になった。しかし幌延町が秘境駅を観光資源の一つとして着目し、除雪などの維持管理費の面を考慮した結果、安牛上幌延の廃止という犠牲を払いながらも、この2駅の代わりが利くという理由で南幌延の存続にこぎつけた。

 元号が平成から令和になった2019年には開業60年という節目の年を迎え、地域住民と鉄道ファンによって、それまでボロボロだった待合室を内外ともにリフォームして非常に居心地がいい空間となった。さらに秘境駅のマスコットキャラとして待合室と牛をモチーフにした「ミナミほろりんさん」も誕生した。

 南幌延など、幌延町内にある4つの秘境駅の維持管理費用は町負担としての存続は決まった。しかしこれらの秘境駅をどう活用していくか、残しただけでは満足できない状態がこれからも続いていく。    

                                                        (2021.2.22)

南幌延の周辺は酪農地帯となっており、広大な大地が広がる。


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南幌延の駅名標。両隣の駅は2021年春のダイヤ改正で廃止されてしまう。
板張りホームの南幌延。開業時から無人駅となっている。
Minami-horonobe
南幌延の秘境駅キャラクターである「ミナミほろりんさん」待合室と牛がモチーフになっている。
南幌延の待合室の中。床と壁面の板が新品となって居心地が良くなっている。
南幌延の待合室。ボロボロだった建物もお色直しによってきれいになった。
南幌延