短い板張りホームで仮乗降場だった感のある南幌延だが、1959年に正式な駅として開業した。酪農の町、幌延を象徴するかのように、駅周辺は牧草地帯となっていて、建物は小さな集会所と酪農家と思われる民家が点々とあるだけだ。
大きな赤字が明るみになったJR北海道による経費削減の一環として、近年利用者が極端に少ない駅の廃止が進められているが、利用者が限りなくゼロに近いここ南幌延も廃止の対象になった。しかし幌延町が秘境駅を観光資源の一つとして着目し、除雪などの維持管理費の面を考慮した結果、
安牛と
上幌延の廃止という犠牲を払いながらも、この2駅の代わりが利くという理由で南幌延の存続にこぎつけた。
元号が平成から令和になった2019年には開業60年という節目の年を迎え、地域住民と鉄道ファンによって、それまでボロボロだった待合室を内外ともにリフォームして非常に居心地がいい空間となった。さらに秘境駅のマスコットキャラとして待合室と牛をモチーフにした「ミナミほろりんさん」も誕生した。
南幌延など、幌延町内にある4つの秘境駅の維持管理費用は町負担としての存続は決まった。しかしこれらの秘境駅をどう活用していくか、残しただけでは満足できない状態がこれからも続いていく。
(2021.2.22)